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『重版未定』 川崎昌平著 河出書房新社 [マスメディア]


重版未定

重版未定




マンガである。描いたのは誰かと思ったが、示されていない。著者として示されているのは川崎昌平ひとり。それゆえ、川崎氏が描いたと結論した。著者プロフィルをみると芸大を出ているというのでまちがいないであろう。

それでも、絵画に達者であれば、マンガも上手くいくかといえば、そういうものでもないように思う。著者は、「ネットカフェ難民」で流行語大賞を取っているという。要するに、多彩な能力の持ち主で著者はあるということなのだろう。

本書は、出版の世界、編集者の仕事がわかる本である。しかし、それは大手出版社ではなく、弱小零細出版社のソレである。出版の業界用語がフキダシに、たいへん小さな文字で示される。他業種(デザイナー等)と編集者とのやりとりなど、その工程も主人公の活躍をとおして知ることができる。編集者だけでなく、営業、編集長らの苦労もわかる。

そして、(これは人によるかもしれないが、少なくとも当方には)マンガとしてもオモシロイ。けっこう笑えた。

ソフトカバー製本だが、全体に良い質の紙が用いられている。これで1000円(税別)はいまどき安いと思う。

著者の他の本にも目を通してみたく思う。


重版未定 2

重版未定 2

  • 作者: 川崎 昌平
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/05/29
  • メディア: 単行本



流されるな、流れろ!  ありのまま生きるための「荘子」の言葉

流されるな、流れろ! ありのまま生きるための「荘子」の言葉

  • 作者: 川崎 昌平
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2017/04/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



小幸福論

小幸福論

  • 作者: 川崎昌平
  • 出版社/メーカー: オークラ出版
  • 発売日: 2016/06/16
  • メディア: 単行本



はじめての批評  ──勇気を出して主張するための文章術

はじめての批評 ──勇気を出して主張するための文章術

  • 作者: 川崎昌平
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2016/06/25
  • メディア: 単行本



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『図解 基本ビジネス思考法45』 執筆: 嶋田毅 [哲学]


グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45

グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45




45種の思考法を紹介するハンドブック。

著者は「ちょっと知っておくだけで生産性が上がる思考法を知らないというのは」モッタイナイという。

そして、本書において「先人が提唱し、磨きをかけてきた思考法についてリストアップし、網羅的に紹介」していく。その点で、「中には包含関係にあるものもあるなど、ややレイヤー感や粒度にバラつきもありますが、思考法というテーマゆえの部分が大ですのでご容赦いただければと思います」と(「はじめに」)にある。

「どこまで実践できるかはさておき、まずはさまざまな思考法があることをご理解いただけただけでも本書を手に取っていただいた価値はあると思います。自分自身を振り返りながら『まずはここを鍛えなければ』というものを探し、取り掛かるヒントにしていただければ幸いです。(「おわりに」)」

各思考法ごとに、簡単な説明(以下に引用)。活用できる場面。どのような思考法か、その具体的事例、最後に「コツ・留意点」が簡潔に示されている。

自分の思考のワクの中で堂々巡りに陥ったとき、本書をチラとひもとくだけでも、堂々巡りの回路から脱出できそうである。ただ、少々文字が小さいのが難点。

目次 

1章 クリティカル・シンキング基礎編

論理思考:筋道だった合理的思考様式や方法論。行動的直観的思考と対比される。いくつかの要素技術によって成り立っている。

批判的思考:健全な批判精神を持ちながら、論理的思考ができているか否かをさらに一段上の視点から見る思考。バイアスや思考の罠にとらわれていないかを見極める思考も含まれる。

メタ思考:自分自身を客観視する思考法。自分自身を見つめるもう1人の自分が別にいるというイメージで説明される。

演繹的思考:一般論・普遍的な大前提を個別的・特殊的なケースに当てはめて結論を得る論理的推論の方法。

帰納的思考:さまざまな観察事項からその共通点を見出し、一般論を導き出そうとする思考方法。

科学的思考:事象の生じる原因や仕組みを調べる観察や実験を実施し、その結果を総合的に考察し、その中から規則性を見出し、普遍的な法則を発見する思考。

確率思考:特定の状況のみを考慮するのではなく、それぞれの状況が生じる確率を意識し、期待値が最大になるように意思決定・行動する思考法。

統計思考:意思決定にあたって、統計手法の考え方を考慮する思考。また、統計の落とし穴に陥らないということも含意する。

フェルミ推定:実際の値がすぐに分からない事柄について、比較的手に入れたり推定しやすい情報から概算値を導く思考法。物理学者のエンリコ・フェルミに由来する。

2章 問題発見編

仮説思考:仮の答えである仮説を立てながら(持ちながら)、それを検証し、物事を前に進めようとする考え方。問題解決の基本姿勢でもある。

「Why」思考:①問題の原因を表層的に捉えるのではなく、「Why?(なぜ?)」と問いかけることによって掘り下げて考える思考法。②また、物事がなぜ現在のやり方で行われているかを疑う思考法を指すこともある。

論点思考:真に解決すべき問題を的確に把握し、組織全体として問題解決の効率・効果性を上げようという考え方。

フレームワーク思考:物事の全体像を捉えたり何かを分析・立案する際に、何らかの枠組みを用いることで、その効果率や効果性を上げようという思考法。

本質思考:一般的には、①物事の最重要ポイントを適切に見極めようとする思考法を指す。狭義には、②物事の構造とダイナミズムから、物事の急所を押さえようとする思考法を指す。

複眼思考:多様な視点から物事を見ることで、さまざまなステークホルダーにとって、Win-Winとなる解決策をとろうとする思考法。

俯瞰思考:より高次の視点から物事を見ることで、全体像を把握したり、経営にとって重要なポイントを見逃さない思考方法。

システム思考:独立した事象に目を奪われずに、各要素間の相互依存性、相互関連性に着目し、全体像とその動きを捉える思考方法。

3章 問題解決編

AND思考:①安易にトレードオフに流されずに、物事を両立させながら問題解決を図っていこうという思考法。また、②一石二鳥の施策を積極的に講じる場合にもAND思考という場合がある。

