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『聖書植物園図鑑―聖書で出会った植物たちと、出会う。』丸善プラネット [宗教]


聖書植物園図鑑―聖書で出会った植物たちと、出会う。

聖書植物園図鑑―聖書で出会った植物たちと、出会う。

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 丸善プラネット
  • 発売日: 2017/06/01
  • メディア: 単行本



聖書には100種超の植物が登場する。福岡にある西南学院大学は1999年の開学50周年記念事業に、それらの植物を復元・展示しようと聖書植物園を開園。現在までに約100種の聖書関連の植物を集めた。本書は植物園内の植物をフルカラーで掲載し、植物が登場する聖書の「聖句」とその解説、植物の解説、入手と栽培方法を紹介している。

1ページに1品種、1「アーモンド」からはじまり100「ワタ/ 綿」まで、100種が取り上げられ、その植物の写真、英語名、開花期、登場する聖句とその解説、植物の解説、入手栽培方法が示される。

「放蕩息子」が空腹を満たしたいと願った『いなご豆』や預言者ヨナを暑い日差しから守った「とうゴマ」がどんなシロモノか写真で見ることができるのは嬉しい。写真がちいさい(45㍉x55㍉)のが残念だが、書籍自体の判型ゆえ仕方がない。

因みに「とうゴマ」は65に出ている。その『植物解説』は、「東アフリカ原産の、5mくらいの大きさになる宿根草である。トウゴマの種は、前4000年頃のエジプトの墓所で発見されている。種子は40~60%の油分をもち、灯油や化粧品としても使われ、また虫下しのために利用されてきた(ひまし油)。種子には毒性アルカロイドのリシンが含まれ、代表的な有毒植物である。原酒は緑色であるが、園芸用に赤葉の品種も開発されている。雌雄同株である。」

(以下、「発刊に寄せて」から抜粋)

「我々が、梅の花に菅原道真を、桜に西行の姿を重ね合わさるように、彼の地の人々は、春先に花を咲かせるアーモンドから預言者エレミヤの人生に思いを馳せることでしょう。アーモンドがどのような木であり、そのヘブライ語名は何というのか、このようなことを知ることは、エレミヤがどのようにして神の言葉に触れたのかを理解することと深く結びついていることなのです。」

座右に置いて、聖書理解の助けとしたい。

**********


舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

  • 作者: 日本聖書協会
  • 出版社/メーカー: 日本聖書協会
  • 発売日: 1993/11/01
  • メディア: 大型本



文語訳 聖書

文語訳 聖書

  • 出版社/メーカー: サキ出版
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: Kindle版




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『勉強の哲学 来たるべきバカのために』 千葉雅也著 文藝春秋 [哲学]


勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

  • 作者: 千葉 雅也
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



たいへんおもしろい。自立・自律した自己を形成する上で参考になる。それは、「ノリの悪い」「浮いた」人間になるということでもある。勉強には、そもそも、そのようにさせる・なる性格があるようだ。本書では、勉強を哲学して、効果的に、この世から浮揚し、空中に適度に留まる方法が示される。

そう。勉強すると「空中浮揚」が可能になる。それでも大丈夫、ヘンな宗教に誘う本ではない。

著者はいう。〈これから説明するのは、いままでに比べてノリが悪くなってしまう段階を通って、「新しいノリ」に変身するという、時間のかかる「深い」勉強の方法です。〉 // 〈勉強の目的とは、これまでとは違うバカになることなのです。 / その前段階として、これまでのようなバカができなくなる段階がある。/ まず勉強とは、獲得ではないと考えてください。 / 勉強とは、喪失することです。 / これまでのやり方でバカなことができる自分を喪失する。 / これまでと同じ自分に、英語力とか何か、スキルや知識が付け加わるというイメージで勉強を考えているのなら、勉強を深めることはできません。(「はじめに」p13,14)〉

そう。勉強することにより、「変身」できる。ただし、喪失の体験を伴いながら・・・

こう書いてきて、吉本隆明の、そして鹿島茂の体験を思い出した。

吉本隆明を規定した人生最大の事件(鹿島茂)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28


(以下、目次)
はじめに

第1章 勉強と言語 (言語偏重の人になる)

勉強とは、自己破壊である
自由になる、可能性の余地を開く
目的、環境のコード、ノリ
自分は環境のノリに乗っ取られている
自分とは、他者によって構築されたものである
言語の他社性、言語的なヴァーチャル・リアリティ
二つのノリがぶつかる狭間から、言語の世界へ
言語の不透明性
道具的 / 玩具的な言語使用
自分を言語的にバラす
深く勉強するとは、言語偏重の人になることである

第2章 アイロニー、ユーモア、ナンセンス

自由の余地は、「浮いた」語りに宿る
ツッコミ=アイロニーとボケ=ユーモアで思考する
コードの不確定性
わざと自己ツッコミと自己ボケ
コードの転覆
ナンセンスという第三の極
会話を深めるアイロニー
アイロニーの過剰 (超コード化による脱コード化)
新しい見方を持ち込むユーモア
ユーモアの過剰 (コード変換による脱コード化)
もうひとつのユーモア (不必要に細かい話)
「享楽的こだわり」と「非意味的形態」
アイロニーからユーモアへ
享楽のノリが究極のノリである
名づけの原場面 (新たに言語に出会い直す)

