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『ゴビ 僕と125キロを走った、奇跡の犬 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)』 [ノンフィクション]


ゴビ 僕と125キロを走った、奇跡の犬 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ゴビ 僕と125キロを走った、奇跡の犬 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: ディオン レナード
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2018/04/28
  • メディア: 単行本



素材がイイとこういう物語ができるのだなと感じます。

話は簡単です。人になじめぬ影のある人物と愛情深いイヌとの出会い、別離・失踪、そして再会。たまたま、物語の話者が、世界的なウルトラマラソンのランナーであること、熱暑の砂漠でのレース中に出会ったイヌであること、が話しを盛り上げます。舞台となるのは、新彊ウイグル自治区、北京、スコットランド・・・。

あんまり内容に踏み込むとネタバレになるので控えますが、われわれはハッピーエンドの物語を求めているのだな・・とつくづく感じます。著者が、犬と再会するためには、多くの資金が必要でしたが、新聞・テレビの影響もあってクラウドファウンディングですぐに集まります。物語を完成させるために多くの人が貢献したのです。現地でのボランティアや支援団体、協力者の存在、ネットサイト上での応援・支援が無ければ、著者と「奇跡の犬」との再会はなかったでしょうし、本書が完成することもなかったでしょう。

イイ話です。あらすじを知って読んだとしてもこころ動かされることと思います。


Heartbreak Over As Ultra Marathoner And Dog Reunite - Happy Ending For Dion Leonard & Gobi The Dog
https://www.youtube.com/watch?v=vtzp3EEWSjY


Finding Gobi (Main edition): The True Story of a Little Dog and an Incredible Journey

Finding Gobi (Main edition): The True Story of a Little Dog and an Incredible Journey

  • 作者: Dion Leonard
  • 出版社/メーカー: HarperCollins Publishers Ltd
  • 発売日: 2018/01/22
  • メディア: ペーパーバック



Finding Gobi (Younger Readers edition): The True Story of One Little Dog's Big Journey

Finding Gobi (Younger Readers edition): The True Story of One Little Dog's Big Journey

  • 作者: Dion Leonard
  • 出版社/メーカー: HarperCollins
  • 発売日: 2017/05/22
  • メディア: ペーパーバック



Finding Gobi for Little Ones

Finding Gobi for Little Ones

  • 作者: Dion Leonard
  • 出版社/メーカー: Thomas Nelson Inc
  • 発売日: 2018/02/06
  • メディア: ボードブック



ハラスのいた日々 (文春文庫)

ハラスのいた日々 (文春文庫)

  • 作者: 中野 孝次
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1990/04/01
  • メディア: 文庫



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目次 『NPOメディアが切り開くジャーナリズム  「パナマ文書」報道の真相』 立岩 陽一郎著 新聞通信調査会 [マスメディア]


NPOメディアが切り開くジャーナリズム 「パナマ文書」報道の真相

NPOメディアが切り開くジャーナリズム 「パナマ文書」報道の真相

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 新聞通信調査会
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



目次
序 章 調査報道に重きをおいた米国ジャーナリズムと非営利組織

第1章 パナマ文書の衝撃
南アで開かれた世界調査報道会議
『NHKスペシャル』の報道
『パナマ文書』『パラダイス文書』の成果

第2章 「非営利報道」を始めたチャールズ・ルイス
チャールズ・ルイス
非営利報道 「CPI」の設立

第3章 CPIによる調査報道の実践
公開情報を駆使した調査報道
財源の強化と新たな活動への挑戦

第4章 広がる非営利報道と多様化する姿
非営利報道の拡大
非営利報道の類型化と大型化
特定の問題に特化した団体
非営利報道の周辺に存在するその他の団体

第5章 非営利報道を支える米国社会の仕組み
非営利報道を支える寄付制度
フィランソロピーに基づく寄付社会の形成
ジャーナリズムへの寄付の実態
調査報道を教えるジャーナリズム教育