アナロジー思考:似たエッセンスを持つ事例からヒントを得、それを問題解決や他のメンバーへの説明に活かす思考方法。

全体思考:全部を部分に細切れにブレークダウンしていくのではなく、全体を包括的(Holistic)に捉え、問題解決に活かそうという思考法。

4章 クリエーション編

クリエイティブ・シンキング:枠組みにとらわれず、自由な発想を行い、アイデアを出していこうとする思考法。ロジカル・シンキングと対比されることが多い。

水平思考:それまでのものの見方や概念にとらわれずアイデアを生み出す思考法。エドワード・デボノが1967年に提唱した。英語ではラテラル・シンキングと呼ばれる。

ゼロベース思考:既存の前提や常識にとらわれず、物事をゼロベースで考えていこうという思考方法。水平思考の要素ともいえる。

IF思考:「もし○○○という条件がなかったら」あるいは「もし△△だったら」など、「IF」の世界を想像することで、新しいやり方などを生み出そうという思考法。

プロヴォカティブ・シンキング:「たぶんできる。そのためには・・・」と考える発想法。プロヴォカティブ(provocative)の元々の意味は「挑発的」など。

ずらし思考:①視点、ものの見方を変える思考法。②あるノウハウや知見を異なるビジネスなどに応用する思考法。

ビジョナリー思考:壮大なビジョンを描き、それを実現しようという思考法。未来を待つのではなく、未来を自ら作る思考法とも言える。

マインドマップ:頭の中で起こっていることを可視化する思考ツール。トニー・ブザンが提唱した発想法である。ThinkBuzan社が商標登録している。

デザイン思考:デザイナー的な感性と手法を用いて、ユーザーのニーズと技術的な実現性、ビジネスの戦略を整合させていくことで、市場機会を生み出し、実現させていく思考方法。

5章 ビジネス実務編

戦略的思考:①経営戦略の発想法を日常の仕事などにも当てはめた考え方。②ゲーム理論を用い、ゲームの発想を日常業務に当てはめた思考法。

タイムマシン思考:あるテーマについて、世界の最先端で起きている事例や現象に着目し、それを自国や自社ビジネスに活用する思考法。

逆算思考:未来のビジョンや想定される状況から逆算して今なすべきこと、あるいはその過程でなすべきことを考える思考法。バックワードの思考法とも言う。

ニーズ思考:顧客のニーズを優先的に考え、そのニーズを満たそうとする思考法。特に製品開発の場面ではニーズ発想というケースも多い。

シーズ思考:自社が社内に持つシーズをベースに、そのシーズを活用して顧客のニーズを満たせないかと考える思考法。シーズ発想とも言う。

ビジネスモデル思考:ビジネスの仕組みを構造的に考え、どのように儲けたり成長したりするかを考える思考法。

利益思考:①利益をいかに効率よく上げるかを考える思考法。②儲けのメリハリなども含め、トータルとしていかに利益を生み出すかを考える思考法。

チーム思考:変化が速い時代に適切に対応すべく、比較的少人数のチームで問題解決に当たり、組織全体の生産性や競争力を上げようとする考え方。

Not knowing思考:不確実な時代に、「無知」の状態を最大限に活用し、「出現する未来」に柔軟に対応する思考法。スティーブン・デスーザとザダイアナ・レナーが提唱した。

6章 歴史・哲学編

哲学的思考:2000年を超える歴史を持つ哲学の考え方をビジネスに活かそうという思考法。特に深い思索や議論するという行為を重視する。

歴史的思考:世界史や自国の歴史を学ぶことで、人間の本性に対する理解を深め、それを未来に活かしていこうとする思考法。

弁証法:ある命題(テーゼ)と、それと対立する命題(アンチテーゼ)から統合した命題(ジンテーゼ)を導き出すアウフヘーベン(止揚)の考え方をベースとした発展的思考法。哲学者のヘーゲルによって体系化された。

思考実験:実際に実験を行うのでなく、頭の中に前提を置いて「もしこうしたらこうなるのでは」と考えたりシミュレーションを行うこと。

7章 自己啓発編

ポジティブ・シンキングとネガティブ・シンキング:積極的あるいは楽観的な考え方をすること。消極的あるいは悲観的な考え方をすること。

7つの習慣:人生において成功するために必要な習慣を7つにまとめたもの。スティーブン・R・コヴィーによって1989年に紹介された。

ストーリー思考:未来の自分を思い描き、それを実現するためのストーリーを作ることでその実現可能性を高めようという思考法。
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『記者と権力』 滝鼻 卓雄著  早川書房 [マスメディア]


記者と権力

記者と権力




カバー袖には「いまジャーナリストに求められる覚悟とは! 読売新聞東京本社社長巨人軍オーナーを歴任した著者が、「権力者への取材」「記者クラブ」「匿名報道の是非」「朝日新聞と読売新聞の違い」など、現代ジャーナリズムの最重要テーマに切り込む!」とある。

執筆動機については、「プロの役割を果たせるジャーナリストを目指す若い人たち、将来ジャーナリストを一生の仕事にしたいとこころざしを抱いているもっと若い人たちに向かって、少しでも役に立てばと思い立って、この本を書いた。混迷に陥ってしまった今日のメディアの状況が改善されればという願いもあった。(『あとがき』)」と、ある。

著者自身の「駆け出し」時代、社会部記者、司法担当記者としての経験からでた考察は興味深い。ニュースソースの探し方、つき合い方、関わり方、守り方など、具体的事例が示される。民意を知る上で「個別訪問面接聴取法」の有効性や「記者クラブ」の6つの罪についての記述もある。