第3章 決断ではなく中断

現状把握から問題化へ、キーワード出しへ
キーワードを専門分野に当てはめる
発想法としてのアイロニーとユーモア、追求型と連想型
勉強のきりのなさ
考えて比較をする
アイロニーから決断主義へ
比較の中断
こだわりの変化
欲望年表をつくる
メインの欲望年表 (千葉雅也の場合)
サブの欲望年表
メインの年表とサブの年表をつなげる
来るべきバカへ

第4章 勉強を有限化する技術

専門分野に入門する
読書は完璧にはできない
入門書を読む
教師は有限化の装置である
専門書と一般書
信頼性、学問の世界
読書の技術 (テクスト内在的に読む)
二項対立を把握する
言語のアマ・モードとプロ・モード
ノート術 (勉強のタイムライン)
書く技術 (横断的に発想する)
アクトライナーと有限性

結論 / 補論 / 参考文献 / あとがき

**(以下、「はじめに」からの抜粋)**

2000年代の末に、SNSとスマートフォンは、生活を劇的に変えました。

今日、スマホを持ち歩く私たちは、どこにいてもネットの「情報刺激」にさらされ、気が散っている。過剰な量の情報が、光や音の連打のように、深く考える間もなくどんどん降り注いでくる。SNSに次々に流れてくる話題に私たちは、なんとなく「いいね」なのか、どうでもいいのか、不快なのかと、まず感情的に反応してしまう。すぐに共感できるかどうか。

共感、それは言い換えれば、集団的なノリです。思考以前に、ノれるかどうかなのです。


いま、立ち止まって考えることが、難しい。

溢れる情報刺激のなかで、何かに焦点を絞ってじっくり考えることが、難しい。

本書では、そうした情報過剰の状況を“ユートピアとして積極的に活用し”、自分なりに思考を深めるにはどうしたらいいかを考えたいのです。

そこで、キーワードになるのが 「有限化」です。

ある限られた=有限な範囲で、立ち止まって考える。無限に広がる情報の海で、次々に押し寄せる波に、ノリに、ただ流されていくのではなく。

「ひとまずこれを勉強した」と言える経験を成り立たせる。勉強を有限化する

***引用ここまで***

列車の旅に『勉強の哲学』を持参
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-07-30


背景の記憶 (平凡社ライブラリー)

背景の記憶 (平凡社ライブラリー)

  • 作者: 吉本 隆明
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫



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目次『昭和維新史との対話 検証5・15事件から三島事件まで』保坂正康・鈴木邦男著 [日本史]


昭和維新史との対話: 検証 五・一五事件から三島事件まで

昭和維新史との対話: 検証 五・一五事件から三島事件まで

  • 作者: 保阪 正康
  • 出版社/メーカー: 現代書館
  • 発売日: 2017/03/30
  • メディア: 単行本



ざっと通読して印象に残るのは・・・

「思想」をきちんと持てという励まし。

「右」だの「左」だのと安易に分けることなく、「行動」の背後にある「思想」の有無、中身をしっかり見ろということ。きちんと歴史を踏まえて考えろ、ということ。


(以下、目次)

まえがき 鈴木邦男

第1章 国家改造運動の群像
国家改造運動とは? 前提となる3つの視点
大正天皇と虎ノ門事件
統帥権と大善ーーなぜ昭和はこんなスタートを切ったのか?
大善という独善
「統帥権」の時代
血盟団事件

第2章 五・一五事件と農本主義
橘孝三郎の思想とは?
北一輝とは何者であったのか?
農本主義はなぜ東北にしかないのか?

第3章 軍事学なき〈軍人大国〉
日本文化に挑戦した日本軍
大東亜戦争・太平洋戦争の3つの過ち
戦後も苦しみ続けた兵士たち
日本は兵士の冥福を祈ったのか?
戦友会で話されること
ロシア兵を背負う日本兵が伝えたこと
昭和史のテロリズム
国民皆兵というターニングポイント
兵隊と地方気質
理念なき戦争への一歩とは?

第4章 未完の国家改造運動と日米開戦
二・二六事件から翼賛体制へ
国家改造運動の多様性
開戦と開戦詔書の問題点
東條英機はなぜ首相になったのか?
戦争の呼称がなぜ決められないのか?
さまざまな軍の実態

第5章 戦後の革命家たち
「ヤルタ・ポツダム体制批判」の視点
日本型エリートの原型と功罪
戦前の革命家たち
三島由紀夫と楯の会
鼻をつまんで生きてきた時代とは

第6章 国家改造運動の残したもの
戦後の思想のバックボーンとは?
戦後の相克
公文書を燃やしてしまう国
言葉が軽んじられる時代
残酷な世界を生きる
“自虐的”だと力を発揮する国
正史に記述されてない日本人
涙のテロリズム
今も惹かれる昭和史の残影
希望ではなく絶望の名の下に

注 / 関連年表

あとがき 保坂正康


大右翼史 (1974年)

大右翼史 (1974年)