第6章 非営利報道の展望
連邦通信委員会の提言
大学との融合
非営利報道の掟

第7章 日本における非営利報道の可能性
世界に広がる非営利報道
日本での非営利報道の誕生と今後の展望

第8章 非営利報道の新たな挑戦
チャールズ・ルイスとの再会
「ジャーナリストなきジャーナリズム」へ

終 章 問われているものの本質とは

おわりに

ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか

権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか

  • 作者: 高田昌幸
  • 出版社/メーカー: 旬報社
  • 発売日: 2016/11/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『人を見る目 (新潮新書)』 保阪 正康著 [エッセイ]


人を見る目 (新潮新書)

人を見る目 (新潮新書)

  • 作者: 保阪 正康
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/04/13
  • メディア: 新書



著者の読書の守備範囲の広さを実感できる本だ。

ギリシャのアリストテレスと同時代の人テオプラストスは人間の性格を30に分けて、当時の人間のありのままの姿を描く。著者は「この書(『人さまざま』)に触れたとき、2400年という時間は一気に縮まり、人間はまったく変わらないのだなと感動した。そして昭和史に限らず近代日本を見ていて、権力者を中心に演じられる百態は、まさに『人さまざま』と思ったものだ」と書く。

いわば、本書は、テオプラストスに倣って、著者の見聞きした『人さまざま』を記した本だ。と、同時に、間もなく80歳になる著者の人生観(時間観、歴史観、人間観・・・)を自ずと反映して、「人生かくあるべし」という著者の願いを示していると言っていいだろう。(もっとも、模範とすべきでない例の方が多いのではあるが・・)。


主に登場する「人」は、昭和の人々、戦時中・戦後のどさくさを生きた方々が多いのだが、最近では、「しみったれ / 哲学や思想なき打算」の項で、元都知事の舛添要一氏、「空とぼけ / 人を騙す手法の罪」の項で、現首相の安倍晋三氏、「人の操もかくてこそ / 一人になっても、見事に生きる」の項で、著述家の西部邁氏が取り上げられている。

第二次世界大戦時、主要国が用いた戦費の比率は、アメリカ:6に対して日本:1であったこと、孫文の訪問を断った南方熊楠の逸話、中江兆民の長男:丑吉の「精神」、清水の次郎長の晩年の生き方などなど、興味深い話題に尽きない。

最後に著者『あとがき』から抜粋。「本書を通じてそれぞれの世代なりに、時代に生きる人間の素顔を受け止めてもらいたいと思う。私たちはそれぞれの時代という舞台で、80年、90年、自らの役を演じきって亡くなっていくのである。せめてその間だけでも、充足感を味わいつつ、自らの役を演じきってみようじゃないか、と思う。」


人さまざま (岩波文庫 青 609-1)

人さまざま (岩波文庫 青 609-1)

  • 作者: テオプラストス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/04/16
  • メディア: 文庫


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『人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方』 おのころ心平著 同文舘 [心理学]


人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方 (DOBOOKS)

人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方 (DOBOOKS)

  • 作者: おのころ 心平
  • 出版社/メーカー: 同文舘出版
  • 発売日: 2018/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「バウンダリーとは心理学用語で、自分と他人の間にある境界線のこと。目に見えない人間関係の中で、『ここからここまでは自分の領域、そこから先はあなたの領域』ときちんと線引きしていく方法です」と著者は定義する。

閉ざされた逃げ場のないように思われる人間関係(家族・親族、会社、地域共同体・・・)の中でほど、自分の領域を守り、他者の領域を守る姿勢態度は必要となってくる。ところが、こちらが相手の領域を守る気持ちでいても、相手方は越境・侵入してくることがある。それが、善意に基づくものであったり、権威関係に基づくものであったりすると、線引きするのに(線を明確なものとするのに)困難を覚える場合がある。

我慢して越境・侵入を許しておくと、心身の調子を崩す要因ともなる。どうしたら、カドを立てずに、線引きをすることができるか、(実例を示しなどしつつ)その知恵が示されていく。他者に越境・侵犯されて他者の人生を生きているように感じられる方は、自分の人生を取り戻す助けを得られる。