登場する人物たちも魅力的だ。弁護士喜多村洋一、「朝日新聞記者の中にあって、私が尊敬する人物」疋田桂一郎・深代淳郎、読売新聞の渡邊恒雄記者、「ミスター特捜」と呼ばれた吉永祐介、「ミスター検察」と言われた伊藤栄樹、「司法界の内外から“ミスター司法行政”と皮肉を込めて呼ばれ」著者が告別式で弔辞をよんだ最高裁長官:矢口洪一など。

目次

プロローグ

覚書1 塀の上を歩け
覚書2 ディープスロート
覚書3 権力者たち
覚書4 駆け出し記者
覚書5 書くことと書かないこと
覚書6 西山事件
覚書7 裏世界の紳士たち
覚書8 なぜ匿名報道なのか
覚書9 朝日と読売
覚書10 記者クラブの功罪
覚書11 民意を知る方法はあるのか(トランプ時代の世論)
覚書12 特捜部、出入り禁止
覚書13 裁判をしない裁判官
あとがき


新聞記者 疋田桂一郎とその仕事 (朝日選書 833)

新聞記者 疋田桂一郎とその仕事 (朝日選書 833)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2007/11/09
  • メディア: 単行本



深代惇郎の天声人語 (朝日文庫)

深代惇郎の天声人語 (朝日文庫)

  • 作者: 深代惇郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2015/09/07
  • メディア: 文庫



渡邉恒雄回顧録 (中公文庫)

渡邉恒雄回顧録 (中公文庫)

  • 作者: 渡邉 恒雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/01/01
  • メディア: 文庫



検事総長の回想 (朝日文庫)

検事総長の回想 (朝日文庫)

  • 作者: 伊藤 栄樹
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞
  • 発売日: 1992/01
  • メディア: 文庫



後藤田正晴と矢口洪一: 戦後を作った警察・司法官僚 (ちくま文庫)

後藤田正晴と矢口洪一: 戦後を作った警察・司法官僚 (ちくま文庫)

  • 作者: 御厨 貴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/07/06
  • メディア: 文庫



田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察「栄光」の裏側

田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察「栄光」の裏側

  • 作者: 村山治
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/07/20
  • メディア: 単行本



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「書かないことの重大さ」(滝鼻 卓雄著『記者と権力』から) [マスメディア]


記者と権力

記者と権力




著者は、司法記者として自分のかかわった著名な人物たちをたいへん魅力的に紹介している。そのこと自体が目的ではないが『覚書5 書くこと書かないこと』に登場する「マスコミから厳しく叩かれるような被告人たちの弁護団に加わっていたことで、その名を知られている」喜多村洋一もその一人だ。

喜多村の登場する部分を以下に引用してみる。

*************

喜多村が担当した事件を冷静に観察してみると、マスコミの網にさえ引っかからなかった検察側の“弱点”を見事に見つけ出して、検察側主張の崩壊につなげている。そんな辣腕ぶりが喜多村の魅力だ。

喜多村は、法廷での証人尋問でのテクニックに長けていた。検察側の尋問ミスを巧みに突き、そこから検察官の主張のほころびを広げていく。その法廷技術は並大抵ではない。世間で「悪党」と言われる人物は多々いるが、マスコミ報道によって「悪党」という極彩色で塗り固められた人物を弁護する仕事は、そんな簡単なことではない。事件を依頼されても初めから断ってしまう、腰の引けた弁護士が多い。

でも喜多村は逃げない。

(中略)

喜多村に聞きたかったことは、次の質問だった。

「私も含めて近年のジャーナリストは、プライバシーなどの基本的人権の尊重や個人情報の保護といった“建前”だけにこだわりすぎて、“建前”を理由にして、真実への接近を怠っているのではないか。あるいは“建前”を口実にして、書かなければならないことを書いていないのではないか」

自由人権協会の代表理事を務めている喜多村のことだ。私の問いに反論してくるのでは、と予感していた。

だが喜多村はこう答えた。

「報道の自由とは、情報を受ける市民の知る権利を実質的に保障するものです。ですから報道の自由も人権の一つであり、市民のために十分行使されるべきです。(書くべきことを書かないことは)社会全体で共有すべき情報、公共財としての情報が流通しないことになるのです。ジャーナリストの自己規制が強すぎるのではないかと思います」

(このあと、人権意識の高まりとともに、被告人の名が呼び捨てから「容疑者○○」となったこと、容疑者の過去について報道することが「基本的人権」を損なうという考え方が拡がったことについてふれられ・・)

容疑者の過去とは、出身地や家庭環境、特に教育環境、そして両親・兄弟の事情、本人の犯罪歴、病歴などである。

「犯罪は社会の病理現象である」としばしば言われる。病変の原因を突き止めるために病理解剖が実施されるように、犯罪という病変の源泉を知らなければ、犯罪が起きた背景は解明されない。背景をきちんと書き込まないと、報道の意味はなくなってしまう。

そんな思いがあって、喜多村にさらに質問した。

「(最近川崎で起きた少年事件に関連して)18歳の少年が逮捕されたが、この少年の家族のこと、育った環境、交友関係などを書いてはダメなのか。実名を出したらどうなのか。もちろん少年法の規定は知っているが」

喜多村は、少年の実名を書くことの是非には触れなかったが、「(新聞が)“書かないことの重大さ”を分かっていないのではないか」と言った。

(次いで著者は2015年2月の川崎の事件に言及し、当時マスコミが知りたいことを知るべきことを十分に報道していなかったことについて述べる)

前にも言ったが、犯罪はその時代の病理現象だ。病んだ社会の深部に潜んでいる病理をえぐるのが、犯罪報道であり、社会部に籍を置くジャーナリストたちの使命と言っても大げさではない。ジャーナリストが取材する「事実」とは、警察や検察の捜査機関が提供する事実(有罪を立証するのに必要な事実といってもいい)、さらには裁判所の判決に盛り込まれている犯罪事実(有罪、無罪を決めるために必要な最小限の事実といってもいい)ではない。逮捕状や判決文にある「事実」を探るのは、ジャーナリストの仕事ではない。

