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まえがき:《「世界史」で読み解けば日本史がわかる》神野 正史著 [日本史]


「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本



以下、上記書籍の「まえがき」部分の引用

**********
20世紀初頭、ベルギーを代表する史家H・ピレンヌが『ヨーロッパ世界の誕生ーーマホメットとシャルルマーニュ』を発表し、史学会を論争の渦に巻き込んだことがありました。

所謂「ピレンヌ命題(テーゼ)」問題です。

それまで、ヨーロッパ社会が古代から中世へと移行する歴史的背景は「古代ローマ帝国の滅亡」を以て説明されていました。

この説にはいくつかの不合理性が指摘されていたものの、当時の「ヨーロッパ」という固定観念に縛られていた史家には他に対策も思いつかず、ジレンマに陥っていました。

そうした出口の見えない迷路に迷い込んでいた史学会に一石を投じたのが、冒頭のH・ピレンヌです。

彼はこうした「ヨーロッパ」という“枠”を取っ払い、隣接するイスラーム文化圏の動きと連動してこれを説明しようとしたのです。

すなわち、中東世界においてイスラームが成立したことが、巡り巡ってヨーロッパ社会・経済・政治・宗教・文化に激動をもたらしたのであって、ヨーロッパの中だけを見ているから真実が見えてこなかったのだ、と。

それまでの歴史は「ヨーロッパ史とその他の地域史」という歴史観からしか語られていきませんでした。

たとえ「世界史」を述べているようでも、蓋を開ければ「地域史のツギハギ」にすぎず、たとえば“歴史学の泰斗”と二つ名で呼ばれる、あの有名なL・ランケですら、彼の大著『世界史』を紐解くと、中身はほぼ「ヨーロッパ史」。

それにイスラームが少し、東アジアはほぼまったく登場しません。

彼らの認識が「ヨーロッパ=世界」だったことが読み取れます。

この「ピレンヌ命題」には「風が吹けば桶屋が儲かる(バタフライ効果)」的な側面もあって非難も受けましたが、その正誤より、それまでの狭小な歴史観を乗り越え、広く、“世界史的観点”から解き明かそうとした功績は大きなものでした。

ピラミッドのようなシンプルな形ですら、これを平面的に捉えようとした途端、真横から見れば三角形、視点を斜め上に移せば駒形(五角形)、斜め横から見れば凧形(四角形)、真上からなら正方形・・・に見えてしまいますが、そのどれもが誤り、真の姿はあくまで「四角錘」です。

仏典にも、象を触った盲人たちがそれぞれ、腹を触った盲人が「天井のような生き物」と評したのを皮切りに、鼻を触って「縄のよう」、頭を触って「岩」、足を触って「臼」、尾を触って「蛇」とそれぞれ評する・・・という寓話(故事「象を評す群盲」)がありますが、これもそうした「木を見て森を見ず」の一例と言えましょう。

ましてや「歴史」などは、ピラミッドや象など比較にならないほど、多面的・立体的・構造的・体系的で客体的な存在ですから、これを側面的・平面的・短絡的、そして恣意的に捉えるならば、たちまち“真の姿”からかけ離れた別の姿を現わします。

日本人として生まれたならば、自国の歴史「日本史」を学ぶのは当然の責務といえますが、しかし、それダケを学んでも「ピレンヌ以前の歴史観」「二次元で捉えようとするピラミッド」「群盲が評する象」同様、歴史は真の姿を現しません。

本書も、H・ピレンヌ同様「バタフライ効果」との謗りを受けることも覚悟のうえで、日本史のさまざまな場面を思いきった世界史的観点から見ていくことで、今まで日本の中から見てきた日本史の別の側面や意外性を発見していくことを試みたものです。

本書読了後、「ああ、おもしろかった」で終わるのでもなく、「“風桶”もいいところじゃないか!」と揚げ足を取るのでもなく、本書を通じて「物事を見るときはつねに多面的に考究することが大切」だということを実感してもらえたなら、本書が世に出た意義が果たされたことになり、筆者としてこんなに嬉しいことはありません。

平成29年8月 神野 正史(自署)

神野 正史(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%87%8E%E6%AD%A3%E5%8F%B2

爆笑せきらら日記 - 奧さんの目から見た神野の観察4コマ日記
https://ameblo.jp/4komablog/

《「世界史」で読み解けば日本史がわかる》 神野 正史著 祥伝社 [日本史]


「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本



おもしろい本だ。ひとつひとつ出典・根拠をあげ学術的に各章を記述していくなら、章ごとに一冊の本になりそうである。ところが、それをそうせず、かるく語りおろすかのように記述していく。だから、読んでいて、「風が吹けば桶屋がもうかる」の落語を聞いているようにも読める。たしかに因果関係があるようで、実はたいへんアヤシイ話しとして、ソレは語られるが、本書の記述も一見そのように読めなくもない。

しかし、その論議をたどっていくと、日本史の出来事に、思いがけない世界史的事象が絡んでいることが示される。オドロキである。そして、その話の筋道は、たいへん確からしい。これまでの知見をくつがえすかの論議もある。コマッタものである。だが、たぶん、筆者の論議は、確かなものなのだろう。

著者の意図は、そもそも論議の緻密さや根拠の確かさの提示ではなく、別のところにある。著者自身つぎのように述べる。「本書も、H・ピレンヌ同様「バタフライ効果(風が吹けば桶屋が儲かる)」との謗りを受けることも覚悟のうえで、日本史のさまざまな場面を思いきった世界史的観点から見ていくことで、今までの日本の中から見てきた日本史の別の側面や意外性を発見していくことを試みたものです。(「まえがき」)」

また、「最後に(あとがき)」には、「本書では『歴史を多面的に見る」ということをテーマとして筆を進めてまいりましたが・・」とあり、「本書によって、物事はすべて多面的に学ぶこと、考究することの重要性を悟ってくれたなら、筆者本懐の極みです。」ともある。

筆者は、歴史事象とそのつながりを単に記述していくだけでなく、「エントロピー増大則」についてふれるなど、自身の世界観や史観も披瀝している。それもまたオモシロイ。記述の仕方においては、だいぶ風が吹きまくっている感もないではないが、それ以上に、学ぶところ大である。

目次
まえがき
第1章 縄文時代(本当に貧しい未開の時代だったのか)
第2章 仏教公伝(「項羽と劉邦」の戦いが与えた影響)
閑話休題 鬼伝説の謎を解く
第3章 室町時代末期(戦国の動乱は地球規模の動きだった?)
第4章 戦国時代(加藤清正、大谷吉継が死んだのはコロンブスのせい?)
第5章 宣教師の来日(彼らがやってきた本当の目的とは)
第6章 江戸幕府の滅亡(イギリス宗教弾圧が日本を救った?)
第7章 日韓併合(イギリス産業革命が生んだ悲劇)
第8章 日露戦争(「ビスマルクの失脚」が14年後の日本を救った)
第9章 太平洋戦争(それは「アメリカ・ファースト」から始まった)
最後に


エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)

エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)

  • 作者: 鈴木 炎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



エントロピーとは何か―でたらめの効用 (ブルーバックス)

エントロピーとは何か―でたらめの効用 (ブルーバックス)

  • 作者: 堀 淳一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1979/08
  • メディア: 新書



トコトンやさしいエントロピーの本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいエントロピーの本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 石原 顕光
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2013/09/27
  • メディア: 単行本



2017-11-15 [通読・積読中]


知的生活

知的生活

  • 作者: 渡辺淳
  • 出版社/メーカー: 未知谷
  • 発売日: 2017/05/31
  • メディア: 単行本


大正末年、三重県津市で生まれ、東京帝国大学入学と同時に学徒出陣、舞鶴海兵団へ。敗戦を経て、やっと辿り着いた仏文科での勉強の日々、そして60年安保、その闘争の日々。社会の変遷と自身の“知”の形成の過程を顧みつつ、歪められた“知”の再生に何が必要なのか。


この世界を知るための 人類と科学の400万年史

この世界を知るための 人類と科学の400万年史

  • 作者: レナード ムロディナウ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/05/14
  • メディア: 単行本


人類はなぜ科学を生み出せたのか?ヒトの誕生から言語の獲得、古代ギリシャの哲学者、ニュートンやアインシュタイン、量子の奇妙な世界の発見まで、世界を見る目を一変させる決定版科学史!