(以下、『目次』細目省略)

1章 自分を大切にするバウンダリーという方法
バウンダリーとは何か?
バウンダリーを越えてしまう人々
自分の領域を守るということ
今なぜ、バウンダリーが必要なのか

2章 凛とした人になるバウンダリーの7つの習慣
1初対面の第一印象を重視する
2謎めいた雰囲気を醸す
3専門的に多弁
4ちょっとした不安を相手に与える
5「強烈な第二印象」をつくる
6決定習慣をもつ
7会話をまとめる癖をつける

3章 さりげなく境界線を引くサブリミナル・トークとしぐさ
バウンダリー・トークの基本
存在感が伝わる3つのサブリミナル会話テクニック
長話をイライラせずに聞くコツ
5つのメッセージ・ゾーン
表情を使ったサブリミナル・バウンダリー
しぐさを使ったサブリミナル・バウンダリー
肩を使ったサブリミナル・サイン
第三者の声を使って伝える

4章 ケースで見る人間関係のバウンダリー・オーバー
こんなタイプにどう対応すればいい?
押しつけがましい人
愚痴ばかりの人
嫌味な人
上から目線で話す人
はり合ってくる人
悲観的で心配ばかりしている人
イライラを伝染させる人

ケース・スタディ①上司の頻繁なアドバイスで時間を取られる②一方的に長話をする友人との関係性を変えたい③ママ友から詮索されるのが苦痛④父親との価値観の相違⑤本心と言動に食い違いのある姑

5章 ほどよい距離を判断できる人間関係のマイ・ルールをつくる
マイ バウンダリー・ルールをつくろう
あなたにとっての時間の優先順位は?
交際費からあなたの人間関係を見直す
最小限の人間関係を考えてみる
手放しの人間関係
人間関係の濃淡はライフステージによって変わるもの
マイ バウンダリー・ルール7ヶ条

6章 縛られない・とらわれ過ぎないワンランク上の人間関係へ
日々のバウンダリー意識は、あなたの自尊感情をはぐくむ
自己肯定感のリニューアルチャンスは9年周期でやってくる
バウンダリーの重要性を痛感した20代の出来事
全方向に一律のバウンダリーは不可能
バウンダリーはあなたの感受性を磨き、あなたの才能を開花させる

おわりに


フランス人ママン 「強く生きる子」を育てる75の言葉

フランス人ママン 「強く生きる子」を育てる75の言葉

  • 作者: 荒井好子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


https://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/index/3
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「上機嫌な会話が人生を豊かにする」// 齋藤 孝著『不機嫌は罪である』 から抜粋 [心理学]


不機嫌は罪である (角川新書)

不機嫌は罪である (角川新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: 新書



不機嫌の反対の「上機嫌」について、著者は次のようにいう。

私の考える「上機嫌」というのは、あくまで本人の心身の内側からどうしようもなく満ちあふれるものです。

そして、民俗学の「ハレとケ」の概念を持ち出しつつ、つぎのように記す。なにか、テレビ出演している時の、著者のすがたを思い出す。

私は講演会やテレビ出演などで、日々無数の人にお会いしています。その一人ひとりとの出会いに対して、いつも「この出会いを祝祭の場にしたい」と現在は自然に思えています。民俗学には「ハレとケ」という概念がありますが、儀礼的に定められている「祭り」だけでなく、日々の人と人との出会いも十分に「祝祭」です。(中略)今の私はそうした「祝祭」としての出会いの意識を非常に重視しているので、頼まれずとも自分から場を盛り上げてしまうし、絶えず笑顔になってしまうのです。(中略)この世の一人ひとりの人間は「場」や「他人」に対しても責任を持っています。上機嫌を目指し、維持したいのであれば、場や人とコミュニケーションをとってうまく力を借りながら、自分も相手に上機嫌を返して、お互いに高めあっていくのが何よりでしょう。

