So-net無料ブログ作成
外交・国際関係 ブログトップ

『特派員直伝 とらべる英会話』 読売新聞国際部  研究社 [外交・国際関係]


特派員直伝 とらべる英会話

特派員直伝 とらべる英会話

  • 作者: 読売新聞国際部 & The Japan News
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『ヨミウリ新聞』の特派員(巻末のプロフィルをみるとほぼ50人)たちが、自分の任地、出張先、移動中のさまざまなシチュエーションのなか、とらぶった経験のなかで学んだ・知った・教えられた英語表現が取り上げられていく。英語テキストで例文を暗記するのもいいが、とらぶった経験の中でこのようにして得た知識はホンモノで死ぬまで自分のものになるだろうと思う。その印象的な経験の数々は、読んでいても伝わってきて、自分の身にふりかかった出来事であるかのように感じられる。それは、本書で扱われる英語表現を身につけるうえで大いに役立つことと思う。もっとも、本書で取り上げられる表現については、「決して語学教材ではない。そもそも、記事を書いた特派員たちが英語の専門家ではないのだから、仕方がない。読者の皆さんのご理解を請うのみである」とある。そして続けて「他方、読み物として楽しんでいただける自信は、少なからずある(『編集後記』)」とある。たしかに、読んでオモシロイ。なにしろ、とらぶった経験をとおして、世界各地の文化、習慣、のちがいを知ることもできる。驚くような話もでる。海外旅行をする際に知っておくなら、そうとう得をする情報もある。損をしないようにも助けられる。読売新聞前英字新聞部長:貞広氏は『序文に代えて』で次のように記す。「私自身、海外駐在が計16年に及び、グローバルにドジを踏み、道に迷い、物を盗まれた。この経験から言うと、海外でいざという時に身を助けるのは『3K』(カネとコネ、そしてコトバ)である。カネでコネは買えるし、コネでカネは稼げる。しかし、いくらカネを積んでもコネがあっても、コトバはできるようにならない。地道に本を読み、習得するしかない」。その論議からいくと、カネでもコネでも、地道に本を読んでも得られない(とらぶった経験をとおしてのみ得られた)貴重な英語表現の数々(85ある)が本書である。巻末には、けっこう詳しい執筆者たちのプロフィルが取り上げられている。これから、『ヨミウリ新聞』・記事にクレジットされる彼ら・彼女たちの名前を注視したい気持ちにもなる。

以下、ほんの一例

1 トイレが詰まりました The toilet in my room is clogged.
5 今夜は食べ放題にしようぜ! Let’s go to an all-you-can-eat restaurant tonight!
13 最後にまとめて払いますか? Would you like to open a tab?

トラックバック(0) 
共通テーマ:

難民問題の原因(『難民を知るための基礎知識』明石書店刊から) [外交・国際関係]


難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて

難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて

  • 作者: 滝澤 三郎
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2017/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



本書は、理解するのが容易ではなく、「誤解」も生じやすい難民問題の理解を、法律学、政治学、経済学、社会学など学際的なアプローチで深めることを目指している。国際社会の難民を取り囲む厳しい環境の中で人権や人道支援に関わっている研究者と実務家の共同執筆で成り立っている。

『本書の刊行に寄せて』国連難民高等弁務官フィリッポ・グランディ氏は「武力紛争、暴力、迫害によって住む家を失い、国内避難民としてまたは国境を越えた難民として移動を強いられた人々(強制移動者)の数は今日6500万人に上る。これは過去10年で最大の数である」と書き始める。日本の人口の半分、フランス、イギリスの人口に近い人々が強制移動を強いられているというわけだ。難民だけを集めて大きな国をつくれそうな勢いである。これはやはりたいへんな事態であると言っていいのだろう。グランディ氏は「本書には、世界各地の強制移動問題の原因、影響、そして対応策についての示唆溢れる論考がコンパクトに収められている。UNHCR勤務経験のある邦人職員を含む9名の編著者が各国の難民政策と実践について学術的な議論を展開する本書は、強制移動とそれがもたらす人道的・政治的インパクトを深く理解することを助けるであろう」と結ぶ。

そうした「現場」と深く関わってきた「執筆者は、独立行政法人国際協力機構(JICA)、国連世界食糧計画(WFP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IOM)などの難民支援、IDP支援を行っている機関で、正に最前線で活躍している方々。しかしながら、執筆内容は、所属している援助機関を代表するものではない。むしろ現場を重視する大学研究者との双方向による共同作業の結果である」と『あとがき』にはある。