「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本


徳川家康が天下統一できたのは、コロンブスがアメリカ大陸を発見したから!?国際化の時代、日本人が自国の歴史について知ることがますます重要になっています。しかし、日本史だけを学んでいても、歴史は本当の姿を現しません。本書は、日本史の様々な場面を思いきった世界史的視点から見ていくことで、これまで皆さんが学んできた日本史の別の側面や意外性を発見していく試みです。


人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する

人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する

  • 作者: マーク・ミーオドヴニク
  • 出版社/メーカー: インターシフト
  • 発売日: 2015/09/28
  • メディア: 単行本


はじめに:すぐそこにある材料の内なる宇宙へ
第1章:頑強……文明を変えた強くしなやかな「鋼鉄」
第2章:信用……記憶や愛を刻印する「紙」
第3章:基礎……社会の土台として進化する「コンクリート」
第4章:美味……「チョコレート」の秘密
第5章:驚嘆……空のかけらを生む「フォーム(泡)」
第6章:想像……映画も音楽も「プラスチック」のおかげ
第7章:不可視……なぜ「ガラス」は透明なのか
第8章:不可壊……「グラファイト」から世界一薄く強固な物質へ
第9章:洗練……技術と芸術が融合した「磁器」
第10章:不死……九八歳でサッカーを楽しむ「インプラント」の私
第11章:人工……材料科学の未来


数学する身体

数学する身体

  • 作者: 森田 真生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/10/19
  • メディア: 単行本


第15回小林秀雄賞受賞!

思考の道具として身体から生まれた数学。
身体を離れ、高度な抽象化の果てにある可能性とは?

音楽や美術のように、数学も表現の行為だ。
数学を通して「人間」に迫る、
30歳、若き異能の躍動するデビュー作!


音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

  • 作者: オリヴァー サックス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/07/01
  • メディア: 単行本


落雷による臨死状態から回復するやピアノ演奏にのめり込みだした医師、ナポリ民謡を聴くと必ず、痙攣と意識喪失を伴う発作に襲われる女性、指揮や歌うことはできても物事を数秒しか覚えていられない音楽家など、音楽に必ずしも好まずして「憑かれた」人々を温かく見守りながら、時にしつこく人間の頭の中にまといついて悩ませ、時に障害を治療する効果を発揮する、人間にとって不可分の存在であるように思われる音楽に共感を馳せる。脳神経科医サックスの待望久しい本格的医学エッセイ。


2017-11-15 [通読・積読中]


田舎暮らしと哲学

田舎暮らしと哲学

  • 作者: 木原 武一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: 単行本


自然の中で、のびのび子供を育てたい。房総に居を移したものの、それは予想を超えた困難の始まりでもあった。水道未完備、道路は未舗装、台風の水害、木々の手入れの想像を絶する手間…。そんな毎日も、ニーチェ、ゲーテの言葉や、漢詩、禅の思想があれば軽やかに乗り越えられる。鳥の声に「百人一首」を想い、生業の中にシェイクスピアや『赤毛のアン』を見る。都会のカルチャーセンターに通うことだけが「学び」なのではない。日々の暮らしは、こんなにも学びの刺激に溢れている。現代版『森の生活』。


小さい林業で稼ぐコツ: 軽トラとチェンソーがあればできる

小さい林業で稼ぐコツ: 軽トラとチェンソーがあればできる

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 単行本


「山は儲からない」は思い込み!伐採や搬出を人に任せず自分でやれば、経費がかからない分、まるまる儲けになる。高値がつかない細い木でも、薪にすれば売れるし、木質バイオマス発電の燃料としても売れる。山の手入れを自分でやる「小さい林業」で稼ぐコツを解説。


身体知性 医師が見つけた身体と感情の深いつながり (朝日選書)

身体知性 医師が見つけた身体と感情の深いつながり (朝日選書)

  • 作者: 佐藤友亮
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/10/10
  • メディア: 単行本


武道家で医師の著者による、刺激に満ちた身体論!身体知性が人の感情と判断を担っている。フーコーの『臨床医学の誕生』や肉眼解剖学をもとに、西洋医学の言葉による身体の分析的追求の特徴を読み解く。しかし現実の臨床現場では、分析だけでは太刀打ちできない短時間で合理的な判断が必要だ。このとき活躍するのが身体知性。救命救急医のクロスケリーは医師の感情変化が誤診へとつながると指摘し、神経生理学者のダマシオは「ソマティック・マーカー仮説」で人間の判断に影響を与える感情の形成と身体の関係をたどる。また武道における東洋的な身体観と鍛錬は、人間の判断において重要だ。天才チェスプレーヤーが出会った太極拳、精神疾患の新しい治療法「オープンダイアローグ」、北海道浦河町の「べてるの家」を身体知性から分析するとどうなるのか。合気道家で思想家の内田樹氏との対談「武道と医学と身体をむすぶ」を収録。


IT研究者のひらめき本棚 ビブリオ・トーク:私のオススメ

IT研究者のひらめき本棚 ビブリオ・トーク:私のオススメ

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 近代科学社
  • 発売日: 2017/09/26
  • メディア: 単行本


情報処理学会誌の「ビブリオトーク」は情報処理に関して皆に読んでもらいたい、いやそれ以上に皆が読むべきだと思う本を、情報処理の研究者である著者たちが順に紹介したものである。


スキルアップ! 情報検索: 基本と実践

スキルアップ! 情報検索: 基本と実践

  • 作者: 中島 玲子
  • 出版社/メーカー: 日外アソシエーツ
  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: 単行本


的確な情報を、最適な情報源で、素早く見つけられるスキルが身につく!豊富な例題を通じて、検索方法の考え方を易しく解説。裏ワザまでマスターできる!情報検索を初めて学ぶ学生、スキルアップしたい現場の図書館員、体系的に学ぶ機会がなかった社会人におすすめ!


おおきく考えよう: 人生に役立つ哲学入門

おおきく考えよう: 人生に役立つ哲学入門

  • 作者: ペーテル エクベリ
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/10/11
  • メディア: 単行本


はるか昔から、たくさんの哲学者たちが、生きる意味について考えてきた。人間はほかの生きものと、どこがちがうんだろう?どうして社会をつくるのか?1人で生きていくことはできるだろうか?幸せってなんだろう?この本には、人生に役立つ哲学の知恵やノウハウが書いてある。でも、きみがどうやって生きるか、答えは書いてない。考えるのは、きみだ。「教育の国」スウェーデン発、幸福に生きるための考えるレッスン!