この後、〈上機嫌を助ける「会話力」を磨こう〉という見出しで、①雑談力、②要約力、③クリエイティブな会話力 を取り上げ、さらに次のように記す。

上機嫌な人がこれらの会話力を持ったならばもう無敵です。相手はあなたの上機嫌に巻き込まれ、まさに踊るようなトークが発生するでしょう。

「踊るような」という比喩が興味深い。そして、オマケのようにして、こう書く。

そのために欠かせないもう一つの要素が、「間合い」です。第3章で呼吸法をご紹介したときに少しだけお伝えいたしました。会話には「間」と呼ばれる要素があり、自分の呼吸だけでなく相手の呼吸もわかっている、「間合い」のとれる人が、会話上手になれるという話です。(中略)呼吸法を見につけ、上機嫌にふるまうなかで、「事態を客観的に把握し自己をコントロールできる」ようになると、この「間合い」の達人に近づけるようになります。

このオマケを読んで、亡くなった先代の柳家小さんの名人芸を思い出した。ぼそぼそぼそぼそ話しているのだが、オモシロイ。先代自身、「間」のとれない奴のことを「間抜け」というんだとかなんとか言っていたと思うが、剣道七段の腕前は、落語の間合いにも活かせていたのだと思う。

「芸は間。間は魔に通ず」
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-12-05


コミュニケーションというのは、祝祭であり、ダンスであり・・・。

齋藤 孝著『不機嫌は罪である』を、『クライシス・カウンセリング』と重ねて、興味深く読んだ。



クライシス・カウンセリング

クライシス・カウンセリング

  • 作者: メンタルレスキュー協会
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意』 佐藤 優 談・著  講談社現代新書 [教育・学び]


埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意 (講談社現代新書)

埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意 (講談社現代新書)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 新書



たいへんローカルなタイトルの本であるが、これからの時代、全国区で役立つ書籍だと思う。

以前、「浦和高校」について、埼玉県の各中学の学年トップの入る学校と聞いた覚えがある。たしか、脳科学者の茂木健一郎氏も本来「浦和高校」に行くはずが、もっと上を目指してはという勧めを受けて、学芸大学附属高に入ったようにどこかで読んだ記憶がある。そういう伝統高、今や数少なくなった男子高の熱気が伝わってくる。

内容は、浦和高校卒業生である著者の生徒たちへの講演と講演後の生徒との問答(2015年9月)、保護者に対する講演(2017年12月)、それに、当時の校長(杉山剛士氏)との対談とから成っている。

学業に対する向かい方、受験に対する態度、先生方のことなど、著者は語っていくが、その話の基調には、〈社会に役立つ(どこかを支える)人間となることで、自・他共に幸せを目指すこと〉がある。受験競争を勝ち抜く小手先の技術などではなく、文字どおりグローバル社会を生き抜く骨太の学びを伝えている。

たいへん多忙であるにもかかわらず著者は、講演時、生徒たちにメールアドレスを教え、後に応答している。ある生徒からはメンタル面での相談を受け、それに答える。その後、提案を受けた生徒は問題を抜け出し、「先輩が言ったとおりでした」と連絡する。「先輩」は、すなおに喜びを表わす。その真摯なやりとりから「ああ、こういう人物だから、社会的に成功できているのだな」と感じさせられもした。

「ようやく時代が浦高に追いついてきた」という発言もある。実際のところ、「なんだローカルなタイトルをつけて・・」と打ち捨ててしまってはもったいない書籍だ。

目次(章立て)

はじめに
「公立高教育」の重要性

第1章 世界のどこかを支える人になろう 
ほんとうのエリートとは何か

第2章 一度に三兎を追え
浦高生との質疑応答

第3章 不確実な時代を生き抜くために知っておくべきこと
受験は「総合マネジメント能力」

第4章 対談 高校生活の極意 大学受験の極意
杉山剛士(浦和高等学校校長)×佐藤優

おわりに


獄中記 (岩波現代文庫)

獄中記 (岩波現代文庫)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/04/16
  • メディア: 文庫



学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド

学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド

  • 作者: 武内彰
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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『クライシス・カウンセリング』 メンタルレスキュー協会 金剛出版 [心理学]


