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〈あのひとががんになったら - 「通院治療」時代のつながり方〉 桜井なおみ著 中央公論新社 [医学・健康]


あのひとががんになったら - 「通院治療」時代のつながり方 (単行本)

あのひとががんになったら - 「通院治療」時代のつながり方 (単行本)

  • 作者: 桜井 なおみ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本



書籍タイトルよりも内容は広い。「あの人ががんになったとき」だけでなく、「自分ががんになったときに」役立つ知識・情報・知恵が、著者自身の(闘病の)経験・知見にもとづいて記されている。がんになった「あのひと」、友人、家族、同僚・・とどのように接したものか・・、また、自分がそうなったとき、どのように対応・処世できるか・・、医療を受けながら会社にとどまるための知恵・・、部下、同僚がそうなったときの配慮の仕方・・など示されていく。「がん対策基本法」、「高額医療費制度」も言及され、その利用の仕方も示されて、身体面、心理面、経済面でたいへん有用であり実践的である。がんにまつわるいろいろを理解したうえで、どっしり受け留めていく助けとなるにちがいない。たいへん頼もしい本だ。

【目次】

はじめに
こんなご質問をよくいただきます
がん告知を受けて
世間は冷たい!? メール後の反応は
お互いに歩み寄るために

第1章 がんと患者の現在地-入院は短く、通院は長く
「お若いのにかわいそう」?─もはや高齢者の病気ではない
「がん=怖い」イメージが強いけれども
「どうして」と聞かれても─がんは生活習慣病?
私のがん発見記
「治ってよかったね」は合わない
がん治療の現在地
入院は短く、通院は長く
心と体が最も落ち込むのは通院治療中
増える「コミュニケーション」についての悩み

第2章 あのひとががんになったら―よりよいコミュニケーションを考える
いちばんは「普段どおり」
でも過度の期待はすべからず
言われてうれしい言葉
言われると傷つく言葉
「頑張れ」は諸刃の剣
【「家族」ががんになったら】 
1 ただ近くにいる、ただ話を聞くことがいちばん
2 ビッグイベントには付き合う
3 子どもには伝える? 伝えない?
4 高齢の親には伝える? 伝えない?
5 急に怒り出したら
6 「あなたに私の気持ちはわからない」と言われたら
7 夫婦間ですれ違いが起こったら
8 親や兄弟姉妹ががんになったら
【「友人」ががんになったら】
1 無視がいちばん辛い
2 気持ちを省略しないで
3 かける言葉がなかったら
4 「手術が終わった」と言われたら
5 患者以外の自分になれる時間がうれしい
6 お見舞いについて
7 孤独にさせない
【「職場の仲間」ががんになったら】
1 「実は……」と言われたら
2 早期かどうかを聞くのはやめて
3 部位について聞くのはセクハラかも
4 視線もセクハラになる
5 「ウィッグかな」と思ったら
6 コミュニケーションは密に
7 「大丈夫?」以外の聞き方を
8 ピリピリしていると感じたら
9 見た目と違う辛さもある
10 暑いの?寒いの?
11 「よかれ」が相手を傷つけることも

第3章 あなたががんになったら―必要なのは「患者力」
「患者力」を高めよう
患者力を上げるコツ① ─「知る」(自ら作戦を立てる / 「影響」「時間」「対処法」を聞く / 人生の棚卸しをする)
患者力を上げるコツ② ─「伝える」(自分で受けた治療を説明できるか / 職場に説明するには「仕事言葉」で / どこまで伝えるべきか)
患者力を上げるコツ③ ─「相談する」(まず立ち止まって深呼吸 / 「新しい日常生活」を見つけよう / 即断即決しない / がんの「オキドコロ」を考えよう

第4章 がんと会社-「通院治療」時代に働くということ
ステージ4でも働けます
なぜ起こる?  「がん離職」
がん離職①─4人に1人は診断後1か月以内に離職
がん離職②─復職後1年以上経ってからの離職も多い
がん離職③─中小企業では3人に1人が離職
権利主張ではなくスペック主張で
上司は「役割」「目標」を一緒に考えよう
患者さんをきっかけに「働き方改革」を進めよう
制度をどう使うべきか
個人事業主に立ちふさがる現実
自営業は〝自衛〟業
がん患者が働く目的は「生きがい」より「お金」