川崎で惨殺された少年の周辺にいた、子供たち、大人たちの証言を丹念に拾い集め、さらに犠牲になった13歳の少年と、首謀者と言われている18歳の少年との関係を綿密に調べることで、この事件の最深部に潜んでいる病理が見えてくるはずだ。

ここで大切なのは、取材したすべてのネタをニュースにしてはいけないということだ。取材と報道の間には、基本的人権のフィルターがあるべきであり、その判断を最適化するのがジャーナリストの力量というものだ。基本的人権に関する判断は、取材行為と報道行為の間にあるべき判断であって、取材以前の段階で行うことではない。


犯罪報道は間違った方向へ進んでしまった、と私は考えている。我々はマニュアルばかりをつくり、その結果、取材・報道に新しいニュース価値を見つけようとした者の“芽”を摘んでしまったのかもしれない。

犯行現場に花を手向ける人たちの姿が、毎日映像化されているが、そのような報道は、事件にステレオタイプな感情を植え付けるだけだ。急激に盛り上がった感情は醒めるのも早く、結果として、事件を風化させることになる。最近起きた障害者施設を襲った凄惨な事件でも、同じような映像が連日のように流されている。

再度同じことを言う。読者が真に知りたいことを書く。読者が知りたくないと感じることもあるかもしれないが、それでも知らせなければならないことは書く。

優れたジャーナリストたちは、事件の最深部まで行き着くように努めてきた、と思う。しかし、私に限っていえば、プライバシー、個人情報の保護、基本的人権の尊重という、「建前」にとらわれ過ぎて、真実への接近を困難にする “壁”を作る流れに加担してしまったという反省がある。

喜多村の言う「書かないことの重大さ」をもう一度よく考えてみたい。



騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

  • 作者: 清水 潔
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/07/17
  • メディア: 新書



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広告主の圧力、政治家の圧力(滝鼻 卓雄著『記者と権力』から) [マスメディア]


記者と権力

記者と権力




著者は、讀賣新聞の記者であり経営者もつとめた方。

「あとがき」によると執筆動機は、次のようなもの。「プロの役割を果たせるジャーナリストを目指す若い人たち、将来ジャーナリストを一生の仕事にしたいとこころざしを抱いているもっと若い人たちに向かって、少しでも役に立てばと思い立って、この本を書いた。混迷に陥ってしまった今日のメディアの状況が改善されればという願いもあった。」

経験に裏打ちされた情報は、たいへん勉強になる。


以下は、ジャーナリストへの「圧力」をどうみなすべきかが記された部分。

******以下、引用******

権力者たち、それが政治家であっても公務員であっても、ときには宗教的な指導者の場合でも、彼らに可能な限り接近して取材することは、ジャーナリストの大切な使命である。中でも国民に知らせたくない秘密を握っている公務員は、本来隠すべきでない事項であっても、ことのほか秘匿したがる。または、ルール上「秘密」であっても、そのルールが間違っていることもある。

最近の「事件」だが、自民党の一部の国会議員が、言うことを聞かないメディアに対しては、広告主を使って圧力をかければいい、というような発言をして問題になった。これに対して、ほとんどのメディア(新聞社やテレビ局の組織メディア)は、「言論への圧力」というとらえ方をした。

しかし私の考え方は少々違う。

まず一部の政治家の新聞社についての理解が間違っている。私の経験でいえば、記者時代も新聞経営に関わった時代でも、広告主の圧力はあったが、それで記事を曲げた経験はない。取材を中止したこともない。中止させたこともない。

いまごろになって例として出されては、その企業には迷惑なことだろうが、1970年代にホンダの小型車が“欠陥車”と指摘されて、社会問題に発展した事件(N360事件)があった。 そのとき私は検察庁を担当していて、欠陥車事件を追っていた。ホンダ関係者とも接触したが、ホンダ車の広告掲載に関して、広告を止めるような“圧力”に直面したことはない。反対にホンダの広報担当が、会社にとって有利な情報も不利な情報も積極的に出してきた記憶の方が残っている。

いまの企業広報の担当者は、広告主という立場を使って、新聞社に圧力をかけることが、企業にとっていかに不利に働くかをよく理解している。

もう一方で間違った理解が見られるのが、メディア側の反応だ。一部政治家の抑圧的な言動を「言論に対する圧力」ととらえていること。政治家がメディアに何らかの注文をつけたとしても、それを「言論への圧力」と感じるのであれば、メディアの力があまりにも脆弱ではないか。

政治家の言動を「圧力」と感じるか、それとも「言論と公権力との闘い」と受け止めるのかによって、闘いの中心線は全然違ってくる。

「われわれは圧力を受けている被害者だ」というのは、受け身の姿勢に見える。反対にジャーナリズムを「公権力をはねのける闘い」ととらえれば、それはメディアの積極的な姿勢に映る。この二つの姿勢の違いは大きい。二つのスタンスを見比べるとき、ジャーナリストが本来備えているべきマグマ(その時代の重大な事実をつかもうとするエネルギーのようなもの)がどこかへ消えてしまったのでは、とはっと気がつく時がある。

国家のリーダー、自治体のガバナー、労働団体の指導者、宗教組織の指導者、経済界における成功者等々、絶対的な権力を握っている者は、ジャーナリストを「味方」とはけっして考えていない。むしろ「敵」あるいは「厄介な存在」とみている。もう少し噛み砕いて言えば、絶対的な権力者は、自身に都合のいい折には「味方」につけて、自身の進行に邪魔になったら「敵」と考えて排除したがるものだ。

**以上『覚書3 権力者たち』から**

週刊文春が目指すもの(「週刊文春」編集長の仕事術 から)
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2017-05-30-1


「週刊文春」編集長の仕事術

「週刊文春」編集長の仕事術

  • 作者: 新谷 学
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/03/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『夢をかなえる読書術』 伊藤 真著 サンマーク出版 [読書法・術]