  • 作者: 荒原 朴水
  • 出版社/メーカー: 大日本一誠会出版局
  • 発売日: 1974
  • メディア: -


上記書籍について、鈴木邦男氏は次のように語る

そもそも一般論として、思想の有無を批判したり、注目して考えるという習慣が稀薄ですよね。僕が幸運だったのは、若い頃に素晴らしい先生、思想家がいたんですね。福田恒存とか三島由紀夫、松村剛とか、そういう志を持った人たちの指導を受けて勉強していましたから、幸せだったと思いますね。荒原牧水という人の『大右翼史』というぶ厚い本にも影響を受けました。これはすごい本で、千ページぐらいありますし、刊行当初、皆と言っては失礼だけどほとんどの人が評価しなかったですよね。あのボリュームじゃ、そもそも買う人いないから。いくらなんでも千ページですからね。書いた本人は、売れると思ったのかな?なんかゴリゴリの右翼の主張というか思い込み満載本かなと思って嫌だったんですけど、とんでもない誤解で、後で読んでみたら右翼史を詳細に考察したものすごい本でした。

保坂氏は・・・

僕の場合、『大右翼史』を入手したのは橘孝三郎さんが薦めてくれたからで、ずいぶん前に入手したものですけど、今でもあの本はとても便利な事典でもありますよ。 p264,265

*********

(以下 p268,269「公文書を燃やしてしまう国」から)

保坂:そうなんです。軍なんかが公文書を燃やすというのは、結局、我が身かわいさだけですもんね。それが許せないんです。

鈴木:その点、自分の思想を伝えるとか、主張を訴えるというところは軍や政府よりも民間の思想家たちのほうが真剣だし、必死ですよね。権藤成卿さんの著作などを読みますと、難しいですよね。当時の愛国を志す人たちも、それを一所懸命読んで、その思想を我がものにしようとしていますよね。その勉強ぶりはすごいものだと思います。



鈴木:今は自分の思想を必死で言葉にして伝えようとする人は、少ないですよね。あるいは逆に、昔の日本人が想いを言葉にすることに異常にこだわっていたということもあるかも知れませんが。犬養毅の「話せば分かる」も有名ですし。





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目次 『裁判所の正体』 清水潔・瀬木比呂志著 新潮社  [社会・政治]


裁判所の正体:法服を着た役人たち

裁判所の正体:法服を着た役人たち

  • 作者: 瀬木 比呂志
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/05/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ニュースを見聞きしてうすうす感じていた裁判所・裁判官のオカシサ(可笑しいではなく、変、奇妙、不思議であるという意味)が一挙に分かる本。教科書で習った「三権分立」「司法の独立」など嘘っぱちであると分かる本。少なくとも日本においては、そうであると納得できる本。

日本という国はオカシイ国、「不思議の国」である。どうしてこうなったか、なってしまったか、どうすれば変わりうるのか・・考えさせられる。

日本でいうなら江戸時代末に記されたルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」。法的知識の持ち合わせがアリス以下ともいえる多くにとって、裁判所(敷衍して司法行政)の正体・真実を示した当該書籍は瞠目すべき書籍といえる。自虐「日本社会」観ではない。事実がそうなのだから、そう言うしかない。それは読めば分かる。

本書の厚み、内容からいって、1500円(税抜き)はべらぼうに安い(と思う)。

すこしばかり引用する。「第7章 最高裁と権力」から

清水:いや、もう聞けば聞くほど驚くことばかりですね。// 瀬木:いろいろ驚かれることが多いようですね。だとすれば、この対談をやった意味は大きかった(笑)。僕も、今後、制度や裁判批判だけじゃなくて、法律や法制度の基盤、法的・制度的リテラシー、市民のための法的知識の普及という観点から、機会があれば、いろいろ書いていったほうがいいかなと、今日、あらためて思いました。// 清水:私は法律とか裁判については専門外ですが、とはいえ仕事柄少しは知っているつもりでした。だけどもう聞けば聞くほどびっくりの連続です。ここまできて、行政訴訟がなぜ勝てないかがよく分かりました。なるほどそんな状態なら簡単に勝てないよと、ようやく見えてきました。// 瀬木:行政訴訟の勝訴率が低いのは、それこそ「統治と支配」の根幹にふれるからで・・・以下省略・・・

三権が依って立つ国家の「権力犯罪の闇」
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-07-06

**以下、目次**

まえがき(清水潔)

第1章 裁判所の知られざる日常
なぜ裁判官に一礼するのか / 裁判官は人間じゃない? / 法廷に遺影を持ち込めない理由 / 裁判官が身の危険を感じるとき / 傍聴が裁判に与える影響 / 裁判所の暗さ / 裁判官はどんなところに住んでいるか / 裁判官の通勤風景 / 裁判官はどうやって判決を下すのか / 裁判所の強固なヒエラルキー / 裁判官の出世 / 裁判官は何を目指しているのか

第2章 裁判所の仕組み
裁判官に庶民の心がわかるのか / 裁判官の天下り / 裁判官の給与体系 / なぜ裁判官をやめようと思ったのか / 裁判官の反社会的行為 / 裁判官が統制される3つの理由 / 裁判官を追いつめる新たな再任制度 / 個人の問題が制度の問題か / 日本の裁判所と世界の裁判所