第5章 もっとつながるために―知っておきたい情報あれこれ
「がん対策基本法」を知っていますか
「改正がん対策基本法」で何が変わるのか
がん治療薬は高額?
知っておいてほしい「高額療養費制度」
いざというときに頼りたい産業医
がんを知ることが、いちばんのがん対策

おわりにーー「健康」とは何か

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『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』 飯島 勝矢著 KADOKAWA [医学・健康]


東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣

東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣

  • 作者: 飯島 勝矢
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本



〈フレイルとは、年をとるにつれて筋力、認知機能、社会とのつながりを含む心と体の活力が低下した状態〉〈「虚弱」を意味する英語のフレイルティが語源で、日本老年医学会が提唱し〉た。

〈東京大学高齢社会総合研究機関が実施した大規模高齢者フレイル予防研究の結果、「しっかり噛んで、しっかり食べる」「運動する」「社会とのつながりを持つ」 / この3つのことがバランスよくできていれば、加齢に伴う体や心の衰え=フレイルを予防でき、改善につなげられることがわかってき〉た。

〈これからはフレイルを高齢者だけの問題と思わず、早くから先を見据えた健康対策を行うことが大切にな〉る。〈50代、40代、いえもっと早くから意識しても早すぎることは〉ない。〈本書を「フレイル」から、「将来は寝たきり」の心配から、抜け出すきっかけにして〉ほしい。

以上、「はじめに」から抜粋したが、本文では、具体的なフレイル予防対策、また、改善策が示されていく。個人的には、「BMIパラドックス」のこと、ある年齢から「メタボ予防からフレイル予防へ。180度のギアチェンジ」する必要性のあることが印象に残った。

啓発的で見やすく読みやすい。紙質はあまりよくないが、価格相応の普及版として評価できる。巻末には、『ひと目でわかる!427品目のたんぱく質データ事典」が綴じ込み付録となっている。カラー写真で該当食材(あるいは献立)が、併せてカロリー量、塩分、脂質量が示されている。こちらの紙質は比較的良い。

いちど読めばそれでイイようにも思うが、手元に置いておくならフレイル予防・改善の動機付けとすることもできるにちがいない。 

(以下、目次・章立て)

第1章 あなたのフレイル度は? リスクを知るカギは「ふくらはぎ」にあり!
第2章 きちんと食べているのに体がだるい、 新型栄養失調が増加中
第3章 ささいな口の衰えからずるずるる老化が進む オーラルフレイル
第4章 今すぐ実行! もっとたんぱく質がとれる食べ方
第5章 社会性のあるなしが、フレイル予防の大きな分岐点
第6章 同世代の人より、歩くのが遅いと思ったら要注意!
綴じ込み付録 オールカラーだから一目でわかる。427品目のたんぱく質量データ事典


フレイル 超高齢社会における最重要課題と予防戦略

フレイル 超高齢社会における最重要課題と予防戦略

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 医歯薬出版
  • 発売日: 2014/06/10
  • メディア: 単行本



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『闘いつづける力: 現役50年、「神の手」を持つ脳外科医の終わらない挑戦』 福島孝徳著  徳間書店 [医学・健康]


闘いつづける力: 現役50年、「神の手」を持つ脳外科医の終わらない挑戦

闘いつづける力: 現役50年、「神の手」を持つ脳外科医の終わらない挑戦

  • 作者: 福島 孝徳
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/01/31
  • メディア: 単行本



スーパードクター、ゴッドハンド、「鍵穴手術」で有名な脳外科医:福島孝徳先生の本。〈現役50年、「神の手」を持つ脳外科医の終わらない挑戦〉の副題から、先生の半生を縷々記した自伝(半生記)かと期待したが、「75歳の今でも1日も休」まずに世界を飛び回り、自ら手術をし、弟子を育て、レクチャーしている先生に、反省などしているヒマは到底なさそうだ。先生の生い立ち(父は明治神宮の神官で、内科医である叔父の影響で医学を志したこと)については伝え聞いているが、より深く(鍵穴手術を行うかのように)その精神形成に迫る内容を期待したのだが、そういう本ではない。