日本キリスト教史: 年表で読む

日本キリスト教史: 年表で読む

  • 作者: 鈴木範久
  • 出版社/メーカー: 教文館
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: 単行本


政治・宗教政策から観る通史!
キリシタン禁教、治安維持法、文部省訓令12号……。支配者の迫害に耐え、抑圧に抵抗し、時に屈服してきた信仰者たちの歴史は、信教の自由獲得を希求する歴史でもあった。体制変革をはらむ「カミの国」の思想と運動が、日本に投げかけたものとは何だったのか?
巻末に年表(1490~2017年)を収録。


皮膚は「心」を持っていた!山口創著 青春出版 [医学・健康]


皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: 新書



たいへんオモシロイ本だ。皮膚は、体をぐるっと覆っているウスイ皮膜以上のものであることを知ることができる。

皮膚は、他者との境界をなしている。その境界の意識が無いとどうなるか。他者も自分も無くなって(同化して)しまう。人間は、他者との関係をハカリながら生きている。ある時はベッタリを良しとし、あるときは、距離を置くことを望む。

そうした、距離感を適切にハカルことのできない人は、人間関係における種々の問題を抱え込む。それが元でうつ病になったりもする。距離感をハカルことのできない原因のひとつとしては、成育時の母子関係等があるようだ。「心」の健全な成長と「皮膚」はたいへん密接なつながりがあるようである。

本書では、皮膚を単なる人体の外縁を成すものではなく、感情・心と密接なモノであることが示され、瞑想、マインドフルネスより即効性のあるものとしてのセルフマッサージも紹介されている。

スキンシップの大切さは、以前から言われて久しいが、(とりわけ異性や思春期の子どもに対しては難しいものがあるが)どのように行うことができるかも示されている。

本書執筆の意図として著者は、①優しく温かい絆で結ばれた社会にしたい。②心を整える方法として「触れる」行為を見直してほしい、の二つをあげている。

これまで、知らなかった皮膚について多くの啓発を受けた。学んだことを実践するよう促される書籍だ。


以下は「蛇足」。ざっと読んで、南方熊楠の研究対象であった「粘菌」を想起した。粘菌は、単細胞で生活するが、多数が集合して同化し、巨大なモノともなる。

「粘菌」とは? 不思議な生物。 粘菌の世界
https://matome.naver.jp/odai/2140870299412708501

また、三島由紀夫の(正確なタイトルを失念したが)「手で触れるニューヨーク」というエッセイを思い出した。現代人の孤独は、モノからも疎遠となり、突き放されてあるところからもくる。

以下、目次

第1章 皮膚は「第二の脳」だった!?(肌に触れることは、心に触れること)
怒りっぽいのは「性格」のせいではなかった!? / 皮膚という「露出した脳」 / 頭が先か、体が先か。頭・心・体の関係 / 皮膚はもっとも原始的な感覚器 / 皮膚は“音”を聞いている / 耳では聞こえない超音波や低周波もわかる / 光や色も感知している皮膚 / 赤色にユニフォームで勝率が上がる!? / 皮膚はこんなに頭がいい / 目はごまかせても、皮膚はごまかせない / 触覚としての指紋の役割 / 皮膚は記憶を宿している / 触れられることからはじまる親子関係 / 胎児や赤ちゃんが感じるストレス

第2章 感情は「皮膚」でつくられる(イライラ、不安の理由は「肌」にある)
判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚!? / 体が温まると、心も温かくなる / 清潔にすることで罪悪感が軽減する / やわらかいものに触れると、心もやわらかくなる / 世界中の子どもが持っている「ライナスの毛布」 / 硬い肌着でストレスホルモンが増加 / 赤ちゃんが求めているのは「食べ物」よりも「肌感覚」 / 虐待が子どもの肌感覚に与える影響 / 「痛いの痛いの飛んでいけ」で痛みが軽くなる理由 / 孤独は心だけでなく体にも影響する / 紙の本と電子書籍、記憶に残りやすいのは? / 触覚の根っこは「命に触れる」こと / 年を重ねても触覚は衰えない

第3章 皮膚で「心を整える」方法があった!(この「触れ方」でポジティブに変わる
「触れる」機会が減りつつある現代人 / 皮膚が心地よさを感知するメカニズム / 動物にもある魚にもある「C触覚繊維」 / 「心地いい触れ方」の5つのポイント / こんな触れ方はやってはいけない / 触れることで、言葉以上に思いが伝わる / 「オキシトシン」というもうひとつの癒し / ストレスを軽くするスキンシップの秘密 / セルフマッサージで心を整える / マッサージでポジティブな心に変わる(実例:うつで悩んでいたクライアントが回復、体の不調だけでなく心も前向きに変化する、マッサージで過去のトラウマにアプローチ、母と子のコミュニケーションとしてのマッサージ) / 「触れる」ことで関係性がつくられる / マッサージをしている側にも変化が起こる / 災害、医療、子育て、介護・・「触れる」ことの可能性

第4章 「触れる力」が心を育てる (脳内物質「オキシトシン」の効果)
夫婦の絆を強くする脳内物質 / 子育て中の妻のイライラはオキシトシンが原因!? / 親子の愛情が深まり、子どもの情緒が安定する / 1~2歳の子どもの脳はだっこで育つ / 「触れない育児」が引き起こす悪影響 / 自閉症の子は脳のオキシトシンが少ない / ADHDの子どもも変わるタッチケア / 触れられ方の好みは人それぞれ / 「境界の感覚」を育むことの重要性 / スキンシップが多い子どもは学力が高い / 思春期の子どもの「触れ方」にはコツがある

第5章 「皮膚感覚」を活かす人づきあいのヒント (「心」に触れるコミュニケーション)
触れていなくても、そばにいるだけで心が強くなる / 相手を自分の一部のように感じるスペース / 「距離が近すぎる」というストレス / 添い寝するだけで自律神経が同調する / 病気の人には「付き添う」だけでもプラスの効果が / 「直接会わない」コミュニケーションのデメリット / 触れるだけで、相手に感情が伝わる / 相手のために触れる「慈愛の心」




子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/04/17
  • メディア: 新書



人は皮膚から癒される

人は皮膚から癒される

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 単行本



目次 『入門 貧困論――ささえあう/たすけあう社会をつくるために』 金子充著 明石書店 [社会学]


入門 貧困論――ささえあう/たすけあう社会をつくるために

入門 貧困論――ささえあう/たすけあう社会をつくるために

  • 作者: 金子 充
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2017/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


はじめに

第I部 貧困とは何か

第1章 身近にある貧困をとらえる――貧困・低所得・生活困窮の理解
1 誰が貧困状態にあるのか?(「貧困者」という聞き慣れないことば/ 低所得者 / 「貧困線」以下の人々 / 生活困窮者 / 生活保護受給者)

2 見えにくい貧困者をとらえる視点(ワーキングプア / 失業者 / ホームレス / 多重債務者 / 女性 / 子ども / 若者と高齢者 / マイノリティ〈傷病・障害者、性的マイノリティ、外国人)

3 貧困の場所/貧困の経験(「スラム街」はどこに? / ドヤ街から宿泊所へー貧困の不可視化 / 「貧困経験者」の語り / 作品から知る貧困)

第2章 何が貧困で、何がふつうの暮らしなのか――貧困の概念と定義
1 貧困とはどのようなことか(貧困とは「受け入れがたい」こと / 「貧困」と「貧困でないこと」 / 「絶対的」と「相対的」 / 「財」と「関係」)

2 「生存ライン」の貧困――最低限とは何か(ブースの貧困研究ー階層論 / ラウントリーの貧困研究ー最低生活費論 / 「第2次貧困」というジレンマ / 最低生活費の応用ーマーケット・バスケット方式)

3 「ふつう」が奪われた状態としての貧困(タウンゼントの貧困研究ー相対的剥奪論 / 暮らしにおいて何が剥奪されているか / 暮らしの実態や市民の意見を重視する / 時間的・関係的に貧困をとらえるー社会的排除論 / 貧困ではなく社会的排除がつかわれる政治的意図)

4 貧困の政治――「不正義」としての貧困を語る(貧困の「再概念化」 / 貧困者の行為主体性〈エージェンシー〉)

第3章 社会は貧困をどう見ているか――保守化する貧困観
1 貧しい人の肩をもつ人とそうでない人(貧困者にやさしく、でも少し厳しく / 貧困観の「転換」?)

