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『宮武外骨: 頓智と反骨のジャーナリスト (別冊太陽 日本のこころ 250)』





外骨の甥にあたる吉野孝雄氏が『古今無類の雑誌表現者~新雑誌発行は“性癖”』と題して巻頭の解説を書いている。

《宮武外骨が生涯に創刊した雑誌は実に44タイトルにのぼる。そのうち「創刊即廃刊」したものが17タイトルもあるから、複数号続刊した雑誌は全部で27タイトルということになる。》と書き起こす。

検閲制度のある時代である。「頓智協会雑誌」第28号に明治憲法発布時のパロディとして「頓智研法発布式」を示す。そこにはガイコツが「研法」を下賜する図像。そのために、「玉座の上に骸骨を図したる等は天皇に対し不敬の所為なり」として「不敬罪」で告発され、外骨は3年8カ月の獄中生活を送ることになる。(本文p100、101)

そうした数々のタイトルの中で、比較的長続きした雑誌『滑稽新聞』について吉野氏は以下のように記して、記事を閉じる。

《現代では常識になっている雑誌制作の手法のすべてのルーツがこの『滑稽新聞』にあるといっても過言ではない。むしろ現代を超えているというべきか。印刷技術のすべてを駆使して表現されたユニークな紙面。広告欄や誌面の欄外、時には附録までもが表現の素材となった。美人写真や浮世絵師による華麗な表紙絵に彩られ、「過激にして愛嬌あり」のキャッチコピーのもと、警察署長の収賄容疑、詐欺まがいの売薬、警察の不正、僧侶の堕落、ずさんな検察や裁判官の告発など、近代化の途上にある当時の大阪の地方権力に巣食うさまざまな不正を告発し続けたのだ。

その告発から裁判での検察官や判事とのやりとり、処罰されても動じるどころか喜んで入獄していく様子など、その滑稽な経過の一部始終を逐一誌面に連載した。顧問弁護士をはじめスタッフもすべて同志的に集まった面々ばかりだ。創刊即廃刊の雑誌と同様、いつでも廃刊する覚悟はできていた。八年間も続き成功したのは単なる結果にすぎなかった。

若き日に『頓智協会雑誌』の不敬罪で石川島監獄に入獄していた時、石川島「獄中倶楽部」をでっち上げ、『鉄窓詞林』という詩集の獄中出版を企て、「広告」を印刷配布したところで発覚、けっきょく詩集は幻に終わってしまったことがあった。あらゆる場面で、あらゆる機会に、あらゆる困難に遭遇しても冊子を制作し発行し続ける。外骨にとって雑誌を編集し発行することがすなわち生きることだったのである。》

本書『宮武外骨: 頓智と反骨のジャーナリスト (別冊太陽 日本のこころ 250)』には、そのような《印刷技術のすべてを駆使して表現されたユニークな紙面。広告欄や誌面の欄外、時には附録までもが表現の素材となった。美人の写真や浮世絵師による華麗な表紙絵に彩られ・・》た雑誌のジツブツ、外骨の生原稿の画像等が示されている。

また、外骨の生き様、生涯について知ることもできる。


ジャーナリストが反骨なのはアタリマエ:宮武外骨
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-07-29

『大逆事件』と知識人たちと外骨
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-07-30


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