先生の圧倒的な生き様については本書からも実感できるが、巻頭に紹介されてあるように〈今回本書で取り上げる顔面けいれん、三叉神経痛の手術は、1回の鍵穴手術でほとんどの方が全治します〉というのが、その内容である。顔面けいれん・三叉神経痛に悩まされている方に、鍵穴手術の効果を示し、ご自分が手術を行う病院(12ヵ所)と、弟子たちを紹介する本だ。回復した患者さんらの「感謝の手紙」も掲載されている。

健康食品・療法に関する本で、その効能を示し、利用者の良い証言を集めて、その入手先を紹介し、結局は自分の販売する何かに勧誘するたぐいの本があるが、ワルク解釈するなら、その手の本と“カタチは”よく似ている。しかし、なにしろ、中央に控えているのは福島先生である。もはや何も言えない。

最後のページに示されているゴッドハンド、世界のラストホープの文章は以下のものだ。〈どんなに偉い人、大臣でもプロ野球の監督でも、1回の脳の病気で倒れてしまうのです。名誉、地位、お金、愛情、家庭、人生には手に入れたいものがたくさんありますが、一番大事なのは健康です。病気になると健康のありがたみがよくわかります。 / 赤ちゃんから高齢者まで国民全員、脳ドックを受けて、早期発見、早期治療で全治し健康で長生きしましょう。 / 日本は世界一検査費が安いのです。米国ではCT検査が1回20万円、MRIは50万円かかります(日本は1万円)。 / 初回の検査で特に異常がなければ、年1回か2年に1回程度の頻度で脳ドックを受けると安心です〉。そして、次のページには、ご自分の連絡先(米国の住所、ファックス・ナンバー、Eメール・アドレス)と公式サイトが掲載されている。しかも、そこには(優しい配慮が伝わってくるが)「Eメール、ファックスは日本語で受け取ることが可能です」の一文が添えられている。

脳外科医・福島孝徳大先生は「ワーカホリック」?
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14


ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医

ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医

  • 作者: 福島 孝徳
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2004/03/20
  • メディア: 単行本



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目次 『身体が求める運動とは何か』 水口 慶高著 文光堂 [医学・健康]


身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

  • 作者: 水口 慶高
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: 単行本



上記書籍・目次

1 運動をどうとらえてどう介入するのか?
① 運動とは何か?(統合的運動生成概念)
② アプローチの理論(BiNI理論)

2 運動が達成されるための3つの学習戦略
① 3つの運動学習戦略
② 自己組織化理論に基づく教師あり学習

3 運動誘導は治療
① 痛みは運動から生まれる
② よくある運動評価と指導
③ 教師あり学習における教師信号を考える

4 運動は身体が選ぶ
① 運動は身体が選ぶ
② 形と仕組みが動きを作る
③ 先回りシステム(APA)と積極的外乱生成
④ 脊髄は管制塔

5 根源的な歩行システムと足部機能
① 柔らかい足と硬い足
② 転がる足
③ 骨盤の前・後傾運動
④ 動歩行へ導くこと

6 運動は紡がれ続ける
① “立つ”はすでに運動
② 立ち上がり方で歩行が変わる
③ スタートラインが始まりではない
④ ルーティンのすすめ

7 左右特異性と運動誘導
① 非対称歩行(右の通り道、左の通り道)
② 螺旋性の法則

8 感じる力
① 触れる
② 構造を変える
③ こころ
④ 感覚入力の優位性

9 歩行誘導に効果的な教師信号
① そうさせるのではなく、そうなってしまう運動誘導
② 左足から接地
③ 2本のレールの上を歩く
④ 肘を曲げ、腕を振る
⑤ 補助はどちらの位置する?
⑥ 左腰タッチで歩行誘導
⑦ 手をつなぐ
⑧ 視界を広げる