2 貧困者はなまけている――「自己責任論」(自助こそが社会を良くする / 劣等処遇論 / 経済成長の「おこぼれ」をまわす)

3 貧困者が秩序を乱す――「貧困の文化論」(「美しい日本」をかき乱す人々 / 救済に値しない者がいる / 恥ずべき「貧困の文化」 / 貧困は遺伝するー貧困の優生学 / 当事者避難)

4 個人主義的貧困観はなぜ支持されるのか(消費される貧困観 / ネトウヨの貧困観察)

第4章 なぜ貧困が生じるのか、そして何をもたらすのか――スティグマ・不自由・不平等
1 貧困と救済のスティグマ(烙印を押さえるー「スティグマ」とは / 自助・自己責任から逸脱する者への軽蔑 / 「社会への負荷/ 迷惑」という罠)

2 貧困は不自由である――ケイパビリティ論(所得、幸福、生活の質 / 自由を奪われている状態としての貧困ーケイパビリティとは / 権原をもたないことによる貧困 / 積極的な自由の追求)

3 ぜんぶ資本主義のせいだ! ――搾取と抑圧からの解放の理論(貧困は必然的・法則的に生じる / 貧困を根本的になくすには / 脱工業化社会・消費社会における「新しい貧困」 / 「本質主義」と「段階論」を超えて)

4 格差・不平等はコントロールできる(日本が「格差社会」って、本当なのか? / 上位1%が冨を独占 / 平等・不平等は税と社会保障しだい)

第II部 貧困対策としての社会保障

第5章 政府が貧者をたすける理由――公的扶助の思想・理念
1 ナショナル・ミニマム――生産主義と「最低限」(混乱しているナショナル・ミニマム概念ーその源流は? / ナショナル・ミニマムと生産主義 / 最低生活基準としてのナショナル・ミニマム / ナショナル・ミニマムの限界)

2 生存権とシチズンシップ(生存権は「実質的」なものか / 生存権とナショナル・ミニマム / どのような意味の生存権かー社会権の広がり / 幸福追求の重要性 / 社会が市民に付与する「シチズンシップ」)

3 セーフティネットとワークフェア(「セーフティネット」が好んで使用される背景 / セーフティネットは3つの思想的立場から支持される / ワークフェアー「就労」を導く支援 / アクティベーションー活動や参加を導く支援 / 「働かない」を支援しなくていいのか)


第6章 公的扶助という名の貧者の管理――貧困対策と福祉国家の統治
1 「解放」と「抑圧」の貧困対策(人々を貧困から解放する、けれど抑圧する? / 社会保障は「発展」してきたのか)

2 近代化する欧米で救貧制度が生まれた意味(教会と国王の「施し」が救貧制度に代わってゆく / 国家の暴力を象徴する救民法 / 貧困者には労働を課すべき? / 自己責任と劣等処遇を強調する「改正救貧法」)

3 戦争と経済成長が福祉国家をささえた(救貧から防貧へー「扶助」の誕生 / 福祉国家の形成をうながした「総力戦」 / 公的扶助の終わり?)

4 「富国強兵」のなかの日本の公的扶助(新しい国づくりにおける救貧制度ー恤救規則と米騒動 / 戦争のための福祉は「福祉」なのかー軍事救護法 / 「労働能力のある貧困者」には救済よりも戦争をー救護法 / 生活保護に何が「移植」されたか)

第7章 公的扶助は「恥」なのか――社会保障のなかの公的扶助
1 公的扶助なのか、社会扶助なのか(「公的扶助」は最後のセーフティーネット? / 「公的」と「扶助」の意味 / どこの誰が最初につかいはじめたか)

2 救貧制度から脱却できない日本の公的扶助(「社会扶助」への発展を目標に / 現代における社会扶助・公的扶助の一般的定義 / 「公的扶助」を構成する6つの要素)

3 社会扶助における「社会」の意味を考える

4 社会保障における公的扶助の特性――4つの視点から(保険・扶助 / 資力調査・所得調査 / 普遍主義・選別主義 / 現金給付・現物給付)

第8章 生活をまるごと保護するとはどんなことか――生活保護の目的と原理
1 「最低生活」を約束する生活保護(生活保護の法律と考え方 / 健康で文化的な最低限度 / 最低限度でいいのか、という問い)

2 「自助」が基本、ゆえに資力調査をおこなう(自助および他の制度を「補足」する / 権利性を低めている資力調査 / 「適正実施」というスローガン)

3 「自立」の支援に力を入れる(最低生活保障+自立助長とは?/ 自立助長をセットでおこなうことは誰にとってメリットか?/ 自立支援プログラムの広がり? / 公的扶助におけるソーシャルワークはどこへ行くか)

第9章 保護は「依存」を生み出すのか――生活保護の内容・方法・水準
1 どのような給付があり、どのような保障をするのか(生活保護の8種類の給付 / 扶助の内容にかんする論点 / 就労自立をうながす控除と給付)

2 いくらもらえるのか、その基準は高すぎるのか?(どれくらいの水準で、どうやって決めているか / 低所得世帯にあわせて生活保護基準も下げるべきか)

3 「実質的な権利」と義務について考える(手続的権利と実質的権利 / 住所のない人に権利はあるか / 国籍のない人に権利はあるか / 「なまけ者」や「暴力団」に権利はあるか / 働ける人に権利はあるか / 生活保護法に書かれた権利・義務)

4 最後の最後のセーフティネットといわれて――生活保護施設(生活保護には「施設保護」という手段がある / 「廃人の収容施設」とされていた / 重複障害者や精神障害者の必要にこたえる / 地域における貧困者支援の拠点となるのか)

第10章 生活を保護する側の論理と苦悩――ケアとコントロールのジレンマ
1 福祉事務所と窮地に立つケースワーカー(期待されてきた福祉事務所 / 脱専門職化するケースワーカー)

2 管理統制と低コスト化――LCC化する福祉事務所(実施要領と「水際作戦」 / ケースワーカーの裁量と権力 / ストリートレベル官僚制 / 自立支援というソーシャルワーク / 低コスト化のなかのソーシャルワーク / ラディカル・ソーシャルワークと貧困の政治)

3 切り取られた受給者像――政府は何に悩んでいるか(生活保護受給者の数とその割合 / 受給世帯はどのような世帯か / 保護を受けはじめた理由・やめた理由 / 地域格差から見える生活保護の闇 / 逸脱への過剰反応が生み出す「不正受給」 / どれだけの貧困者が救われているかー捕捉率 / 統計による生活保護受給者の「他者化」)

4 生活保護費は悩みの種か?――財政をめぐる実像と虚像(生活保護費はどこから、どれだけ支払われているか / 生活保護費が自治体の財政を圧迫? / カネがないから保護を削れ、でいいのかー課税と所得再配分)

第11章 セーフティネットがたくさんあれば安心か――公的扶助の周辺
1 「第2のセーフティネット」への期待と現実(生活困窮者自立支援制度 / 求職者支援制度 / 生活福祉資金貸付制度 / ホームレス自立支援制度 / 児童扶養手当 / 無料低額診療事業 / 災害救助)

2 生活保護のほころびに「つぎあて」をする(「第2のセーフティネット」の位置づけ / 「防貧」なのか「救貧」なのか / 「第2のセーフティネット」は公的扶助なのか)

第12章 ジモトに広がる「ソーシャル」なたすけあい――非政府はどこまでやれるか
1 政府によらない支援のかたち(貧困にかかわる市民やNPO / ソーシャル・ビジネスと「新しい生活保障」 / ソーシャル・ビジネスと「貧困ビジネス」)

2 自助グループと当事者参加(「当事者」における貧困とのたたかい / 当事者参加を導く「地域のセーフティネット」)