大学生のためのテキストとして備えられたもののようだが、関心をもつすべての方にとって良いテキストとなるように思う。

***********

以下、編著者:滝澤三郎氏の『はじめに』(難民問題の原因)からの全文引用

「ウェストファリア体制」と呼ばれる現在の国際社会は、「領土」、「国民」・「統治能力」が「三位一体」となった理念型としての「国民国家」から成り立っている。しかし全ての国民国家がそのような理念型を保つことは現実的には不可能である。今日、国連に加盟する主権国家の数は193に達するが、多くの国ではガバナンス(統治)が脆弱である。これほどの数の「国民国家」があるとき、「三位一体」の理念型から外れる国が出てくるのは避けられない。大学の講義でも200人の学生がいれば20~30人はスマホを見たり内職をしている。

実際、冷戦終結後にはソマリア、アフガニスタン、イラク、シリアなどの国では人種、宗教、政治的意見の違いなどを背景に内戦が発生し、「国民」自体がいくつにも分裂して争い、政府が国民を守る責任を果たさないか果たせない「脆弱国家」ないし「崩壊国家」となった。そのような国の国民の一部が隣国などに庇護を求めて流入するときに難民が生まれる。逆説的であるが、そのような少数の「難民」(彼ら)の存在が多数の「国民」(我々)の結束を固め、「国民国家」体制を強化する。シリア難民の流入を機に燃え上がったヨーロッパのナショナリズムはその例である。

難民問題の根本原因は難民発生国の「ガバナンス(統治)の失敗」であるが、その影響は外部周辺国に及ぶ。難民の流入が大量である場合、受け入れ国は国家(国民)の利益と外国人(難民)の人権保護のバランスに苦慮する。悲惨な難民の姿を見るとき誰しも胸の苦しみを覚えるが、彼らの保護のために多大な経済的・社会的・政治的なコストを引き受けざるを得ない受け入れ国の葛藤も無視できない。

難民問題が複雑化する一因は移民問題と連動することだ。アフリカ諸国を中心にした「経済の失敗」は極度の貧困を招き、その結果として多数の「経済難民」の国境を越えた移動を引き起こしている。そして経済移民の多くは単により豊かな生活に憧れる人々ではなく、「生き残るために」外国に向かう「生存移民」である。難民と生存移民が同じルートで移動する中で、難民だけを選び出して保護するのは容易ではない。ここに現代の難民問題の難しさがある。p6~7



国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/11/16
  • メディア: 新書



トラックバック(0) 
共通テーマ:

要約『難民を知るための基礎知識』 明石書店 [外交・国際関係]


難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて

難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて

  • 作者: 滝澤 三郎
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2017/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



***以下、編著者滝澤三郎筆『はじめに』(本書について)からの引用抜粋***

1~4部は〈「難民問題」の理論的な問題を扱い〉、5~8部は〈世界各地域の取り組みを考察〉し、9部では〈難民支援のあり方を論じる〉。

第1部1~3章では、国民国家の視点から難民問題を論じる。第1章では、「難民が迫害などで国境を越えざるを得ない人々」である点に鑑みて、「国境」とは何か、また「国境」に収まっている「国民」とは誰なのかを確認する。第2章では、東西冷戦の紛争に焦点を当て、「新しい戦争」を背景にした紛争難民の増大を考察する。

第3章では、難民問題に誘因された政治経済的な視点を論じる。雇用や治安を理由に移民排斥を訴える人々がいる一方で、むしろ人口減少を背景にした労働力不足を理由に積極的に受け入れようとする人々やその集団も存在することを示す。また、難民と移民の混在問題も指摘する。

第2部第4章から第7章では、難民をはじめとする強制移動を強いられた人々のダイナミズムを扱っている。第4章では、紛争以外にも自然災害、開発等、「○○難民」という表現がつく難民が社会に氾濫している点を述べる。第5章では、難民を発生させる世界の紛争を概観している。各地域紛争に言及し、難民発生のメカニズムを分析する。

第6章では、気候変動や温暖化を原因とする「環境難民」や自然災害を理由に住居を移動せざるを得なくなった立場の「震災難民」を扱う。第7章では、国家主導の経済開発で移動を余儀なくされた「開発難民」を扱う。

第3部第8章から第11章では、「難民問題」に対応する国際機関の役割を論じる。特に第8章では、難民救済機関として設立されたUNHCRに焦点を合わせ、その設立に至った理由と役割を時系列的に述べている。第9章では、本来国境を越えた「難民」の救援機関であったUNHCRが、急増する国境を越えない国内避難民(IDP)支援を担当するようになった経緯に言及する。

次の10章では、IDP支援の救援機関になったUNHCRの役割を踏まえ、特に国連の決議を通じてIDP問題を考察する。第11章では、実際の救援支援現場で導入されたクラスター制度をめぐる諸問題を整理する。