10 幹が変われば枝葉が変わる
① “根幹”につながる教師あり学習戦略とは?
② 身体は“楽ちん”を選び続ける

索引

運動の成り立ちとは何か―理学療法・作業療法のためのBiNI Approach

運動の成り立ちとは何か―理学療法・作業療法のためのBiNI Approach

  • 作者: 舟波真一
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2014/06/01
  • メディア: 単行本


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身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導 [医学・健康]


身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

  • 作者: 水口 慶高
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: 単行本



新しい運動理論のようである。著者たちの肩書きに「BiNIリハビリセンター」とあるのでネット検索すると、「バイニーアプローチ 統合的運動生成概念」というページが見つかった。独自の身体・運動理論をベースにリハビリテーションを実践してきた方々なのであろう。ただ、本書中では、それにとどまらずスポーツへの適用も示されていて興味深い。運動の主体が障害者であろうが健常者であろうが身体の構造は共通であるから、構築された理論はいかにでも運用できるにちがいない。そして、その理論に相当するのが「統合的運動生成概念」なるもので、生体力学と神経科学の知見に基づくものであるのだという。

本書中、「運動は作るものではなく、生まれ出づるもの」、「紡がれ続ける」ものという表現がなされている。著者らに言わせると、「姿勢も運動である」ということになる。身体は胎内にいるときから、一度たりとも止まることなく運動し続け、動いていないようにみえても、体の中の各器官は営みを止めることなく継続し続け、心臓は動き血流を還流させ、骨格筋も状態を変化させ、呼吸運動は体幹の形状を大きく変化させ、よって身体は動きを止めることなく運動し、たとえ眠っていても身体重心位置は変化している。したがって、姿勢も運動である。姿勢の連続も運動である・・とある。そして、その運動の主体が脳・意識というより、身体そのものによる時、身体の「形と仕組みが動きを作」り、身体の選んだ運動こそがたいへん合理的なものとなるのだという。

評者は、運動科学研究所の高岡英夫氏や『動く骨』の著者:栢野忠夫氏の身体理論に親しんできたが、それらを(より科学的なものとして)補完する医学書として読ませてもらった。「腹圧調整をつかさどる先行随伴性姿勢調節という脳幹システム」など興味深く紹介されている。より合理的で無駄のない動きが「生まれ出づる」よう参考にしてゆきたい。


究極の身体 (講談社+α文庫)

究極の身体 (講談社+α文庫)

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



動く骨(こつ) 手眼足編―重力と調和した動きを究める

動く骨(こつ) 手眼足編―重力と調和した動きを究める

  • 作者: 栢野 忠夫
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガシン社
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本




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『創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集』 [医学・健康]


創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集

創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集

  • 作者: 横尾 忠則
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 単行本



小説家、建築家、画家、音楽家、写真家、俳人、映画監督で一家を成した年齢80超の錚々たる方々へのインタビュー・対談集。しかも、インタビューアーは、横尾忠則氏である。それぞれ相互にリスペクトし合い、親愛の情も重ねてある中での対談であるから、和やかな雰囲気がおのずと醸しだされて、楽しい気分になってくる。そして、その内容は深い。タイトルどおり話題の中心は「創造と老年」、クリエイティビティと老齢との関係であるが、病気、死も話題となる。また「未来観」として「来世」、「他界」の話もでてくる。

3年がかりの対談を総括して横尾さんは記す。「80歳を迎える直前に、同じように80歳以上で、現役で創作活動を続けている皆さんがどう考えているのかお聞きしたくなってこの対談を始めたんですが、お話をうかがって、年齢とともに、身体感覚というか、身体知性というか、そういうものに自分の創作行為や芸術活動を委ねていこうとしておられるように感じました」。

「身体感覚」、「身体知性」というときに、その対として「脳」のこと、その言語・観念操作能力のことが語られる。芸術という世界は、「脳」よりも「身体」におおきく依存し、底の知れないような感動は、そこからしか出てこないという思いにさせられる。その点、李禹煥氏との対談にあるレンブラントとゴッホの自画像の話しは興味深い。