3 窮地に立つ、公的扶助における「政府から非政府へ」(非政府による貧困者支援の特徴と課題 / 非政府は独立性を保ち、必要充足にかかわれるか / 政府の「見張り番」としての「非政府」)

第13章 貧困者を生まない社会保障は実現できるか――対貧困政策の国際的動向と展望
1 求められるベーシックインカム(現金給付のイノベーション / ロボットが働く時代の失業ー「技術的失業」は加速するか? / ベーシックインカムによる社会革命)

2 税制を用いた所得再分配のしくみと課題(負の所得税 / 給付付き税額控除 / 参加所得などの条件付き現金給付 / BI導入実験と財源確保)

3 海外の公的扶助はどうなっているか(公的扶助の国際比較 / 公的扶助の「レジーム論」 / 海外の公的扶助とその周辺の「厚い制度群」)

4 所得とケアを保障する対貧困政策の充実に向けて(生活保護をベーシックインカムに代える議論の危うさ / 個別的必要に応じる「ケア」はどうするのか)

おわりに
文献


世界「比較貧困学」入門 (PHP新書)

世界「比較貧困学」入門 (PHP新書)

  • 作者: 石井 光太
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/04/16
  • メディア: 新書



『無銭経済宣言』 マーク・ボイル著 紀伊國屋書店 [現代思想]


無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

  • 作者: マーク・ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2017/08/29
  • メディア: 単行本



本書は、理論編と実践編から成っている。
以下、理論編 「カネという幻想」から引用

***********

カネーこの魂のない、空虚で恣意的な概念、気まぐれな市場やインフレに左右され、それ自体は食べられるわけでも、屋根になるわけでもなく、愛情をくれるわけでもない。そんなカネが樹木よりもー酸素、水、食料、日陰、屋根、土壌構造を与えてくれる樹木よりもー、生きるうえで重要とされ、丁重に扱われ、神聖視されるようになってしまった。ぼくらはアリスの不思議の国にいる。すべてが予想外で、何物もあるべき姿にない。豊かで有意義な人生を送るために何が必要かを、人間は完全に勘ちがいしており、この勘ちがいのせいで、人間のみならず地球上のほかの動植物までもが、そうした生をまっとうできなくなっている。クリー・インディアンのことわざにあるように、われわれは、「最後の木が死に、最後の川が毒され、最後の魚をつかまえたときになってはじめて、お金を食べられないことに気づく」らしい。

お金の支配的な力を考えると、2008年になぜぼくがそういうやりかたを捨てて別の道を行こうと決心したのか、不思議がられるかもしれない。お金のない生活ーローカルな贈与経済(第2章を参照)の“ある”生活、とあえて呼びたいがーをはじめようと決めた当初、根拠となったのは、ひとつの大事な気づきだった。この世界の多くの苦難と破壊ー工場式畜産、労働搾取工場、森林破壊、生物種の絶滅、資源枯渇、先住民族・文化の消滅ーは、さらに根ぶかい問題の諸症状である、との認識だ。思うに、この地球上のほかの生命と自分との密接なつながりに救いがたいほど無知な人たちだけが、現在のようにふるまえるし、強烈な気散じに取りかこまれた人たちだけが、このようなふるまいの深い傷跡を感じとれない。お金は、みずからの消費習慣に直接起因するおそるべき結果をぼくらの目から遮断できるだけでなく、それ自体がもっとも強力な気散じとなる。

時間をかけてお金を使わずに暮らす経験を重ね、そこからさらに学ぶにつれて、カネなし生活を送る動機はほとんど無限大に広がってきた。かつての自分には想像もつかなかった気散じと断絶が、金銭の使用には組みこまれている。数えあげればキリがなく、ここでは網羅しきれない。以下、非常に重要だと思われるいくつかのポイントにしぼり、お金が人間の肉体的・感情的・精神的自己におよぼす影響や、その結果があらわれた社会と地球の現状について見ていこう。ただし、せんじつめれば簡単な一事につきるようだ。つまり、カネなし生活はぼく自身のありようを変えた、ということ。貨幣経済の外側で生きることによって、生命の有機的な流れのうちに身を置き、相互につながりあった一体性(ワンネス)を認識できるようになった。自己というものを、それまでとはちがう感覚でとらえられるようになったのだ。

「いまこそ孤立分離の幻想から目ざめるとき。」テック・ナット・ハン

(以上p33-34)

ここで読者に問うてみたい。自分は生気あふれる驚異の存在で、壮大な全宇宙を身中にやどしている、という自覚を持つ人が、どれだけいるだろうか。誰もが持ちあわせている美点、配慮、思いやり、自発性がつねに肯定され賞賛されるような世界に生きていると感じる人が、どれだけいるだろうか。誠実さと創造性がタイムカードの打刻や請求書の支払いよりも重要だと考えられるような世界に生きていると感じる人が、どれだけいるだろうか。多くはないと思う。だが、そのような世界に住めばもっと幸せで満ちたりた気分になれるだろうことを疑う人はいないはずだ。

原野は物理的空間よりもずっと奥深いところに広がっている。原野=野生は、われわれひとりひとりのなかにある本質的要素なのだ。これと指さすことはできなくても、その存在を感じとることができる。いうなれば、“野生とはワンネスを体感しワンネスに参加している状態のこと”であり、分断の道具たるカネの使用は、この体感を徹底的にじゃまだてする。

またいくつかの質問をさせてもらおう。とどろく機械音の下にきみは感じるだろうか。原生林が伐採しつくされ、木々の歌が、芳香が、栄光が、永遠に失われて末期の痛みを。新しい開発のまばゆさの向こうにきみは感じるだろうか。生物種が消滅し、その種固有の視点や生命観を二度と取りかえせなくなる損失を。また、金鉱にガラゴロとひびきわたる音の下に聞きとれるだろうか、かつて存在した文化がまるごとひとつ死に絶えようとする悲痛な叫びのこだまを。

何十万ーすでに世を去った人も勘定に入れれば何十億ーという人びとにとって、答えは悲哀と苦痛に満ちた「イエス」である。ところが、「先進」国の市民であるぼくらの答えはおそらく、おどおどと恥ずかしげな「ノー」だと思う。叫びも聞こえないし、痛みも感じられない。なぜなら、ぼくらはひとり残らず、そのようにプログラムされているからだ。聞こえないことが、感じないことが、グローバルな貨幣経済の維持には不可欠なのだ。そして、美しくもあさましいニワトリと卵のダンスさながらに、その制度を肯定し補強する文化に自分たちを封じこめてきた。勝ちほこったように両腕をつきあげ、まばゆい衣装をきらめかせながら、このダンスの中心に立っているのが、カネである。

(以上 p44-45「カネの文化」から抜粋)

それもすべて、人生を金銭に換算してきた結果である。どんな物にももともと金銭的価値があるのだから売ったり買ったりできる、と考えられるようになってしまった。今日「経済成長」と呼ばれているのは、自然的・社会的・文化的・精神的な共有物の単なる金銭換算にすぎない。土壌、美術、音楽、教育、もてなし、健康・・・。母性や地球の金銭的価値までが討議されている。商品化によって、これらに本来備わっていた意味や真正性がはぎ取られ、ありふれたサービスのひとつになる。資格を有する他人から購入可能なサービスに。誰もが取りかえのきく機械の歯車と化すなかで、コミュニティなど成立するだろうか。やりとりする相手が見ず知らずの人ばかりで、孤独感を抱かずにいられるものだろうか。

このような立場に身を置くのは危険だ。お金はコミュニティに代わって第一の安心源の地位を占めるにいたったが、財政破綻を経験した国ぐにが証明するように、これは本物の安心ではない。