第3章 裁判とは何か
民事裁判とは何か / 「押し付け和解」が生まれる理由 / 100万円の印紙はなぜ必要なのか / 民事裁判官と刑事裁判官はどこで分かれるか / 刑事裁判とは何か / 刑事系裁判官と裁判員制度の関係 / 民事系裁判官からみた刑事系裁判官の特徴 / 『不思議の国のアリス』と裁判

第4章 刑事司法の闇
足利事件ーー冤罪はなぜ生まれるか / 起訴権の独占の弊害 / 北関東連続幼女誘拐殺人事件ーー誤まっていたDNA型鑑定 / 裁判官は鑑定書をちゃんと理解しているか / 陪審員制度と裁判員制度の違い / 桶川ストーカー殺人事件ーーゆがめられた判決

第5章 冤罪と死刑
飯塚事件 / なぜ久間さんだったのか / 死刑制度とその機能 / 裁判官とどう向き合うべきか / 司法ジャーナリズムは機能しているか / ジャーナリズムと司法の劣化は相似形

第6章 民事司法の闇
名誉毀損裁判の高額化 / スラップ訴訟 / 「一票の価値の平等」はなぜ重要か / 国家賠償訴訟で国が有利な理由 / 原発訴訟と裁判官協議会 / 原発訴訟の判決・決定 / 憲法訴訟について / 押し付け憲法論の不毛

第7章 最高裁と権力
最高裁の統制の方法 / 最高裁のヒエラルキー / 最高裁長官と事務総局がもつ絶大な権力 / 裁判官が国の弁護士に?--三権分立は嘘だった / 最高裁判例に拘束力はない? / 日本の官全体の劣化 / 最高裁と時の権力の関係 / 「憲法の番人」ではなく「権力の番人」 / 最高裁判事の人事から見える構造の根深さ

第8章 日本の裁判所の未来
求められる国民のあり方 / 法曹一元化を提言した理由 / 国のあり方は司法で変わる / 日本の裁判所とジャーナリズムが進むべき道

あとがき(瀬木比呂志)



絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

  • 作者: 瀬木 比呂志
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: 新書



ニッポンの裁判 (講談社現代新書)

ニッポンの裁判 (講談社現代新書)

  • 作者: 瀬木 比呂志
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/01/16
  • メディア: 新書



黒い巨塔 最高裁判所

黒い巨塔 最高裁判所

  • 作者: 瀬木 比呂志
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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山崎雅弘著『天皇機関説事件』 から [日本史]


「天皇機関説」事件 (集英社新書)

「天皇機関説」事件 (集英社新書)

  • 作者: 山崎 雅弘
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 新書



超国家主義者:蓑田胸喜に、トイレで会う
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10

**以下、「はじめに」から一部引用****

★「立憲主義」が失われた日本で何が起こったか

天皇機関説は、天皇という古い制度を近代国家の枠組みに整合させる「仕掛け」であったのと同時に、天皇の特権的地位を根拠とする政治権力が、コントロールを失って暴走するのを防止するための「安全索(ワイヤー)」のような存在でありました。

しかし、天皇を(形式的に)崇拝する一部の人間が「神聖不可侵で唯一無二の崇高な存在であらせられる天皇陛下に『暴走防止のワイヤー』をかけるなど、畏れ多いことで、そんなことを主張する人間は、天皇を馬鹿にして見下しているに違いない」と、制度の仕組みの全体像ではなく一部分の関係性だけを見て言いがかりをつけ始めた時、天皇崇拝の立場を保ちながら、合理的な「仕掛け」としての天皇機関説を説明することは困難でした。

その結果、「天皇」あるいは「権力」と「近代国家」をかろうじて結び付けていた、天皇機関説という「ワイヤー」が、バチンと大きな音を立てて切断され、「権力の暴走」を止める安全装置が失われました。

天皇機関説事件のあと、昭和天皇が、権力を握る「支配者」として暴走することはありませんでした。しかし、この事件と国体明徴運動が起きた1935年以降、当時の国家指導部で大きな発言力を持っていた「軍部」が、天皇の名において、あるいは天皇の名を借りて、事実上の「最高権力者の代行人」として、国の舵取りという「権力」をわが物顔で振り回し始めた時、もはや誰もそれを止めることはできませんでした。

天皇や神などの「絶対的な権威」をいわゆる「錦の御旗」として掲げ、合理的な異論や反対を権威の力で押しつぶし、その旗を掲げる特定の集団が過剰な権力を持つようなことを、制度として予防する。これも、憲法と「立憲主義」の重要な役割ですが、天皇機関説事件は、「神の子孫であらせられる天皇陛下」という存在が、特定の集団(軍部)が過剰な権力を持つことに道を開くことになった、きわめて重要な出来事だったのです。

言い換えれば、先の戦争における日本の内外での悲劇は、日本国内の政治制度において「立憲主義」という安全装置が壊れたことによる、史上空前の規模で発生した「大惨事」であったと見ることも可能です。

太平洋戦争での破滅的な敗北(1945年8月)にいたるまでの昭和史は、一般に「軍部の暴走」というシンプルな言葉で表現されることが多く、当時の「大日本帝国憲法」に根本的な欠陥があったから、あのような「軍部の暴走」を許したのだ、というイメージで見る人も少なくないようです。