クライシス・カウンセリング

クライシス・カウンセリング

  • 作者: メンタルレスキュー協会
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



死ぬことを考えている個人やなんらかの惨事に巻き込まれた方、また、自殺者を出してしまった(あるいは、惨事に巻き込まれた)組織とその帰属する方々へのカウンセリングは、フツウのものとは異なる。一般に「傾聴」がカウンセリングで重視されるが、危機的重大局面においては、それだけでは間に合わない。

そうした現場で、実際に活動し、実績をあげてきた組織の、カウンセリング・スキルが示されている。そのスキルのベースとなる理論・解説も示されてあるが、「机上の空論」の印象がない。現場で実績をあげてきたその理論・スキルには、重みがあり、「ああ、これなら活かせる」、有効性は確かだろうと感じさせるものだ。

理論面の解説も、クライシスを経験すると人間はどう反応するかが原始人の体験したであろう心理・身体面の変化から示される。そこから、死にたいと思うことはそういった傾向・特性を持つ特定の人だけでなく、だれもが持ちうることが示される。その根っこにあるのが「疲労」である。それがどういう風に蓄積されると、ウツに陥り、死ぬことを考えるようになるかも示される。そのような個人へのアプローチの実際、また自殺者の出た組織の経営者・管理職、同僚、遺族を助ける面での実例も、興味深い。

クライシス・カウンセリングの現場での、個人面談のスキルは、そのまま普段の対人関係にも活かすことができる。「メンタルレスキュー協会」の講義指導を受けた組織幹部やカウンセラーとして活動している方々の経験談が「コラム」として掲載されているが、人格面でおおきな成長を遂げているのが窺える。本書を手元に置いて、自分を高める上で役立てたいと思うほどであった。


不機嫌は罪である (角川新書)

不機嫌は罪である (角川新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: 新書



アンガーマネジメント 11の方法―怒りを上手に解消しよう

アンガーマネジメント 11の方法―怒りを上手に解消しよう

  • 作者: ロナルド T. ポッターエフロン
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2016/09/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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『ことばと遊び、言葉を学ぶ』 柳瀬尚紀著 河出書房新社 [日本語・国語学]


ことばと遊び、言葉を学ぶ: 日本語・英語・中学校特別授業

ことばと遊び、言葉を学ぶ: 日本語・英語・中学校特別授業

  • 作者: 柳瀬尚紀
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



「日本語・英語・中学校特別授業」の副題がついている。子どもたち相手に語ったことが記されている。柳瀬さんの話しぶりが復元されて、懐かしい感じがする。内容としては、タイトルどおり、「ことばと遊び、言葉を学ぶ」ことが示されていく。

「ことばと遊び、言葉を学ぶ」とは、言い換えるなら、言葉にまみれることであり、凝りに凝ることと言っていいだろう。柳瀬さんが、翻訳家としてことばにまみれ・言葉に懲りだした縁起については、次のようにある。「ルイス・キャロルの翻訳を行うようになってからは、原典の英語で使われている修辞の多様さ、これだけ面白いのだから、それと等価であるような訳文を作りたい、という気持ちが生まれたのです(p205)」、と。そうか、それがジョイスに繋がって行くのか、と納得する。

訳語として応答する日本語については、次のように語られる。「日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・ルビなど、さまざまな表現方法を備えています。それに、多量の意味を持ち、表現の幅を大きく広げてくれる同音異義語・同訓異字なども多くあります。そのような日本語に触れてきた経験から、私は、翻訳というものについて、翻訳者の個性というよりは、翻訳の言葉が日本語のほうから降ってきてくれるものだと考えるようになりました。翻訳をするときには、私は、日本語を通訳しているだけなのです。(p211)」。

まるで、預言者が天からくる神の言葉を待っているかの例えである。ジョイスの著作『フィネガンズ・ウェイク』の翻訳を成し遂げるというカミ業が可能となったのは、柳瀬さんの日本語への信頼が土台にある。そして、その土台を支えたのが辞書への執着である。そのようにして、天からのインスピレーションに応答する言葉が備えあったことがカミ技の理由であろう。