第4部第12章から第15章では、難民を受け入れる国家(庇護国)での社会統合問題に焦点を当てる。第12章では、まず難民受け入れの法的地位に関する問題を扱う。

第13章では、受け入れ国での雇用問題と労働問題を論じる。難民がどのような経緯で就労機会を得るのか。第14章では、教育や社会問題に言及する。特に難民第2世以降に対する教育や社会統合手段の充実を求める。第15章では難民受け入れのジェンダー的視覚から社会統合問題の重要性を指摘する。

第5部第16章から第19章では、第三世界(途上国)の難民受け入れ状況を考察する。まず第16章では、第三世界国家で発生する避難民は隣国の国境を跨いで難民化し、一括的な「プリマ・ファシ手続きによる難民認定」がなされる。

第17章では、難民問題解決の3つの選択肢をUNHCRの政策の流れから論じてりう。コストがいちばんかからない自主帰還が望まれるものの、それが紛争の再発を引き起こす可能性を指摘する。第18章では、アジア太平洋地域における難民問題をインドシナおよびアフガニスタン難民から言及し、第19章ではアフリカと中東地域の難民問題に言及する。

第6部第20章から第23章は、欧州連合(EU)の統合を揺るがしている「難民・移民危機」問題を扱う。まず第20章では、EUと欧州評議会が欧州の難民政策を考えるうえでの核心である点を指摘する。第21章では、EUの難民政策を協定締約国間の人の移動を担保するシェンゲン協定とEU加盟国間の庇護および出入国管理政策を統一化した欧州共通庇護制度の視覚から考察する。

第22章では、もう一つの柱である欧州議会の難民政策を「欧州人権条約」と「欧州人権裁判所」の「人権」の視覚から各条項に言及しながら説明する。そして、第23章では、改めてEU統合の危機とも言われている中東・アフリカ地域からの大量の難民・移民流入問題に焦点を当て、苦悩するEU加盟国の現状を論じる。

第7部第24章から27章では、米国の難民問題を扱う。大統領に決まったドナルド・トランプが強く移民排斥を訴えているように、移民・難民問題の深刻さが増大している。第24章では元来移民国家である米国の難民概念の歴史的変遷とその意味を確認する。第25章では、メキシコをはじめとする中米難民を扱い、経済移民としてみなされがちな中米難民の難民認定率の低さの背景を中南米各国の政治状況から分析する。

第26章では、1975年以来毎年平均約8万人を難民として受け入れてきた米国の難民政策を考察する。また、80年の難民法成立からは旧共産圏からの難民への優遇措置がなくなった点を確認する。第27章では、改めて米国における移民問題と難民問題の対応を比較する。最後に、非合法移民問題とテロリズムの関係などにも言及している。

第8部28章から31章は、日本の難民問題と難民政策を論じる。第28章では、1980年前後からのインドシナ紛争で発生した「インドシナ難民」が日本の難民受け入れの大きな転換点であった点を指摘する。第29章では具体的に「インドシナ難民」受け入れでどのような社会統合政策が導入され、難民が定住していったのかを2008年のUNHCR駐日事務所と国連大学との社会統合調査結果を反映させて論じる。

第30章では、2010年に開始した、日本の「第三国定住」の試みについて分析する。第31章では、改めて日本の難民政策の現状の紹介と社会統合政策の視覚を踏まえた問題点を指摘する。

第9部は、32章から35章は、難民問題が人権や平和の問題である点を踏まえ、東西冷戦後に重視されるようになった「人間の安全保障」の視覚から論じる。第32章は「難民」が発生する理由を確認したうえで、国際社会と彼らに対する「保護責任」との関係で論じる。第33章では、テロ行為の発生の激化とそれに対する国際社会の非難が結果的に難民の人権保障、法の支配に反する行為を生起している点を明らかにする。

第34章は、「長期化する難民状況」が恒常化するにもかかわらず、それに対応する包括的な法制度、政策、行動計画が事実上存在していない点を述べる。そこで人間開発の様々な個別の安全保障に着目する。第35章では、再び「人間の安全保障」の視角から難民支援を考察する。

東南アジアの紛争予防と「人間の安全保障」――武力紛争、難民、災害、社会的排除への対応と解決に向けて

東南アジアの紛争予防と「人間の安全保障」――武力紛争、難民、災害、社会的排除への対応と解決に向けて

  • 作者: 山田 満
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2016/11/10
  • メディア: 単行本



新しい国際協力論

新しい国際協力論

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2010/05/11
  • メディア: 単行本



トラックバック(0) 
共通テーマ:
外交・国際関係 ブログトップ