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『平均思考は捨てなさい』トッド・ ローズ著 小坂恵理訳 早川書房 [教育・学び]


平均思考は捨てなさい

平均思考は捨てなさい

  • 作者: トッド・ ローズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/05/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



この世のシステムの思考法に照らして、自らを「落ちこぼれ」と見なしていた著者は、変化を遂げ、ハーバード大の先生となった。その変化をもたらしたのは、自分を知ることであり、システムを自分に合わせることだった。本書には、この世を支配しているシステム思考、平均思考の根深さを示し、それから脱却する上で助けとなる原理について述べられる。要は、「汝自身を知れ」ということか・・・

以下は、著者執筆の動機と役立つ原理について記された部分。当てはめるなら、日本人も「アメリカンドリーム」を達成できる???

****以下、引用****

そして最後に、システムに自分を合わせる努力を放棄して、システムを自分に合わせるための工夫を始めると、今度はようやく効果が現れた。高校を中退してから15年後、私はハーバード教育大学院の教員となり、現在は心・脳・教育プログラムの責任者をしている。

私が成功したのは、世の中から見過ごされてきた秘密の才能が目覚めたからではない。ある日いきなり気合が入って猛烈に働き始めたわけでもないし、何か抽象的な原理を新たに発見したからでもない。私には抽象的な事柄に目を向ける時間的余裕がなかった。生活保護の状態から抜け出し、子どもたちを養い、やりがいのあるキャリアに通じる現実的な道を探す必要があった。要するに私が人生の針路を変更できたのは、個性重視という原理に最初は直観的に、やがて強い決意で従ったからだ。

私を成功へと導いてくれた原理を皆さんと共有し、学校や仕事や私生活で実践すれば成果の改善につながることを伝えるため、私は本書を執筆した。何か新しい事柄を学ぶ際に最も難しいのは、新しいアイデアを受け入れることではない。古いアイデアを手離すことだ。本書を通じ、皆さんが平均という独裁者から完全に解放されるよう心から願う。 (はじめに p29)

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私たちが暮らす世界では、企業も学校も政治家も個人の重要性を強く訴える。しかし実際には、個人よりも制度が常に重要だという前提のもとで何もかもが設定されている。従業員は会社で働きながら、自分が機械の歯車のひとつであるかのように感じる。学生はテストの結果や成績を見せられ、夢は実現しそうにないと絶望感を抱く。職場でも学校でも、物事を進める際には正しい方法がひとつだけ存在するものだと教えられる。そして別の進路をとろうとすれば、それは見当違いで考えが甘く、完全に間違っていると指摘される。突出することよりも、制度に従うことのほうが優先されるケースはあまりにも多い。

それでも私たちは個性を認められたいと願い、本当に自分らしくなれる社会で暮らしたいと欲する。人工的な基準に自分を無理やり当てはめる必要がなく、生来の資質を尊重しながら学習して能力を高め、機会を追求できるようになればどんなに素晴らしいだろう。私はそんなやむにやまれぬ気持ちからつぎのような重大な疑問を抱くようになり、その回答を準備するために本書の執筆を開始した。個人は平均との比較のみで評価されるべきだという確信に基づいている社会のなかで、個性を理解して生かすことのできる状況をどのように創造できるだろう。(「第2章 私たちの世界はいかにして標準化されたか」」p80、81から)

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大学での成功を後押しした決断はどれも、成功への道が自分にも開かれているという確信に裏付けられていることがわかった。しかし、それがどのような道か想像できるのは、自分自身のほかにいなかった。想像するためにはまず、自分が“どんな人間なのか”をきちんと理解しておかなければならないが、私はその前提条件を満たしていたのである。

さらに私の決断からは、バラツキの原理とコンテクストの原理と迂回路の原理が、最終的にはすべて同時に作用することもわかる。自分にとって正しい道を選ぶためにはーたとえばどんな順番で講義を受けるか決めるためにはー自分の能力にはどのようなバラツキがあるのか理解しなければならない(退屈な話には我慢できないが、興味のある事柄には驚異的な集中力を発揮する)。つぎに自分が能力を発揮できるコンテクストについても理解しなければならない(高校の同級生がいるクラスは避け、議論やアイデアに集中するクラスを選ぶ)。自分のプロファイルにどのようなバラツキがあるか、そして自分にはどんな条件と帰結のシグネチャーが当てはまり、どんなコンテクストなら能力を発揮できるかがわかったので、私は自分に最もふさわしいユニークな経路を選ぶことができたのである。

私のストーリーを聞かされても、特殊なケースにしか思えないかもしれない。しかし実際のところこれは、個性に関する原理の核心である。私たちは“全員が”特殊なケースなのだ。個性に関する一連の原理を理解すれば、あなたはこれ以上ないほどまく人生をコントロールできるようになる。平均が押し付けてくる型にこだわらず、ありのままの自分と向き合えるようになるからだ。
(「第6章 私たち誰もが、行く人の少ない道を歩んでいる」p183,4から)

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私たちが生きている世界では、誰もがみんなと同じになって、そのなかで他人よりも秀でることが要求される。かつては最高の自己の実現を目指したアメリカンドリームの定義は狭められ、周囲の人たちよりも“比較的”優れることだけが目標になってしまった。

個性の3つの原理が社会で採用されれば、アメリカンドリームの本来の意味が回復するだけでなく、夢を手に入れるチャンスが誰にでも開かれる。私たちが一次元的な思考、本質主義的な思考、規範的思考といった障害を克服し、社会の制度においては平均よりも個性を評価すべきだと要求していけば、個人として成功する機会が増えるだけでなく、成功に対する見方も変わってくるだろう。成功とは平均から外れないことではなく、自分で定めた目標を実現することになるのだ。

(「第9章 『機会均等』の解釈を見直す」p242から)


観察力を磨く 名画読解

観察力を磨く 名画読解

  • 作者: エイミー・E・ハーマン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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