大日本帝国憲法は軍部の暴走を許す内容だったから、あんな事態が起きたのだ、と。

しかし、実際には明治や大正、そして昭和初期の日本人の中にも、史実のような「最終的に自国を破滅へと向かわせる暴走」が起きうることを想定し、あらかじめ制度面で何らかの対策を講じておく必要があると考える人は少なからずいました。

本書でこれから光を当てる美濃部達吉も、そんな思慮深い日本人の一人でした。

彼は決して、天皇を馬鹿にして見下すような人物ではありませんでしたが、いくつかの理由で美濃部を敵視する人間たちは、彼の憲法に関する著作や過去の発言から、断片的な言葉(片言隻句)を切り取って抜き出し、前後の文脈とは関係ないかたちで「これは天皇を馬鹿にする言い草ではないか」と威圧・恫喝し、天皇という「絶対的な権威」を自分の側に置くことで反論を封じながら、相手を追い詰めるというやり方をとりました。

それでは、具体的にどのような段階を踏んで、美濃部は議会で糾弾され、当時の憲法学説で主流とされたはずの天皇機関説が、その価値を全否定されていったのか。

まずは、今から82年前の1935年2月に時計の針を戻し、その頃は「参議院」ではなく「貴族院」であった帝国議会(当時の国会)の本会場での激しいやりとりの様子を、時空を超えた傍聴席から見ていくことにします。
****ここまで「はじめに」から****

**ここから「あとがき」部分抜粋引用**

本書の主題は天皇機関説事件であり、事件が収束した後で拡大した国体明徴運動については、紙幅の関係上、ごく簡単にしか触れられませんでした。1930年代後半の国体明徴運動と、それが第二次大戦期の日本社会と日本軍の戦争遂行にどのような影響を及ぼしたかについては、拙著『戦前回帰』(学研プラス)で

戦前回帰

戦前回帰

  • 作者: 山崎 雅弘
  • 出版社/メーカー: 学研マーケティング
  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: 単行本



より詳しく紹介しましたので、本書と合わせてお読みいただければ幸いです。

また、現代の日本における国体思想の復活と、立憲主義を揺るがす政治的な問題については、拙著『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社新書)で具体例を挙げて説明していますので、こちらもご参照いただければと思います。


日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)

  • 作者: 山崎 雅弘
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 新書



「天皇機関説」事件 (集英社新書)【目次】
第一章 政治的攻撃の標的となった美濃部達吉
1 貴族院の菊池武夫が口火を切った美濃部攻撃
2 美濃部攻撃の陰の仕掛け人・蓑田胸喜
3 美濃部達吉が述べた「一身上の弁明」
4 当代随一の憲法学者・美濃部達吉
5 国会の内外でエスカレートする「美濃部叩き」

第二章 「天皇機関説」とは何か
1 天皇機関説と天皇主権説(天皇神権説)
2 上杉慎吉と美濃部達吉の「機関説」論争
3 文部省も加わった天皇機関説の排撃運動
4 美濃部擁護の論陣を張った「帝国大学新聞」
5 昭和天皇も認めていた天皇機関説の解釈

第三章 美濃部を憎んだ軍人と右派の政治活動家
1 「陸軍パンフレット」に対する美濃部の批判
2 軍人勢力各派は「機関説問題」にどう反応したか
3 右翼団体による「機関説排撃運動」のエスカレート
4 騒動を岡田内閣打倒に利用しようとした立憲政友会
5 美濃部が『憲法撮要』に記した「統帥権」の意義

第四章 「国体明徴運動」と日本礼賛思想の隆盛
1 次第に追い詰められた岡田啓介首相
2 急激に力を持ち始めた「国体」というマジックワード
3 岡田首相の第一次国体明徴声明の発表
4 さらに激しさを増した美濃部と機関説への糾弾
5 消えかけた火を大きくした美濃部の「第二の弁明」

第五章 「天皇機関説」の排撃で失われたもの
1 窮地に立った岡田内閣と第二次国体明徴声明
2 天皇機関説事件から二・二六事件へと通じた道
3 美濃部の学説と共に排斥された、自由主義と個人主義
4 際限なく称揚される「天皇」「国体」という錦の御旗
5 実質的に機能を停止した日本の「立憲主義」

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目次 『平均思考は捨てなさい』トッド・ ローズ著 小坂恵理訳 早川書房  [教育・学び]


平均思考は捨てなさい

平均思考は捨てなさい

  • 作者: トッド・ ローズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/05/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



目次
はじめに --みんなと同じになるための競争
見当違いの理想 / 平均という隠れた暴君 / 個性が約束する未来

第1部 平均の時代

1章 平均の発明
社会が支配する数学 / 平均人 / 有能者と低能者 / 平均主義者の台頭

2章 私たちの世界はいかにして標準化されたか
始めに組織ありき / マネージャーの誕生 / 教育という工場 / 優等生と劣等性 / タイプやランクが支配する世界

3章 平均を王座から引きづりおろす
エルゴード性の罠とスイッチ / 個性学 / 分析してから集計する / 個性は重要である


第2部 個性の原理

4章 才能にはバラツキがある
バラツキの原理 / 相関関係は常に成立するわけではない / 才能を隠している覆いを取り払う / 知られざる才能について理解する力

5章 特性は神話である
コンテクストの原理 / 条件と帰結(イフ・ゼン)のシグネチャー / あなたは正直、それとも不正直 / 才能は特別なコンテクストで発揮される / 他人のありのままの姿を知る