夢をかなえる読書術

夢をかなえる読書術




法律家の著作であるので、「夢をかなえる」とは、司法試験に合格し法曹の仕事にたずさわることかと思ったが、それだけではない。著者は次のように記す。

〈本を読んで、昨日よりは今日、ちょっと変わったな、というところがあれば、それは立派な成長です。その積み重ねによって、困難がふりかかっても乗りこえられる自分に育っていくのです。 / そうやって自分の成長を助けてくれる本が「夢をかなえる本」であると私は思います。〉〈本を通して、人は自分の内面と向き合い、著者と対話して、自分を成長させていくのです。〉

著者の書籍に対するスタンスは次のようなもの、〈私は、「おもしろくない本」とか「役に立たない本」というものは、この世に存在しないと思っています。なぜなら、「いまの自分」にとって、そう感じるだけだからです〉。〈私にとって、たった一行でも、一フレーズでも自分の心に響くものがあれば、読む前よりも自分を「成長」させてくれたということで、「良書」にあたります。〉

そして、読書については・・・、〈私にとっての読書とは「考えるための素材」を得るためのものですが、そういう読み方のときもあれば、本の世界にとことん身をゆだねて、純粋に楽しむこともあります。〉

さらに著者の考える「成長」について示唆する部分としては・・・、〈ひとつの作品でも、作品の中身、作者本人、その時代背景などいろいろなものに興味関心を持って考えていくと、立体的に、深く物事が考えられるようになります。〉そして、さらに〈たんに自分だけで考えを深めていくだけなら、ひとりよがりになっていくおそれもあります。でも本を通して、古今東西、あらゆる時代、あらゆる地域、あらゆる人たちの多様な考え方や生き方にふれていれば、自分を相対化しながら、考えを深化させ、成長させることができるのです。/ 自分と違う考えの人がいても、その人たちを否定したり、ばかにしたりしない。多様性を持てる人が、優秀な人といえるのではないでしょうか〉。

そのような「成長」をとげるために著者が実践してきたノウハウが本書に示されている。法曹の仕事を目指す方だけでなく、だれでも参考にすることができる。



職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: 文庫



読書について

読書について

  • 作者: 小林 秀雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/09/21
  • メディア: 単行本



ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

  • 作者: プラトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1964
  • メディア: 文庫



歌集 小さな抵抗――殺戮を拒んだ日本兵 (岩波現代文庫)

歌集 小さな抵抗――殺戮を拒んだ日本兵 (岩波現代文庫)

  • 作者: 渡部 良三
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/11/17
  • メディア: 文庫



地球/母なる星―宇宙飛行士が見た地球の荘厳と宇宙の神秘

地球/母なる星―宇宙飛行士が見た地球の荘厳と宇宙の神秘

  • 作者: ケヴィン・W・ケリー
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1988/11
  • メディア: 大型本



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目次 『夢をかなえる 読書術』 伊藤 真著 サンマーク出版 [読書法・術]


夢をかなえる読書術

夢をかなえる読書術




(以下、目次)

はじめに
汚したぶんだけ、本は自分のものになる
合格した人の共通点は「よく本を読んでいること」
この世に「おもしろくない本」は存在しない

第1章 夢をかなえる本の「選び方」
限られた人生の中で、どんな本を読むべきか
自分と「反対の考えの人の本」を意識して選ぶ
「同じ意見の人の本」はこうして読む
自分と「違うジャンルの人の本」も積極的に読む
ゴールから発想するのに「合格体験記」が役立つ
「なりたい職業に就いている人の本」の選び方
その世界でトップの「超一流」の人の本を読む
いますぐ役に立つ本は、すぐに役に立たなくなる本
ひとつのテーマで「20~30冊」まとめて買う
分厚い本で「負荷」を高めることが大切
「薄い入門書」のあとにチャレンジするべき本

第2章 夢をかなえる本の「使い方 
自分の血肉にするために、徹底的に書き込もう
「教科書」をとことん使い倒すときに注意すること
「本をコピーして持ち歩く」方法をすすめる理由
テーマごとに、本をコピーして、保管する
「ボールペン・メモ帳・付箋」をいつも持ち歩く
ボールペンとラインマーカーのマーキングの仕方
「音読」と「セルフレクチャー」で記憶を定着させる
ページの「上折り」と「下折り」を使い分ける
「キーワード」を四角で囲んで目立たせる
「使い道」を意識しながら、パソコンでまとめる
机の上に本をできるだけたくさん広げて、考えを深める
本を「主体的」に読むために意識すること

第3章 夢をかなえる本の「学び方」
「読むのに時間がかかる本」に挑戦する
背伸びした本が、きっと自分を成長させてくれる
「速く」読めることは、大きな武器になる
「要するに」を考え、「推理」しながら読む
「かたまり読み」で全体をざっくりつかむ
接続詞の「しかし」に注目して読む
本は、はじめから順に読まなくていい
「小見出し」を拾い読みして、「引っかかり」を見つける
「具体例」と「註釈」をとくにしっかり見る
「同じ本を何回も読む」と何が起こるのか?
「ローギアでじわじわ掘り下げる人」の学び方
優秀な人とは「複合的な視点」を持っている人

第4章 本をもっと楽しむために
自分の部屋で「立ち読み」をしてみよう
読書が楽しくなる「一人つっこみ」のすすめ
玄関に何冊か本を置いておく「習慣」をつくる
いろいろな場所で、本と出会おう
本を読む時間をスペシャルに演出する
自分の中の「スイッチ」を切り替える儀式を持つ
「読書の時間」を生み出すためにやっていること
いろいろな人の感想にふれる「読書会」を楽しむ
瞬時に「現実逃避できる本」をいくつか用意しておく
夢をかなえるために「健康で頑丈な体」をつくっておく
堂々と自分の好きなように自由に受け止める

