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『徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)』 磯田 道史著 [日本史]


徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)

徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/01/06
  • メディア: 文庫



本書をとおし〈江戸時代の天下泰平が築かれ、維持されて〉いった過程を見ることができる。1637年(寛永14年)の〈「島原の乱」から「生類憐れみ令」にかけての社会の大きな転換が、後の泰平の礎になっている〉。〈この時期に実現した「平和の到来」があったからこそ、江戸時代の社会は、幾多の危機を乗り越え、泰平を維持することができた〉。〈宝永地震と巨大津波にみまわれながらも成熟した農村社会をつくり上げられたのは、平和を背景に知的な農民たちが努力する環境を与えられていたからです。さらにその後の天明の大飢饉で農村社会が破綻に追い込まれると、今度は幕府や藩が民政重視へと転換し、福祉政策の真似事をはじめ、民間社会を支えはじめました。そしてロシアとの対外危機では、幕府が国を守る鎖国観念を醸成することで、その後の華やかな江戸文化の隆盛を守ることができました〉と著者は記す。

1806年の「露寇事件」、1783年の「浅間山噴火・天明の飢饉」、1707年の「宝永の地震・津波」、1637年の「島原の乱」を時代のターニングポイントと捉えている。生命の尊重、人権意識が天下泰平の礎となり、地震・津波・飢饉といった天災を経験する中で、為政者と民との関わりのダイナミズムによって(という表現を著者はしていないが)望ましい支配のあり方が探られ、選び取られていった過程を、時間をさかのぼりながら論じている。

本書の醍醐味は、一般の歴史教科書とは異なるその論述の仕方にある。江戸の昔を語る本ではあるが、現代日本を照射する内容をもっている。今起きている、政治問題等を理解する上での参考にもなる。

徳川様の世は、今よりもずっと上?(磯田道史著『徳川がつくった先進国日本』から) 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26

(以下、目次)

はじめに

第1章 「鎖国」が守った繁栄 1806年(文化3年)
「徳川の平和」の岐点
文化爛熟期に起きたウェスタン・インパクト
ラクスマン、レザノフと日本との出会い
ロシア船襲撃事件
開国論と鎖国論
武力衝突の回避へ
「民命」の重さ

第2章 飢饉が生んだ大改革 1783年(天明3年)
幕府中興の祖、吉宗の行った改革
田沼政治の功罪
前近代の政治は「財政あって福祉なし」
浅間山の噴火から天明の飢饉へ
飢饉が明らかにした政治の矛盾と限界
名代官の時代
幕藩体制の転換

第3章 宝永地震 成熟社会への転換 1707年(宝永4年)
新田開発へと雪崩を打つ
上道郡沖新田の干拓事業
大地震と津波の甚大な被害
環境破壊と自然のしっぺ返し
豊かな農村社会へ

第4章 島原の乱 「戦国」の終焉 1637年(寛永14年)
徳川時代の幕あけ
生瀬(ナマセ)の乱の凄惨な事実
「徳川の平和」への助走期間
島原の乱とは何か
武士が払ったコスト
愛民思想の芽生えと「武断」から「仁政」へ
武家政治の大転換
「平和の到来」をもたらした「生命の尊重」

参考文献 年表


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