6章 私たちは誰もが、行く人の少ない道を歩んでいる
迂回路の原理 / 進歩のペース / 発達の網の目構造 / 成功までの道なき道


第3部 個人の時代

7章 企業が個性を重視すると
コストコにおける忠誠心の秘密 / ゾーホーはいかに巨人の成果を上回ったのか / モーニングスターでイノベーションを促す / ウィンウィンの資本主義

8章 高等教育に平均はいらない
みんなと同じことで秀でる / ディプロマではなく、資格証明書を授与する / 成績ではなくコンピテンシーで評価する / 教育の進路を学生に決定させる / 個人の時代の教育

9章 「機会均等」の解釈を見直す
うまくフィットする / 夢を回復する

謝辞 / 訳者あとがき / 原注
ラボ・ガール 植物と研究を愛した女性科学者の物語

ラボ・ガール 植物と研究を愛した女性科学者の物語

  • 作者: Hope Jahren
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2017/07/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『平均思考は捨てなさい』トッド・ ローズ著 小坂恵理訳 早川書房 [教育・学び]


平均思考は捨てなさい

平均思考は捨てなさい

  • 作者: トッド・ ローズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/05/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



この世のシステムの思考法に照らして、自らを「落ちこぼれ」と見なしていた著者は、変化を遂げ、ハーバード大の先生となった。その変化をもたらしたのは、自分を知ることであり、システムを自分に合わせることだった。本書には、この世を支配しているシステム思考、平均思考の根深さを示し、それから脱却する上で助けとなる原理について述べられる。要は、「汝自身を知れ」ということか・・・

以下は、著者執筆の動機と役立つ原理について記された部分。当てはめるなら、日本人も「アメリカンドリーム」を達成できる???

****以下、引用****

そして最後に、システムに自分を合わせる努力を放棄して、システムを自分に合わせるための工夫を始めると、今度はようやく効果が現れた。高校を中退してから15年後、私はハーバード教育大学院の教員となり、現在は心・脳・教育プログラムの責任者をしている。

私が成功したのは、世の中から見過ごされてきた秘密の才能が目覚めたからではない。ある日いきなり気合が入って猛烈に働き始めたわけでもないし、何か抽象的な原理を新たに発見したからでもない。私には抽象的な事柄に目を向ける時間的余裕がなかった。生活保護の状態から抜け出し、子どもたちを養い、やりがいのあるキャリアに通じる現実的な道を探す必要があった。要するに私が人生の針路を変更できたのは、個性重視という原理に最初は直観的に、やがて強い決意で従ったからだ。

私を成功へと導いてくれた原理を皆さんと共有し、学校や仕事や私生活で実践すれば成果の改善につながることを伝えるため、私は本書を執筆した。何か新しい事柄を学ぶ際に最も難しいのは、新しいアイデアを受け入れることではない。古いアイデアを手離すことだ。本書を通じ、皆さんが平均という独裁者から完全に解放されるよう心から願う。 (はじめに p29)

**********

私たちが暮らす世界では、企業も学校も政治家も個人の重要性を強く訴える。しかし実際には、個人よりも制度が常に重要だという前提のもとで何もかもが設定されている。従業員は会社で働きながら、自分が機械の歯車のひとつであるかのように感じる。学生はテストの結果や成績を見せられ、夢は実現しそうにないと絶望感を抱く。職場でも学校でも、物事を進める際には正しい方法がひとつだけ存在するものだと教えられる。そして別の進路をとろうとすれば、それは見当違いで考えが甘く、完全に間違っていると指摘される。突出することよりも、制度に従うことのほうが優先されるケースはあまりにも多い。

それでも私たちは個性を認められたいと願い、本当に自分らしくなれる社会で暮らしたいと欲する。人工的な基準に自分を無理やり当てはめる必要がなく、生来の資質を尊重しながら学習して能力を高め、機会を追求できるようになればどんなに素晴らしいだろう。私はそんなやむにやまれぬ気持ちからつぎのような重大な疑問を抱くようになり、その回答を準備するために本書の執筆を開始した。個人は平均との比較のみで評価されるべきだという確信に基づいている社会のなかで、個性を理解して生かすことのできる状況をどのように創造できるだろう。(「第2章 私たちの世界はいかにして標準化されたか」」p80、81から)

**********

大学での成功を後押しした決断はどれも、成功への道が自分にも開かれているという確信に裏付けられていることがわかった。しかし、それがどのような道か想像できるのは、自分自身のほかにいなかった。想像するためにはまず、自分が“どんな人間なのか”をきちんと理解しておかなければならないが、私はその前提条件を満たしていたのである。