第5章 読書で夢をかなえる
「本で助けられた経験」の有無が人生を分ける
本の意味は「そのときの自分」によって変化する
成功も不成功も、結局どちらも幸せである
『ソクラテスの弁明』が教えてくれた死生観
涙をこらえることができなかった、一冊の歌集のこと
自分の中の何かが変わることが「成長」である
物質は有限だが、魂は無限である
読書とは、人間しかできない「次元を変換する作業」
「心の強さ」を鍛えて、あなたの「金脈」を掘り起こそう
本とは「考えるための素材」である
人生は「有効な無駄」で成り立っている

おわりに


勉強は「がんばらない」ほどうまくいく

勉強は「がんばらない」ほどうまくいく

  • 作者: 伊藤 真
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2017/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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2017-06-14-b [通読・積読中]


宮武外骨: 頓智と反骨のジャーナリスト (別冊太陽 日本のこころ 250)

宮武外骨: 頓智と反骨のジャーナリスト (別冊太陽 日本のこころ 250)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2017/04/26
  • メディア: ムック


宮武外骨生誕150年! 明治期に活躍した奇才ジャーナリストで編集王の宮武外骨とは何者か? 数多の資料を網羅するとともに、図抜けた面白さを多彩な執筆陣による解説で紹介する。
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岩波茂雄文集 第3巻 1942-1946年

岩波茂雄文集 第3巻 1942-1946年

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/03/25
  • メディア: 単行本


創業から三十年を迎えた岩波書店は,戦況の悪化に伴う物資の不足と言論統制のもとで,厳しい経営状況へと追い込まれていく.四四年にはすべての雑誌が休刊,四五年半ばには出版活動の休止を余儀なくされた.戦後の荒廃と混乱のなかで,敗戦を「天譴」と捉えた茂雄は,再出発にあたりどのような決意を抱いていたのか.
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知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書)

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書)

  • 作者: 野口悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/11/11
  • メディア: 新書


●第1章 かつて知識は秘密にされていた
・ギルドによる知識の独占
・聖書は普通の人が読むものではなかった
・絵画はキリスト教布教の強力な道具だった
・東方三博士の来訪とキリストの洗礼
・ラテン語で守られた学問の秘密
・ラテン語で守られた大学の医学
・16世紀における知識公開分銅
・ギルドに対するアダム・スミスの批判
・研究成果を発表しなかった人々
・図書館の本を借り出して人に見せない教授
・知識や情報の特異な性質

●第2章 百科事典は知識を万人に開放した
・学問体系に従わないと、専門知識を学べなかった
・知識を万人のものにしたフランス百科全書派
・「アルファベット順」という百科全書の方法論
・百科事典の世界で分類はいらない
・アルファベット順配列の歴史
・ベーコン対デカルト
・下から上への「逆向き勉強法
・専門家は既得権を侵される
・ミシュランの方法論
・『ブリタニカ』の時代

●第3章 インターネットで情報発信者が激増した
・インターネットを支える2つの技術
・通信条件の改善
・Gメールの登場
・知らぬ間にできたデジタルオフィス
・すべての人が情報の発信者になった
・「エンカルタ」が『ブリタニカ』を滅ぼす
・ウィキペディアの登場
・研究室から統計書が消えた
・ウェブ情報には信頼性の問題がある
・英語情報と日本語情報の圧倒的な差
・大学は進化できるか
・グーグルストリートビュー
・公開情報でも、間単に得られれば新しい価値
・マッシュアップの進展

●第4章 検索という方法論
・ディレクトリ型のポータルが多数作れらた
・検索エンジンというアプローチ
・知りたいことを上位に出した検索エンジン
・検索エンジンが勝ち、ディレクトリが敗れた
・現在においても必要なディレクトリはある
・「みんなの意見」は正しいか?
・分権的、分散的決定は正しい
・検索結果が上位でなければ、存在しないのと同じ
・「部分から全体へ」が容易になった
・インターネットの地図は検索できる
・名前を知ることの重要性
・インターネットでプッシュした失敗
・日本ではプルに対する需要が弱い
・コピペレポートと試験の持込禁止について考える
・ラジオとテレビの広告ビジネスモデル
・無限の収入をもたらした検索連動広告

●第5章 SNSやキュレイションで情報拡散スタイルが変化
・フェイスブックは詳細な個人情報を得られる
・Twitterは素早く伝えられるが、デマや誹謗も
・YouTubeが拓いた新しい動画の世界
・YouTubeを巧みに利用したGoPro
・テレビは生き残れるのか?
・リアルな公園とYouTubeの共存共栄関係
・SNSの栄枯盛衰はネットワーク効果のため
・キュレイションメディア
・キュレイションは「目利き」の役割を果たしているか?
・バイラルメディアの理念と現実
・フィルターバブルに対応する
・メディアに求められる機能は何か?
・ソーシャル物理学の結論

●第6章 知識は秘匿すべきか、公開すべきか
●第7章 人工知能の進歩で知識への需要はどう変わるか?
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20世紀ロシア思想史――宗教・革命・言語 (岩波現代全書)

20世紀ロシア思想史――宗教・革命・言語 (岩波現代全書)

  • 作者: 桑野 隆
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


革命の熱狂のなかで日常の変革を夢みた未来派とアヴァンギャルド運動。弁証法と唯物論によってソヴィエト哲学を確立していく革命家たち。亡命の地で霊性による哲学を問いつづけた宗教哲学者たち。言語の構造や、記号とイデオロギーの関係性に着目し、新たな芸術批評・社会批判を展開していったフォルマリズム、バフチン・サークル、モスクワ・タルトゥ学派。全体主義文化と言語中心主義をポストモダニズム批評で鋭く分析する「余白の哲学」グループ―。20世紀ロシアの豊饒な思想の森にわけ入り、その全貌を通史としてコンパクトに示す。
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帝国大学―近代日本のエリート育成装置 (中公新書)

帝国大学―近代日本のエリート育成装置 (中公新書)

  • 作者: 天野 郁夫
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/03/21
  • メディア: 新書