ほとんどの人間関係が純粋に実利的な性格を持つようになった今日の貨幣経済とは対照的なのが、ルイス・ハイドらの論じる贈与経済である。(贈与経済については第2章を参照)。贈与経済社会における経済活動は社交の一部にすぎず、その第一目的は暴利をむさぼりあうことになく、関係性を強化し、つながりあうことにある。ラン・ブリュールによると、多くの部族社会において「純粋に実利的な人間関係は禁じられていた」が、一方で、今日の発達した貨幣経済では「ビジネスと遊びを混同すべきでない」と言われる(人間の発明のうちでも特に愚かしい金言)。毎日やる仕事が楽しくもなく、一緒に時間をすごしたい人たちに囲まれてもいないなんて、最悪の人生ではないか。その結果できあがる世界では、あらゆる経済活動に人間味がなく、「コミュニティ」といっても真の相互依存に欠けた表面的なコミュニティばかり。

『負債論ー貨幣と暴力の5000年』で人類学者デヴィッドグレーバーはさらに重要な指摘をおこなっている。負債をすぐさま返済することによって(厳密な形でそれを可能にするのが貨幣である)、人は以後、相手に対する負い目を感じないですむ。相手への負債は清算したのだから、われわれの社会の倫理観に従えば、なんらやましさを覚えずに関係を断つことができるのだ。(後略)

(p51,52 「本物のコミュニティには相互依存が必要」から)

みずからの健康と生命が《全体》の健康に依存していると人間が理解しないかぎり、大気と河川を汚染しながら地球上の魚や樹木や鉱物を残らず奪いつくそうと夢中になっているような文化に、適切に抗うことなどできやしない。米国の作家にして環境活動家のデリック・ジェンセンはこう指摘する。「食べものを食料品店から、飲み水を蛇口から得ている人は、それらをもたらしてくれるシステムを必死に守ろうとする。自分の命がかかっているからだ。ところが、食べものを土地から、飲み水を川から得ている人は、その土地と川を必死に守ろうとする」。お金ほど、ぼくらと土地の相互依存性についての理解をさまたげるものはない。

(p57,8 「消費する物との断絶」から)

本書であきらかにしたかったのは、“〈自己〉に関する錯覚こそが、昨今見られる個人の危機、社会の危機、生態環境の危機の根本原因である”こと、そしてまた、“お金はこの錯覚を温存し強化する道具だてである”ことだ。

目下の問題群にうまく対処したければ、ぼくらの自己認識を浸透させてきた分離幻想というおおもとを何とかしなければならない。ぼくらの土地を、コミュニティを、そして究極的には〈自我中心的な自己〉をもっと大事にしていくためには、〈相互依存的な全体〉の理解を取り戻さなければならない。それには、この錯覚を下支えしている物語に疑いを持ち、たたかいをいどまなければならない。その際に立ちむかうことになる最大の敵が、かの分離の装置たるお金だ。

お金は、あらゆる文化的情報ー人間関係、食、教育、健康、遊び、メディアーに入りこんできて影響をおよぼす。こうしたやりとりのすべてをとおして、自立(=非依存)と従順にほうびが与えられる。値段だけを見るように、その他の意味を切りすてるようにと、しむけられる。日常的に起きるたたかいの場面を考えてみよう。倫理性と利便性のたたかい、情熱と従順のたたかい、思いやりと快適さのたたかい。お金が決定的要因となりがちな場面はいくつあるだろう。これらはいずれも、ワンネスの経験に対して、われわれの内なる野生の経験に対して、しかけられている戦争の一環である。既成の制度によりよく奉仕するためにーその制度自体もお金に奉仕しているのだがー自分自身を飼いならすよう教えこまれる。

結果はどうか。野生の水牛と家畜の乳牛のあいだの差異を考えてみてほしい。目つきのちがいを、生活様式のちがいを、せまられる選択のちがいを。成育環境のちがいを、獲得するであろう世界認識のちがいを。"それぞれが生存のために重要とみなすものは何か”を。そのあとで、今日なおわれわれの文化の周縁で暮らす世界各地の諸民族について、何を知っているか考えてほしい。何千年ものあいだほとんど変化していないーただ変化する必要がなかったためにー社会について。

おそらくこれまでの全人生をかけて確信を強めてきたように、実際、ぼくらはちがう人種なのだ。「文明」-都市国家の文化ーは自分の足で猛々しく立つ。われわれが、殺戮する相手の悲鳴に耳を貸すことなく、同類の心臓をさしつらぬく痛みに気づかぬまま、生態系の崩壊に向かって轟然とつきすすむ民族であることは、けっして偶然ではない。お金は単なる道具である。野生に対する戦争において、あまたある兵器のうちのひとつにすぎない。しかしそれは、非常に強力な武器なのだ。人間が手にしたなかで、おそらく一番強力な。自分の内なる野生を経験させないために、自分自身の行為と無関係でいさせるために、同じコミュニティの成員と知りあわせないために、お金は必須の武器である。お金を使うだけで、ワンネスなど存在しないという認識を露呈することになる。お金を使うだけで、分離幻想を肯定し温存することになる。お金は、人類の存続を左右する環境の現状に対して、ぼくらを無知にする。

もちろん、この章全体もまた「物語」にすぎない。お金の物語そのものより現実味があるともかぎらない。現在人口に膾炙している物語よりも納得がいくかどうかを判断するのは、きみだ。われわれ全員が恩恵を享受できる習慣ー現行の貨幣制度のようにありとあらゆる次元においてわれわれ全員に危害をおよぼす習慣ではなくーにつながる物語かどうかを判断するのも。

選ぶのはきみだ。

(p74-76 「新しい物語を選ぶときはいま」から全文引用)

http://www.moneylessmanifesto.org/


The Moneyless Manifesto: Live Well, Live Rich, Live Free

The Moneyless Manifesto: Live Well, Live Rich, Live Free

  • 作者: Mark Boyle
  • 出版社/メーカー: Permanent Publications
  • 発売日: 2013/08/15
  • メディア: ペーパーバック



ぼくはお金を使わずに生きることにした

ぼくはお金を使わずに生きることにした

  • 作者: マーク ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2011/11/26
  • メディア: 単行本


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目次 『無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法』 マーク・ボイル著 紀伊國屋書店 [現代思想]


無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

  • 作者: マーク・ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2017/08/29
  • メディア: 単行本



【目次】
序文 チャールズ・アイゼンスタイン

第1部 理論編
1 カネという幻想
カネなし思想と自己幻想
カネの文化
時はカネならず
本物のコミュニティには相互依存が必要
消費する物との断絶
個人・社会・生態系・経済にカネが与える影響
〈規模の経済〉とカネの結びつき/〈分業〉とカネの結びつき/カネのもたらすムダ/価値の保存が生みだす圧倒的格差/売買と贈与のちがいは売春とセックスのちがい
新しい物語を選ぶときはいま

2 カネなしの選択肢
無銭経済とは
無銭経済の定義/贈与経済/一〇〇%ローカル経済/資源ベース経済/ペイフォワード
■コラム:贈与経済の実例

3 理念の進歩(POP)モデル
■コラム:カネなしの仲間たち

4 課題と移行策
現行の人間文化/工業文明への依存/土地所有制度/保険/子育て…


第2部 実践編
5 労働と有形物
働きかた
物の入手
日用品(フリーサイクルとフリーグル/フリーショップ/粗大ゴミ…)
本と新聞(本の交換サイト/ブッククロッシング…)
各種の道具
■コラム:石器製作の技術…

6 土地
自由/無料の地(窓ぎわなどの狭小空間/ランドシェア/ウーフ/都市部の荒れ地を菜園に)
心を揺さぶるビジョンの創出と情熱的追求(既存のコミュニティへの参加/ゴーストタウン…)
現実的な土地改革をめざす運動
■コラム:パーマカルチャーと再ローカル化…