さらに私の決断からは、バラツキの原理とコンテクストの原理と迂回路の原理が、最終的にはすべて同時に作用することもわかる。自分にとって正しい道を選ぶためにはーたとえばどんな順番で講義を受けるか決めるためにはー自分の能力にはどのようなバラツキがあるのか理解しなければならない(退屈な話には我慢できないが、興味のある事柄には驚異的な集中力を発揮する)。つぎに自分が能力を発揮できるコンテクストについても理解しなければならない(高校の同級生がいるクラスは避け、議論やアイデアに集中するクラスを選ぶ)。自分のプロファイルにどのようなバラツキがあるか、そして自分にはどんな条件と帰結のシグネチャーが当てはまり、どんなコンテクストなら能力を発揮できるかがわかったので、私は自分に最もふさわしいユニークな経路を選ぶことができたのである。

私のストーリーを聞かされても、特殊なケースにしか思えないかもしれない。しかし実際のところこれは、個性に関する原理の核心である。私たちは“全員が”特殊なケースなのだ。個性に関する一連の原理を理解すれば、あなたはこれ以上ないほどまく人生をコントロールできるようになる。平均が押し付けてくる型にこだわらず、ありのままの自分と向き合えるようになるからだ。
(「第6章 私たち誰もが、行く人の少ない道を歩んでいる」p183,4から)

**********

私たちが生きている世界では、誰もがみんなと同じになって、そのなかで他人よりも秀でることが要求される。かつては最高の自己の実現を目指したアメリカンドリームの定義は狭められ、周囲の人たちよりも“比較的”優れることだけが目標になってしまった。

個性の3つの原理が社会で採用されれば、アメリカンドリームの本来の意味が回復するだけでなく、夢を手に入れるチャンスが誰にでも開かれる。私たちが一次元的な思考、本質主義的な思考、規範的思考といった障害を克服し、社会の制度においては平均よりも個性を評価すべきだと要求していけば、個人として成功する機会が増えるだけでなく、成功に対する見方も変わってくるだろう。成功とは平均から外れないことではなく、自分で定めた目標を実現することになるのだ。

(「第9章 『機会均等』の解釈を見直す」p242から)


観察力を磨く 名画読解

観察力を磨く 名画読解

  • 作者: エイミー・E・ハーマン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド』 武内彰著 マガジンハウス [教育・学び]


学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド

学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド

  • 作者: 武内彰
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



日比谷高校を紹介する本。「東大合格者公立校No1!!」の日比谷高校に、学校の方針を理解した志ある生徒は来て欲しい、と招待する本。かつての日比谷高校の栄光を取り戻し、東大合格者V字回復を成し遂げた校長による8つの教えを伝授する本。

「本書で取り上げる8つの教え=子どもが伸びる条件」をみて、わりに陳腐であると感じたが、読んでいくうち、著者の日比谷高長になるまでの公立校での経験・苦労談を知り、日比谷高長となってからのその実践をみて、たいへん元手のかかった本であると感じ、しっかり読んだ。なによりも、成果を上げているのだから、敬意を表すべきである。

しばらく前、京都府の公立堀川高校の校長:荒瀬克己が『NHKプロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げられたことがある。茂木健一郎司会の頃だ。そこで、一公立高校の取り組みが功を奏して「堀川の奇跡」と呼ばれていた。 http://www.nhk.or.jp/professional/2007/1016/

その番組を思い出し、重ね合わせつつ本書を読んだ。校長の取り組み方ひとつで、短期間でたいへんな成果を上げることができるものである。逆を言えば、取り組み方ひとつで、ダメにすることもあるし、ダメなままにしてしまうこともあるということだ。

「公立の果たすべき役割」(p190)には、私学の中高一貫校と比較しつつ次のように記されている。「たとえ大きなコストはかけられなくとも、たとえ3年間しかなくとも、日常の授業を大切にして、行事や部活にも全力で取り組んだ子どもたちが、普通に東大は入ることができ、将来の日本を支えていくことができる。そこに公立の果たすべき役割があるし、教育力のある学校なら実際にそれが可能だと思います。 / 子どもたちにはこう話しています。 / 「すべてをかんばってきたキミたちが社会でかんばってくれないと困るんだよ」と。 / 公立のプライドかもしれません。」

先生方、保護者の皆さんにとって、大いに参考になるにちがいない。

目次

第1章 「文武両道」に込められた真の意味
条件1 人間力を高める
条件2 よい仲間を与える

文化祭をがんばった子ほど伸びてゆく!
課外活動が育むもの
学力を上げるための意外な近道

第2章 日比谷式「勉強」の作法
条件3 知的好奇心を育てる
条件4 見過ごさない・見落とさない
条件5 寄り添う

子どもはもともと勉強好き
学年全体の学力を上げた3つのシンプルなこと

第3章 教える側が、意識を変える
条件6 把握する

子どもたちの希望を叶える第一歩
教える同士、手をたずさえる
子どもたちの「今」を可視化する
子どものためを想う

第4章 「将来」を意識すると、子どもは動く
条件7 モチベーションを与える

入り口と出口を意識させる
世界に目を向けさせる
モチベーションはあらゆるところにある

第5章 子どもを伸ばすときに、親ができること
条件8 見守る

子どもを伸ばすうえで、もっとも大事な条件とは
誰にでも相談していい環境づくり
子どもが勉強しないときに
親子の理想的な距離
学校との相性を考える



奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)