本書には、氏の辞書との付き合いぶりが、示されてもいる。オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー(OED)、『諸橋大漢和辞典』、『熟語本位 英和中辞典』、『新明解国語辞典』の話など、その利用の仕方もふくめて語られる。「ことばと遊び、言葉を学ぶ」ことへ招待する本としてお勧めである。


辞書はジョイスフル (新潮文庫)

辞書はジョイスフル (新潮文庫)

  • 作者: 柳瀬 尚紀
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫



フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)

フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)

  • 作者: ジェイムズ・ジョイス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2004/01/07
  • メディア: 文庫



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『簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン』 島田 雅彦著 KADOKAWA [文学・評論]


簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン

簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン

  • 作者: 島田 雅彦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: 単行本



「島田雅彦 文章読本」。大学での講義をまとめたもののようである。章立ては「第1章 短文で綴る前の意識鍛錬」「第2章 私小説で考える自己表現」「第3、4章 短文に挑む準備段階」「第5,6章 短文レッスン」となっていて、創作をめざしての意識形成、自己形成から話しが進められる。まわりの人と同じ意識では、文章を物す意味はない。まずは個を意識し、確立する必要がある。少なくとも、他者に読んでもらうものとなるためには・・・ということらしい。迂遠のようではあるが、事実そのとおりであろう。なにしろ著者は、第一線で活躍する実作者である。そのアドバイスは捨てがたい。ただ、それで、実際に作家になれるかどうかはわからない。

目次

序章
小説作法で短文を学ぶ
ニーチェの短文ツイートスタイル
漱石、谷崎、太宰から話題の芥川賞作家までの表現の変遷
短文の宿命
文章は音読されることを意識せよ

第1章 短文で綴る前の意識鍛錬
私たちが失ったオーラ
インスタグラムに象徴される自己表出
オーラを取り戻したいという衝動
プルースト『失われた時を求めて』の試み
「非リア充」層が紡いだ近代文学
目的を持たない散歩の効用
自己紹介で自己の見解を磨く
意外性を意識して自己表現する
書く行為は他者を慮ること
異質な世界にいる人との対話を心がける
異分野の相手の懐に入り自己表出をグレードアップ

第2章 私小説で考える自己表現
自分を客観視することが出発点
自意識過剰から「無意識過剰」へ
書物は「ロマンス」「告白」「百科全書」「小説」に分類される
自叙伝と私小説の違い
自己の客観視を徹底した夏目漱石の作品
純文学は人身掌握術に長けること
事物・事象の描写力が純文学の真髄
オーラをまとった文章とは
川端康成、古井由吉、宮尾登美子ら美文作家に学ぶ
「ワタクシ小説」が自分らしさを取り戻す

第3章 短文に挑む準備段階
相手の意表をつく自己フレーミング
自分を野菜、動物、金属にたとえる
ガストン・パシュラールの手法
自己のキャラクター化
正義感のある凶悪犯などキャラの開発を
傷つかない自分の発見法
細かいディテールを掘り下げる
五百億円の使い道
ドストエフスキーの対話スタイル
大阪のおばちゃんの噛み合わない対話
見解の乱反射が対話の魅力

第4章 短文に挑む準備段階 その2
予定調和に陥らない起承転結の要点
短文での起承転結のテクニック
メメント・モリ、死を想え
あの世、地獄、天国・・・死のイメージを広げる
「死」から葬儀、葬り方とさらにイメージを膨らます
神話時代の夢が象徴する物語を紡ぐ欲求
夢日記をつけて内なるものを見出す
別の時代や場所に生まれた自分を想像する
求愛は最も身近な短文表現
ラブレターは冗長にならず比喩で勝負
フェティシズムが比喩を進化させてきた

第5章 短文レッスン
システマティックな句作法
アフォリズム的な俳句と情緒的な短歌
旅で詠む訓練を
日記に丸裸の自分を書く
詩は高度な思弁
アフォリズムを自己流にアレンジ
言葉の組み換えに挑む
ナボコフの2言語駄洒落
手書きか、ワープロか

第6章 短文レッスン その2
書き出しの仕掛け
推敲と議論
日本人の複雑な感情表現
人間ウォッチングと散歩
無意識を獲得する方法
自我のリセット
読ませる工夫は風刺を
社会のくびきから自分を解き放て!