7 住居
無料の家(スクウォッティング/ハウスシット…)
安く建てて無料で暮らす家(パッシブソーラー建築/土嚢工法…)
コンポストトイレ
■コラム:コンポスト――誰かのウンチは誰かの肥料

8 食べものと水
食べもの
野生の食の採集
自家栽培(自家採種と種子交換/多年生作物/循環型の生産体制/ゲリラ・ガーデニング)
スキッピング
その他のアイデア(卵/ハチミツ/保存食づくり/コミュニティ果樹園とアバンダンス・プロジェクト)
水(井戸とボーリング井戸/雨水の収集…)
■コラム:野生のタンパク源/アグロフォレストリー…

9 清潔と衛生
入浴の方法
からだ(洗顔ソープとボディソープ/デオドラント/保湿クリームと化粧水…)
歯と口腔(歯みがき粉/歯ブラシ/マウスウォッシュ)
ヘア(洗髪/カット/シェービング)
衣類(洗濯/乾燥/洗剤)
家まわり
■コラム:一〇〇%ローカルな素材を使ったそうじ

10 移動手段と旅の宿
移動手段(カネなしの靴/ヒッチハイク…)
宿泊(カウチサーフィン、無料のもてなしウェブサイト、あるいはなりゆきまかせ/野宿…)
■コラム:はだし歩き礼賛/路上のおきて

11 オフグリッドの生活
電気エネルギー/調理/防寒/オープンソース・エコロジー…

12 教育
非貨幣経済のための教育/フリースキルのつどい
■コラム:フリースキルのつどいでサワー種パン作り…

13 健康とセックス
〈自我中心的な自己〉と〈ホリスティックな自己〉の健康/ローカルなヘルスケアの選択肢/野生のセックス/セックスを語る/シンプルな選択
■コラム:野生の薬

14 衣類と寝具

15 娯楽
楽器の習得と製作/絵画の制作/路上パーティ/酒/カネの奴隷を脱する…
■コラム:ローカルなタダ酒…

16 はじまりはすぐそこに


ぼくはお金を使わずに生きることにした

ぼくはお金を使わずに生きることにした

  • 作者: マーク ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2011/11/26
  • メディア: 単行本



2017-10-29 [通読・積読中]


無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

  • 作者: マーク・ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2017/08/29
  • メディア: 単行本


「お金がないと生きられない」というのは、ぼくらの文化が創りだした物語にすぎない

貨幣経済だけが唯一選択可能な経済モデルではない――
自然界や地域社会とのつながり、生の実感、持続可能な地球をとりもどすための新しい経済モデルを提起した、フリーエコノミー運動創始者による「カネなしマニフェスト」。貨幣経済によらない生活のノウハウも多数紹介。

大きな反響を呼んだ『ぼくはお金を使わずに生きることにした』著者、待望の第2作!

「極端なのは、地球上の栄えある生命を、採鉱、皆伐、トロール漁によって効率的に現金化できる資源の一覧表としか見ない世界観のほうだ。極端なのは、気がねなく隣人に助けを求めるどころか、近所にどんな人が住んでいるかすら知らない現実だ。極端なのは、空き部屋のある家があふれている地域で、路上に寝起きする人がいることだ。極端なのは、銀行にカネを返済するために、やりたくもない仕事をして人生をすごすことだ。(略)極端なのは、タダで与えられたものの代金を、同じ自然界に属する他者に請求することだ。(略)極端なのは、善人気どりで食品の紙パックをリサイクルしながら、がけっぷちにむかって歩いていくことだ。(本文より)」

「本書の存在意義はもちろん、人間とカネの関係の再検討が必要だと信じる論拠を説明するのみにとどまらない。究極の目的は、読者が金銭ぬきで生活のニーズを満たせる(または少なくとも金銭への依存を小さくできる)方法(メニュー)を幅広く紹介することにある。自分自身の生きかたをもっと自分で決められるような、豊かな創造性を発揮できるような方法。自然界と地域社会に与えるマイナスの影響をおさえて、プラスの影響をふやす方法。喜びを感じなくなった仕事から自分を解放してやる方法。あるいはただ、自分のなかに存在することすら気づいていなかった未知の領域への道すじを。」(本文より)

「来るべき革命も、マークの論じた深みに到達するものでなければ加わるに値しない。生命の流れに身をまかせ、寛大さこそが人間性の本質であると認識し、与える者は与えられると信じる次元まで踏みこんだ変革でなければ。願わくは、本書を読んだ方がたが、そんな世界もありうるという確信を深められんことを。
――チャールズ・アイゼンスタイン(『聖なる経済学(Sacred Economics)』著者)

『無銭経済宣言』はお金に関する神話をくつがえし、お金は真の富ではないという真実に読者を近づける。土地、森林、動物、人びと、コミュニティ、人間の手こそが、真の富を生みだすのだ。財務大臣にこの本を読ませたい。本書は、偽りの世界に生きる銀行家、ヘッジファンド・マネージャー、金融業者の目をさまさせることだろう。『無銭経済宣言』は、お金がないと生きられないという幻想を打ちくだいてくれる。
――サティシュ・クマール(『リサージェンス&エコロジスト』誌編集長)

この本は読者を考えさせ、おどろかせ、思案させ、もしかしたら変えてしまうかもしれない。非常に重要な著作だ。
――ビル・マッキベン(『ディープ・エコノミー』『自然の終焉』著者)

広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡

広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡

  • 作者: 新村 恭
  • 出版社/メーカー: 世界思想社
  • 発売日: 2017/08/04
  • メディア: 単行本


目次 /  はじめに / Ⅰ新村出の生涯 / 萩の乱のなかで生を享ける――父は山口県令 / 親元離れて漢学修業――小学校は卒業してない /  静岡は第一のふるさと /  文学へのめざめ、そして言語学の高みへ ――一高・東大時代 / 荒川豊子との恋愛、結婚 /  転機、欧州留学 /  水に合った京都大学――言語学講座、図書館長、南蛮吉利支丹 /  戦争のなかでの想念 / 京都での暮し――晩年・最晩年 /  新村出が京都にのこしたもの // Ⅱ 真説『広辞苑』物語 / 『辞苑』の刊行と改訂作業 / 岩波書店から『広辞苑』刊行へ /  『広辞苑』刊行のあとに // Ⅲ 交友録  徳川慶喜の八女国子――初恋の人 / 高峰秀子 / 佐佐木信綱 / 川田 順 /
そのほかの人びと //  資料について /  新村出略年譜  参考文献  あとがき 

世界最古の物語: バビロニア・ハッティ・カナアン (東洋文庫)

世界最古の物語: バビロニア・ハッティ・カナアン (東洋文庫)

  • 作者: Th.H. ガスター
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2017/09/11
  • メディア: 単行本


ギルガメシュ叙事詩ほか、旧約聖書やホメロスの叙事詩よりもはるか以前、四千年前に近東で語られていた物語。遺跡の粘土板上に残されたそれらを復元・解説し、わかりやすく語り直す。

塑する思考

塑する思考

  • 作者: 佐藤 卓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/07/31
  • メディア: 単行本


デザインの本質は、物や事をカッコよく飾る付加価値ではありません。あらゆる物や事の真の価値を、あらゆる人間の暮しへと繋ぐ「水のような」ものなのです。デザインの第一線で活躍する著者が、全身で柔軟に思考する22章。デザインを介して検証する人の営み。

国連で学んだ修羅場のリーダーシップ

国連で学んだ修羅場のリーダーシップ

  • 作者: 忍足 謙朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/08/08
  • メディア: 単行本


