So-net無料ブログ作成
検索選択

F ・ ラブレー と テネシー・ウィリアムズの共通点

すごいタイトルを付けたものだとわれながら思うが・・・、じつは、昨晩ふろに入るさい、書棚にあるのを手にしたのが、たまたま『テネシー・ウィリアムズ 回想録』であったので、それをラブレーにこじつけようというわけ・・・。




ウィリアムズの回想録は、赤裸々に自分をさらけ出したということで、出版当時話題になったらしい。評判の書物であったらしいのだが、当方は、著者『まえがき』から先に進めないでいる。一度、やはり風呂で『まえがき』を読んで、それきりになっている。

『自伝』などというものは、赤裸々に書いているようで、どこか適正を欠き、露悪にはしるか、正直さを欠いているように思われてのことだろうと思う。ウィリアムズの回想録も、饒舌さのうちに、なにをかはぐらかそうとしているように感じられて『まえがき』から先に進めないのか・・・。

それでも昨晩、饒舌な語り口のなかに、「ああ、これが実は言いたいことなのだな」というのを見つけた。ひどい話だ。延々つづく『まえがき』の、たった5行ほどの部分である。『まえがき』には(要約すると)、自作の新作をイェール大学のある都市で上演するにあたり、ひとりでも多くの集客の役にたてばと、大学生数十人をまえに、講演をした。その一番前の席に、黒い大きな犬をつれた学生が座っていたのだが、一番興味をもって聞いていたのは犬だと思う・・・感想は「犬にきいてくださいな」・・などとウィリアムズは書いていく。その『まえがき』の末尾ちかくで、次のように記す。

では、いささか異様な構成のこの本は、プロの作品と言えるだろうか?いったい私の書いたものがこれまでに〈プロの作品〉だったためしがあるだろうか?私はいつだって、〈プロフェッショナル〉という言葉の持つ意味合いよりもずっと奥深い必要に迫られて書いてきたのだ。しかも、ときにはそれが、職業人たる私にとってマイナスとなることもあったように思う。しかし、たいていはプラスになった。職業?言葉が違う。職業というよりはーよそう、〈天職〉というほどに仰々しいものではない。だけど、ほんとうのところ、私は物書きになるよりはほかに道がなかったのだ。

ウィリアムズは、「よそう」、そんな「仰々しいものではない」と否定しつつ、否定のかたちをとりながら、実は逆に強調している。言いたいのは、おれにとって物を書くというのは、「職業」ではない。「天職」なのだ。おれは「奥深い必要に迫られて」書いてきた。

これから、『本文』で披瀝していくのは、ほんものの作家の「業(ごう)」。ウィリアムズが「迫られた」「奥深い必要」ということなのであろう。そう考えると、その「必要」がどんなものかのぞいてみたくなるというもの。巧い 『まえがき』 ではある。

話はかわる。F・ ラブレーの話。(以下、引用)

「ラブレーのように古典語に習熟したユマニストが、フランス語で、しかも詩よりは一段低いものとみなされた散文物語を発表するというのは、けっして尋常のゆき方ではなかった。しかし、・・・(中略)・・・ラブレーには、もともと作家的な気質というか、学究的な仕事ではどうにもおさまりのつかない夢が巣食っていて、それが『大年代記』との接触によって活動を始めた、とでも言うほかはなく、『大年代記』が個性のない稚拙な作品だったからこそ、ラブレーは同じテーマを自分流に展開したいという強烈な意欲をそそられたのかもしれない」

(ラブレーは、巨人ガルガンチュワを主人公とする他者の書いた『大年代記』という「稚拙な」作品の “続編” という形で、パンタグリュエルの登場する『第二の書』を“先ず”記し、その後、『第一の書』『第三』「第四」と記していった。)

「彼は、ガルガンチュワに息子がいたということにし、その息子にパンタグリュエルという、これまたガルガンチュワ伝説とは別個の中世民間伝説中に現れる小悪魔の名前をつけ、巨人王に仕立てあげてしまった」

「こういう結果になると、パンタグリュエルにくらべて、『大年代記』の父親のほうが、いかにも貧相で影が薄い。すでに自分が創り出した巨人的神話の世界に生き始めたラブレーは、どうしてもパンタグリュエルの父として恥かしくない父親ガルガンチュワを創造せねばならないと切実に感じたはずであり、かくして、1534年、『第一の書』が陽の目を見ることになった」

(筑摩書房刊 『ラブレー集』から、訳者渡辺一夫の「解説」から)


ふたりの共通点は、なにか? 

省略。

************

『大菩薩峠』の魅力(谷崎潤一郎著作から引用)
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2013-03-07


ガラスの動物園 (新潮文庫)

ガラスの動物園 (新潮文庫)

  • 作者: テネシー ウィリアムズ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1988/03
  • メディア: 文庫



カルガンチュワとパンダグリュエル物語 5冊セット (岩波文庫)

カルガンチュワとパンダグリュエル物語 5冊セット (岩波文庫)

  • 作者: ラブレー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/07
  • メディア: 文庫



トラックバック(1) 
共通テーマ:

トラックバック 1