「旧帝大」として、いまも影響力のある七大学。近代化の中で、西欧の技術を学ぶため、明治一九年に帝国大学は東京で生まれ、その設立は昭和一四年の名古屋まで続く。それぞれの地域に、厳しい予算の中で設立され、時代と呼応しながら学部や定員が拡充される様子を、豊富なデータにもとづきドラマチックに描く。あわせて、高等学校とのつながり、帝大生の学生生活や就職先、大学教授の実態から、帝国大学の全貌に迫る。
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古代語の謎を解くII (阪大リーブル058)

古代語の謎を解くII (阪大リーブル058)

  • 作者: 蜂矢真郷
  • 出版社/メーカー: 大阪大学出版会
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


古代の日本人はどんな言葉を使っていたのだろうか.現代日本語とどこでつながり,どこで切れているのだろうか.例えばツマ[妻・夫]とトモ[友・伴],モミチ[黄葉・紅葉]とカヘルテ[楓]などの類義語や,「ウマシ」「アハレ」などの語について,最新の研究の一端をわかりやすく述べる.好評を博した既刊『古代語の謎を解く』(大阪大学出 版 会,2010年 ) の 続 編 と して,Handai‒Asahi中之島塾の講義の成果をまとめる.
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2017-06-14-a [通読・積読中]


議論を逃げるな――教育とは日本語――

議論を逃げるな――教育とは日本語――

  • 作者: 宇佐美 寛
  • 出版社/メーカー: さくら社
  • 発売日: 2017/01/23
  • メディア: 単行本


はったり、あいまい、あやふや、いいかげん…あなたの言葉は大丈夫ですか?
半世紀の余、はったりや誤った言説がまかり通る学界に論戦を挑み続けてきた宇佐美寛先生による、珠玉の一冊です。
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「型破り」の発想力   武蔵・芭蕉・利休・世阿弥・北斎に学ぶ

「型破り」の発想力 武蔵・芭蕉・利休・世阿弥・北斎に学ぶ

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/03/02
  • メディア: 単行本


本書では、日本人なら誰もが知っている有名な歴史上の人物五人を取り上げ、彼らの発想力・創造力の素晴らしさをご紹介します。取り上げるのは、能を大成した世阿弥、武道を極めた宮本武蔵、俳句を創始した松尾芭蕉、わび茶を完成させた千利休、そして江戸時代を代表する浮世絵師である葛飾北斎の五人です。彼らはどのようにして、それを成し遂げたのか。その発想のポイントを見ていくことで、どのように工夫していけば新しい価値を生み出すことができるのかを学ぶことができるはずです。
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現代語訳 学問のすすめ

現代語訳 学問のすすめ

  • 作者: 福沢 諭吉
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本


▼内容構成
初 編 学んだ人から出世する
二 編 個人と組織は対等
三 編 全員が当事者意識を持つチームは強い
四 編 まずは自分から変わりなさい
五 編 一人ひとりが「独立心」を持つ
六 編 ルールを守る
七 編 全員がメンバーでありリーダー
八 編 他人を尊重し自分も自由になる
九 編 お金のためだけに働かない
十 編 現状に満足しない
十一編 無意味な上下関係はいらない
十二編 学んだら行動に移す
十三編 人の自由を奪わない
十四編 失敗を生かす
十五編 疑問を持つ
十六編 他人の価値観に惑わされない
十七編 自分ブランドをつくれ
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精神科病院で人生を終えるということ その死に誰が寄り添うか

精神科病院で人生を終えるということ その死に誰が寄り添うか

  • 作者: 東 徹
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2017/03/09
  • メディア: 単行本


人々の目に触れることがない、精神科単科病院の「身体合併症病棟」。
ここがどのような場所で、どのような人が生き、そして死んでいくのか

精神医療は、一般にも医療の中でもタブー視されているのではないかと考えます。本書は、少しでも精神医療を知るきっかけにしてほしいと、日経メディカルOnlineで執筆したコラムをまとめました。

・なぜ、長期間退院できないのか。
・なぜ、精神科医が身体疾患を診るのか。
・なぜ、転院を断られるのか。
・なぜ、家族は治療を拒否するのか。
・なぜ、精神科病院は人里離れた場所や山の麓に多いのか。

精神科単科病院で亡くなっていった人たちの人生や、家族・友人との人間関係を通して、精神科疾患を有する人の日常や精神科医療の実際を描き出すと同時に、胃瘻造設や延命治療の是非、誤嚥性肺炎、患者家族への説明の難しさなど、終末期医療に共通する医師の悩みも吐露されています。
特別編として、相模原障害者施設殺傷事件についても書き下ろしています。
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砂糖の社会史

砂糖の社会史

  • 作者: マーク アロンソン
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本


奴隷たちの地獄から生まれた砂糖が農業、流通を変え、世界を動かした。人々の欲望は大規模農業を生み、世界に輸送網を開き、その富は、やがて産業革命のエネルギーにもなった。天国と地獄をあわせもつ「完璧な甘味」の社会史を、多くの図版とコラムもまじえ、わかりやすい記述で紹介。
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葛飾北斎の本懐 (角川選書)

葛飾北斎の本懐 (角川選書)

  • 作者: 永田 生慈
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本


「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」など有名作品で評価される葛飾北斎だが、それは壮大な画業の一部に過ぎない。二十歳で画界に登場し九十歳で没するまで、作画に執念を燃やし続けた絵師の理想とは、心境とは―。これまでの北斎像を一新させる、第一人者による画期的な論考。日本と海外評価の大きな開きの要因もわかりやすく解説する。図版掲載70点以上。
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宣長にまねぶ

宣長にまねぶ

  • 作者: 吉田悦之
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2017/02/27
  • メディア: 単行本