自衛隊の引き揚げで話題になったスーダン、今や世界中の注目を集める北朝鮮、その両国で継続的な食糧支援の指揮をとった日本人がいる。 / 忍足謙朗、元国連WFP(世界食糧計画)アジア地域局長。 / その使命は、過酷な地で明日の食べものに困る人々に、いかなる方法であろうと食糧を届けること。 / 彼は30年以上にわたって国連に勤務し、常に緊急支援の現場の最前線に立ってきた。 / 2006年にはスーダン共和国で世界最大規模となる緊急支援の指揮を任され、77国籍からなる3000人のスタッフを大胆かつ思いやりのあるリーダーシップで導く。 / 紛争や自然災害で混乱した修羅場において、異なる国籍の人々をどのように束ね、一つの目的に向かわせるのか。グローバルに通用するリーダーシップについて綴ったのが本書。 / 「情熱大陸」「プロフェッショナル 仕事の流儀」「世界一受けたい授業」に出演し話題を呼んだ。

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

  • 作者: アンドレアス ワイガンド
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本


【目次】
■はじめに データ、データ、データ! すべてがデータになる時代

■序章 常識を逆転させたアマゾン
「編集者による製品レビューよりもカスタマーレビューの方が役に立つ」。
私はアマゾンのチーフ・サイエンティストとしてジェフ・ベゾスとeコマースの価値観を
築き上げた。本書ではフェイスブックやウーバーなど巨大データ企業の秘密を解き明かす

■第1章 データの積み重ねが財産になる
1節 毎日100億回以上グーグル検索される
2節 データはA/Bテストで毎分精製される
アマゾンでは2000年代初頭に、データ・サイエンティストたちが顧客とサイトとの
交信のデータを徹底的に分析、さまざまなことを明らかにした。たとえば顧客が
ある商品を購入するか否かを予測するうえでは、その商品と他の商品の関連性が大事だ

■第2章 「いいね!」はあなたを映す鏡
1節 プライバシーは幻想である
2節 ネット上で「忘れられる権利」
フェイスブック上のクリックでIQ、政治信条や性的指向は正確に予測される。
あるいはタッチスクリーンの触れ方やスマホを握るときの手の震え方も個人を特定する
には十分だ。デジタル世界に刻まれた痕跡があなたという存在を浮かび上がらせる

■第3章 そのつながりが経済を動かす
1節 ザッカーバーグが広めた「ソーシャルグラフ」
2節 信頼が新たな市場を生み出す
AT&Tによる他者とのつながりを利用したマーケティングでは契約率が5倍になり、
米国ではソーシャルなメッセージが34万人を追加で投票に向かわせた。アマゾンも
知人から勧められた商品は買うという特性を発見し、新しいプログラムを始めた

■第4章 1兆個のセンサーがあなたを記録する
1節 位置も人間関係も感情もすべて読み解く
2節 「偽の自分」はつくれない
全米では毎月1億件のナンバープレート情報が集められ、車がいつどこにいたか
特定される。肌に貼れる最新の無線センサーは汗からストレスを探知し、視線追跡装置
は従業員の注意力を測定。さらに思考の一端を読み取るfMRIスキャナーも登場

■第5章 もしフェイスブック・ユーザーが死んだら
フェイスブックでは年100万~1000万人が死んでおり、誰がアカウント管理するかという問題が起きている。あるいはエアビーアンドビーでは信頼感を醸成するため政府IDなど幅広い個人情報が要求される。データ企業の透明性を高める方法とは

■第6章 ウーバーのドライバーは悩んでいる
ウーバーで高い評価を確立したドライバーは他の配車アプリにも自らを登録するべきだろうか。あるいは同僚に見られる可能性を承知でリンクトインではどれほどの情報を提供するべきだろう。ユーザーがデータ企業に対して主体性を持つ条件を検討する

■第7章 データエコノミー
1節 小売・金融・職場・教育
2節 医療・公正さ
フェイスブックの友達リストを見て融資可否を判断する金融機関。暗記能力を問うのではなく学生同士の議論を促す教育アプリ。スマホで運動や食事を管理し、医師と記録を共有。膨大なデータから質の高い意思決定を導くための六つの権利を具現化する

■エピローグ データをわれわれの手に取り戻す


最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

  • 作者: 本山 勝寛
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2017/08/20
  • メディア: 単行本



面白くて眠れなくなる数学

面白くて眠れなくなる数学

  • 作者: 桜井 進
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『世界の見方が変わる50の概念』 齋藤 孝著 草思社 [哲学]


世界の見方が変わる50の概念

世界の見方が変わる50の概念

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: 単行本



「概念」を使いこなすクセをつけ、実際に「概念」を使いこなして生きる力に変える」よう助ける本。50の「概念」がセレクトされている。それらは、著者が大学に入ってからずっと使いこなしてきて人生の役に立った「概念」。それぞれの解説において、著者は、「概念」の学問的背景押さえつつ、実際、どのように使ってきたかという視点を加味している。質問と答えの形式で、一つの概念が4ページで示されていく。読み物としてもオモシロイ。(以下は、「序 〈概念〉を味方につければ、世界の見方が変わる」からの抜粋しまとめたもの)。

「概念」の辞書的な定義は「事物の本質をとらえる思考の様式」、「具体的なものごとはさまざまバラバラに見え」るが、「そこに共通する〈本質〉をつかまえて言葉にしたものが〈概念〉」。ゆえに「抽象的なもの」。

「概念でいろいろなものを見ると、ものごとが新しい視点で見え」、「具体的な見方では見えてこない本質まで見通すよさが抽象語には」あり、「すぐれた概念は、世界の見方、ものの見方を変えてくれ」る。たとえば、ニュートンの万有引力という概念によって、人類の宇宙観は変わった。

「すぐれた概念は、先人の知恵と思考の結晶。世界の見方を変え、思考を豊かにしてくれる。不安定になりがちな心をしっかりさせてくれるものでもある。概念を知って味方につけると、世界がクッキリ見えてくる。新しいものの見方で自分や社会を見ると、これまで思っていたこととちがうことが見えてきて、今までもやもやしていたのがスッキリする。概念には、人生をラクにしてくれる効用がある。概念を味方につけると、この世界に対する処方箋が見えてくる。

概念はものごとを見る視点、世界を見る視点。視点を持っていると、いろいろな現象がつながって見えてくる。異なる現象がつながってきて、共通するものとして見渡せるようになる。一つひとつの見た目のちがいにとらわれないで、見渡して共通のものが見えてくる。

概念を味方につければ、思考力が高まり、思考の生産性が上がり、世界の味方が変わる。概念を使いこなせるようになると、見える風景がちがってくる。「知性とは概念を使いこなす力」。

本書の目的は、概念を知識として身につけているだけでなく、自分のエピソード付きの経験として語れるようになること。「(ある概念を)自分の経験でちょっと言ってみてください」と言われたときに、自分に引きつけて考えられるならば、それは概念が使いこなせていることになる。

厳しく複雑なこの世界を生き抜くために、〈概念力〉を身につけたい。

取り扱われている「概念」は、以下のもの。 パノプティコン、野生の思考、オリエンタリズム、ノマド、トゥリー/リゾーム、記号の消費、差異の体系、パラダイム、反証可能性、実存主義、不条理、間主観性、エス/自我/超自我、快感原則/現実原則、中庸、イデア、理念型、超人、身体知、自然体、呼吸、型、技化/質量転化、顧客、マネジメント、交渉、他力本願、アイデンティティ、天地有情、離見の見、スタイル、加速度、フロー体験、弁証法、胆力、素読、マインドフルネス、通過儀礼、過剰性、美意識、単独者、浄化、祝祭、侵犯、上機嫌、模倣の欲望、ビルドゥング、智・仁・勇、悟り、粋

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