  • 作者: 荒瀬 克己
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 新書



プロフェッショナル 仕事の流儀 荒瀬克己  公立高校校長 背伸びが、人を育てる

プロフェッショナル 仕事の流儀 荒瀬克己  公立高校校長 背伸びが、人を育てる

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2008/03/28
  • メディア: Kindle版



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工夫して、失敗して、納得する(『この世に命を授かりもうして 』から) [宗教]


この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

  • 作者: 酒井 雄哉
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫



千日回峰を行いながら、自分は自然の一部という意識がアタマではなく身体感覚として醸成されていくのだろう。そうした学びが、机上の学びとは異なるものとなるのは間違いない。

上記書籍から、以下引用

***********

僕にはいろんな知識がなかったから、そのぶん、どうしたらいいかな、っていつも考えていたわけだ。

雨が降っているときでも、草鞋で出ていかなきゃいけない。草鞋は藁を編んでいるだけだから、水に濡れるとすぐに駄目になっちゃう。だから最初のころは、「草鞋を濡らさないような方法はないかな」って考えたものだ。

足の先っぽのほうだけつけて、つま先立てて歩いてみたらどうだろうか、とやってみる。だけど、そんなことしても、どこかで水たまりになってるところにドボッと浸かっちゃうんだよ。

「あ~あ」とがっかりする。「どうせ濡れちゃったんだから、もういいや」と思って、開き直って、かかとまでしっかりつけて歩く。そのほうがやっぱり歩きやすいんだよ。当然のことだけど。

そうすると、雨が降ってるときは濡れることになってるんだから、小細工しようったって無理だなあ、って実感するんだ。そんなのはわかりきっていることなのに、それを「自分だけはなんとかなるんじゃないかな」って考えるんだね。人間ってものは。

そんなことをしても駄目、自然を相手にしたらありのままにやるしかないか、って観念するわけだよ。これもまた「無駄な抵抗はやめなさい」なんだよ。

すると、次からは、雨が降っても草鞋が濡れるのは嫌だなあ、なんて思わなくなるんだね。そういうものだから、って納得してるから、気にならなくなる。嫌だな、って思うことがひとつ減り、ひとつ学ぶんだな。

それに、失敗に終わっても、自分でいいこと思いついた、なんて思ってやってるときは、楽しくなってるんだよ。そういうことを考えるのもまた楽しいことだったね。こうやって、あとになってから笑い話にもできるし、楽しいじゃないの。

p122、123
****引用ここまで****

辛く思える人生も楽しくする秘訣が語られている。

著者にとって、死もまた雨の如しというところだったのかもしれない。


行とは何か (新潮選書)

行とは何か (新潮選書)

  • 作者: 藤田 庄市
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 単行本



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『この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)』酒井 雄哉インタビュー [宗教]


この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

この世に命を授かりもうして (幻冬舎文庫)

  • 作者: 酒井 雄哉
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫



著者は「千日回峰行」を2度満行している。今日的感覚で俗っぽく言うなら「宗教的トレイルランナー」で著者はあった。全盛時であれば「マルコ・オルモも敵ではなかったかもしれない」などと読んでいて思った。

本書は、2013年1月23日に12時間に及ぶ癌の手術を受け退院した後の自坊におけるインタビューである。このインタビューを受けたのが9月上旬。そして、その23日に著者は亡くなった。

それにしては、全体のトーンが明るい。「それは宗教家ですから・・」という意見もあろうが、それにしても活力を感じる。

平易な言葉で衒(てら)いなく正直に語っている。師のひとり箱崎文応阿闍梨を著者は「おじいさん」と呼ぶ。その「おじいさん」の言葉に、「行き道は いずこの里の 土まんじゅう」がある。その意味は「どこで命を落とそうが、いま歩いているその道が自分の墓場になる、ここで朽ちるんだというつもりで歩け、と行をする者としての強い覚悟」の表明である。本書から伝わりくる活力は、師の言葉を自分の生き方とした人物から発せられるものであるからであるのだろう。

著者は「行者だけでなく、普通の人だって」その「つもりで生きたほうがいいんじゃないかと僕なんか思うよ」と屈託ない。いつ死んでも悔いの残らないよう、今を精一杯生きよという師の教えを自ら実践してきた方ならではの屈託のなさであるし、明るさなのだろう。死の直前のインタビューにもその覚悟が反映しているということだ。

表紙写真は、2度目の「千日回峰行」万行のときの写真だという。見ていると思わず笑みが伝染してくる。精一杯生きている人は、それがたとえ“自分の”行であったとしても、他者に良い感化を及ぼすものとなるにちがいない。

人生を歩くことに捧げたという言い方も著者に関して言えるかもしれない。歩くことは生きることで、歩くことを通して命と死について考え続けた著者の歩くことについての話は興味深い。それは、つまり人生についての話ということでもある。

「時を止めた男の教え」鏑木毅(トレイルランナー) 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2013-06-25


行とは何か (新潮選書)

行とは何か (新潮選書)

  • 作者: 藤田 庄市
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 単行本



修行と信仰――変わるからだ 変わるこころ (岩波現代全書)

修行と信仰――変わるからだ 変わるこころ (岩波現代全書)

  • 作者: 藤田 庄市
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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