島田教授のワンポイント添削
S田M彦の自己フレーミング~あとがきに代えて~



文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1996/02/18
  • メディア: 文庫



文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/11/18
  • メディア: 文庫



文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/12/18
  • メディア: 文庫



自家製 文章読本 (新潮文庫)

自家製 文章読本 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 ひさし
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/04/28
  • メディア: 文庫



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『渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実』 渡部昇一×高山正之 飛鳥新社 [世界史]


渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実

渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



副題の「朝日新聞が教えない歴史の真実」からも分かるが(とはいうものの、書籍・表紙にも目次にも、副題の記載はない)、世界史講義というよりメディア史・メディア論の印象が強い。太平洋戦争後、アメリカの占領政策にしたがって朝日新聞、NHKといったメディア・組織が利用され、(また、「敗戦利得者」たちの影響力によって)、今日まで、日本国民が「洗脳」され(誤まった歴史認識をもたされ)てきたことが強調されている。世界史的には、「悪辣な」アメリカと、日本に植民地を奪われ(それら植民地が解放され独立し)た結果「貧乏」になったヨーロッパ諸国、そして、度し難い国としての中国、韓国と、戦前・戦後の日本との関係が対談される。

であるから、「洗脳」されてきた個人が読むなら、啓発とともにショックを受けるにちがいない内容である。しかし、評者のすくない知識(アメリカ合衆国の歴史など)から推しても、受けいられないものではない。アメリカ移民後、彼ら・アメリカ人たちが先住民に対し、後に黒人奴隷やアジア系移民に対して行った処遇から、首肯納得させられるものである。また、本書で取り上げられている多くの事例(たとえばフィリピンをスペインから奪取するやり方、またその後の扱いなどなど)からいくなら、「悪辣」と評するに値する。そのアメリカを高山氏は「白いシナ」と呼んで中国と同列に置く。渡部氏はその理由として「封建時代」を経験していないことをあげる。(ちなみに「中世のないソ連とアメリカが第二次世界大戦を宗教戦争のようにしてしまったからです。宗派が違う敵は悪魔という、三十年戦争の姿に戻ってしまいました」という記述もある)。

個人にも批判の矛先は向けられる。ピュリッツアー賞を受け岩波書店から邦訳された『敗北を抱きしめて』の著者:ジョン・ダワー、本多勝一、慶大教授 添谷芳秀、早大名誉教授 後藤乾一。さらには、以下のような方々への話もでる。

〈渡部:(前半省略)東京裁判史観に取り込まれ、マッカーサーを賛美する半藤一利(文春・元専務)や保坂正康といった人たちが歴史認識の基調を握っているのは危ない。彼らは一所懸命、東京裁判の対象になった人たちに話を聞いて回ったけれども、それでは日本側の動きしか分かりません。 / 個々の戦闘で、日本軍がどうやられたかという話を集成すれば、東京裁判をなぞる結論になってしまう。その前に連合国側が何をしていたか、日本がそういう限られた条件での戦争や戦闘に、そもそもなぜ追いつめられたのか、という情報はシャットアウトしているわけです。 高山:そう、国際性がないんです。日本と米国の動きを上から俯瞰して、それぞれがどうやって動いたのか、その結果として戦争を見ないといけない。(p169、170)〉

半藤氏のことを、立花隆氏が「昭和の戦争をこの方以上に知る人はいない」というようなことをどこかに書いていた。また、保坂氏も同様の方である。しかし、本対談のお二方に言わせるとそういうことになるらしい。その評価について異論はあろうが、国際的に、より高い見地から歴史を見るという点で、本書は読むに値する。


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/11/16
  • メディア: 新書



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