35年もの歳月をかけ、『古事記伝』44巻を著した知の巨人・本居宣長。幻の書を千年の眠りから目覚めさせた学問的功績は広く知られていますが、本書では、宣長を一人の生活人としても捉え、志を成し遂げるための条件を学びます。
著者は宣長研究40年、本居宣長記念館館長を務める吉田悦之氏。「宣長に学ぶことは尽きることがない」という氏が、膨大な研究資料を丹念に読み込み、その学問的姿勢や、昼間は医師として生計を立てた生活姿勢を浮き彫りにします。
生まれた地や系図を徹底的に調べ上げ、自分の誕生の日まで遡って日記を書く。師・賀茂真淵との千載一遇のチャンスを逃さぬ情報分析など、その歩みには志を成し遂げるための強い意志や工夫が満ち溢れています。
学ぶとは真似ること。本書はその具体的ヒントを示して余りあります。宣長入門としても最適の書。
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『役に立たない読書』 林 望著 インターナショナル新書 [読書法・術]





リンボー先生の読書術の本。その読書に向かう姿勢は一貫している。「ペダントリーではなくインテリジェンスへの道を行くように」勧めている。

『あとがきにかえて』の末尾には、「自由に読み、ゆっくり味わい、そして深く考える。ただそれだけのこと。この絶対の自由と自主、それこそが読書にとって、もっとも大切なことなのだ、と私はただそれだけを言いたくてこの本を書いた。」とある。

「いや、べつに読まなくても・・・」と謙遜されているが、じゅうぶん読むに値するし、役に立つ。とりわけ、古典文学に興味ある方にはお勧めである。

以下、基本的な林望先生の読書に対するスタンスを示す冒頭部位を引用してみる。

***********

教養とはなんだろうか、インテリジェンスとはなんだろうか、まずはそこのところから考え始めることにしましょう。

そもそも、「もの知り」であることは、インテリジェンスの必要条件ではありますが、十分条件ではない。ここを押さえておかないといけません。何も知らないで物事を考えることはできません。たとえば歴史や言語、また、日本人としての最低限の常識などはもっていて然るべきでしょう。そうした知識を、本を読むことで得られるのは事実です。したがって、多くの本を読んでいる人は、もの知りであるとは言える。しかし、ただ知っているだけ、つまり知識がただその人の脳細胞に記憶されているだけで、その精神になんの影響も与えていなければ、それは生きた知識ではありません。言い換えれば知恵になっていないのです。

あれも読んだ、これも読んだと多くの本を読んだことを喧伝する人がいますね。「月に50冊は読みます」とか自慢する人、「一日に2冊ずつ読んでいる」などと豪語する人、もしかするとあなたの周囲にもいるかもしれません。

でも正直に言うと、そういう人に限って、あまり深みのない人物であったりします。むやみに読んだ本の量を自慢する、そういう読書は、インテリジェンスを涵養するものではなく、ペダントリー(衒学癖)への道を突っ走っているように思います。「オレはもの知りだろう」と片々たる知識をひけらかすオジサンなどは、傍から見たらあられもなく感じられ、敬遠したくなりますね。

そうならないために、同じ読むなら、それがペダントリーではなくインテリジェンスへの道を行くようにしたいと、私は思うのです。

では、そうするにはどうしたらよいのか。

まず大切なのは、「読んだ本の内容について考える」ことです。読書がその人の叡智の形成に作用を及ぼすとしたら、それはたくさん読んだからではなく、本にまつわる「考える営為」のゆえである。だから大切なのは、考え考え読んでいくことなのです。

この考える営為は、読んでいる最中のみならず、読む前にも必要です。自分がいま何が読みたいのか、自分にとっていま何が必要なのか、ということをよくよく考えてから読み始めることが大切なのです。内的に契機のない読書に意味はないと私は考えています。

量を誇る「読書家」のなかには「キミ、こんな本も読んでいないのかね」などと、相手を威嚇する人がいます。

江戸時代中期の儒者三浦梅園は、「学文は置き所によりて善悪わかる。臍の下よし、鼻の先悪し」と、なかなか洒落た教訓を残しています。同じ学ぶなら、その学んだ事、読んだ事を、ぐっと臍の下におきたいものです。しかし、鼻の先に「知識」をぶら下げた人物から、そんなふうに言われたほうはコンプレックスを感じ、読まねばならぬような強迫観念に襲われることがあるかもしれません。けれど、興味のない本を読んだところで、まあ、なにもなりません。その読書に費やした努力と時間は、結局無駄になります。

興味を持って読み始めた本でも、実際にはあまり意味がなかった、そういう無駄読みということも少なくありません。しかし、人生の時間は有限ですから、できるだけ無駄は減らしたいものです。

そうすると、いま読むべき本はなんなのか、いま自分にとって必要な知識はなんだろうか、ということを日頃から思いめぐらしていて、それにしたがって読む本を選ぶといプロセスが、読書の前提条件として大切です。それなくして、ただ学校の課題図書だからとか、物知りオジサンから「読んでいて当然だ」と言われたとか、そういう外から与えられた情報のみで本を選ぶと、結局は自分の血肉にはならず、むしろペダントリーへの道を行くことになりがちです。

同じ時間を費やし、同じ努力をするなら、他人はどうあれ、“自分にとって”「心の栄養」となるような本を読んで、豊かなインテリジェンスへの道を行きたいものです。

そこでまずは、自分が何に対してもっとも興味を感じるか、と考えるところから始めましょう。

歴史の本であれ昆虫の研究書であれ、自分の興味のある分野の本を一冊手に取ってみる。その本から一つでも新しいことを知ったり、面白いなあと感動したら、その本のなかで紹介されていたり引用されていたりする別の本を読みたいという欲求が出てくるでしょう。あるいは、一つの事象について、ちょっと別の側面から眺めてみたいという思いが、新しい分野の読書へと導いてくれるかもしれません。良い読書とはこのように、内的な契機から発展して、生きた知識が上積みされて好循環をなしていくものなのです。

(第1章 読書と知 読めば読書人になれるという錯覚 p8~11)


教養脳を磨く!

教養脳を磨く!

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2009/03/23
  • メディア: 単行本



ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条

ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条

  • 作者: ダニエル ペナック
  • 出版社/メーカー: 藤原書店
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本



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