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工夫して、失敗して、納得する(『この世に命を授かりもうして 』から) [宗教]


この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

  • 作者: 酒井 雄哉
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫



千日回峰を行いながら、自分は自然の一部という意識がアタマではなく身体感覚として醸成されていくのだろう。そうした学びが、机上の学びとは異なるものとなるのは間違いない。

上記書籍から、以下引用

***********

僕にはいろんな知識がなかったから、そのぶん、どうしたらいいかな、っていつも考えていたわけだ。

雨が降っているときでも、草鞋で出ていかなきゃいけない。草鞋は藁を編んでいるだけだから、水に濡れるとすぐに駄目になっちゃう。だから最初のころは、「草鞋を濡らさないような方法はないかな」って考えたものだ。

足の先っぽのほうだけつけて、つま先立てて歩いてみたらどうだろうか、とやってみる。だけど、そんなことしても、どこかで水たまりになってるところにドボッと浸かっちゃうんだよ。

「あ~あ」とがっかりする。「どうせ濡れちゃったんだから、もういいや」と思って、開き直って、かかとまでしっかりつけて歩く。そのほうがやっぱり歩きやすいんだよ。当然のことだけど。

そうすると、雨が降ってるときは濡れることになってるんだから、小細工しようったって無理だなあ、って実感するんだ。そんなのはわかりきっていることなのに、それを「自分だけはなんとかなるんじゃないかな」って考えるんだね。人間ってものは。

そんなことをしても駄目、自然を相手にしたらありのままにやるしかないか、って観念するわけだよ。これもまた「無駄な抵抗はやめなさい」なんだよ。

すると、次からは、雨が降っても草鞋が濡れるのは嫌だなあ、なんて思わなくなるんだね。そういうものだから、って納得してるから、気にならなくなる。嫌だな、って思うことがひとつ減り、ひとつ学ぶんだな。

それに、失敗に終わっても、自分でいいこと思いついた、なんて思ってやってるときは、楽しくなってるんだよ。そういうことを考えるのもまた楽しいことだったね。こうやって、あとになってから笑い話にもできるし、楽しいじゃないの。

p122、123
****引用ここまで****

辛く思える人生も楽しくする秘訣が語られている。

著者にとって、死もまた雨の如しというところだったのかもしれない。


行とは何か (新潮選書)

行とは何か (新潮選書)

  • 作者: 藤田 庄市
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 単行本



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