アーティストの方はもちろん、そうでない方も本書から、元気で長生きの秘訣を見いだせるにちがいない。

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『歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち』 丸善出版 [医学・健康]


歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち

歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2017/12/02
  • メディア: 単行本



神経科学(Neuroscience)の歴史の本。神経の中枢とされる「脳」に焦点を当てている。「偉大な科学者たちの思想や功績にはすばらしい物語がつきものだが、本書では脳についての100の物語」が紹介される。

「古代の医師たちは、重篤な頭部損傷の治療法を多少なりとも知っていたが、脳そのものに関する知識は乏しかった。はるか遠い昔、脳は体の中枢器官というより、血液を冷やす場所であるとされていた。中枢器官としての役割は心臓にあって、感情も魂も心臓に宿ると考えられていた。(同じような考えは今でもある。)しかし、進歩はゆっくりと、しかし、着実に進み、何世紀もかけて脳の本質がようやく理解されるようになった。」

本書の『はじめに』から以上引用したが、その末尾で、神経科学者は脳の探偵にたとえられ、次のように結ばれる。「脳の探偵たちは、これまでに驚くべき発見をたくさんしてきたが、いまだに解決されていない謎も多くある。私たちは何を知っていて、まだ解明されていない事柄は何であるのか。これらについて、本書で見ていくことにしよう」。

図像(イラスト、写真)がふんだんに用いられ、見ているだけで楽しい。本書末尾に『偉大な神経科学者たち』のプロフィルが紹介されている。本書中にも登場する人物たちである。「 ヘロフィロス(解剖学の創始者)、プラトン(知性は頭に宿ると提唱)、ガレノス(医学の体系を確立)、イブン・アル=ハイサム(視覚理論の提唱)、イブン・スィーナー(イスラムの医師・学者)、トナス・アクィナス(脳機能局在論を発展させた)、アンドレアス・ヴェサリウス(最初の近代解剖学者)、ヨハン・ヤコブ・ウェファー(脳卒中の原因の発見)、フランツ・ヨーゼフ・ガル(骨相学の祖)、ジョヴァンニ・アルディーニ(体内における電気の役割の研究)、カール・オーガスト・ウェインホールド(脳内の電気的活動の研究)、ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキンエ(神経細胞の発見者)、テオドール・シュワン(細胞説を提唱)、ベルンハルト・フォン・グッデン(脳標本用のミクロトームの発明者)、ポール、ブローカ(言語野が前頭葉に位置することを特定)、ジャン=マルタン・シャルコー(近代神経学の祖)、ヘンリー・モーズリー(パーソナリティー障害の概念を発展させた)、ジョン・ヒューリング・ジャクソン(脳の階層説を提唱)、エドワルド・ヒッツィヒ(運動皮質の領域を特定)、グスタフ・フリッシュ(運動皮質の領域を特定、ハーマン・ムンク(視覚皮質の領域を特定)、ウィリアム・ジェームズ(情動の理論を提唱)、デーヴィット・フェリアー(感覚皮質の領域を特定)、カミッロ・ゴルジ(神経細胞の染色法を開発)、サンティアゴ・ラモン・イ・カハール(ニューロン説を発展させた)、エミール・クレペリン(双極性障害を報告)、ジークムント・フロイト(精神分析学の創始者)、オイゲン・ブロイラー(統合失調症を報告)、ジョルジュ・ジル・ド・ラ・トゥーレット(トゥーレット症候群を報告)、ジョゼフ・バビンスキー(足底反射の発見)、チャールズ・スコット・シェリントン(シナプスを発見)、アロイス・アルツハイマー(認知症のなかでもっとも多い型を報告)、オットー・レーヴィ(神経伝達物質を発見)、カール・ユング(分析心理学を発展させた)、ナサニエル・クレイトマン(睡眠研究の祖)、グレイ・ウォルター(人工知能の先駆者)、アラン・ロイド・ホジキン(活動電位の発見)、アンドリュー・ハクスリー(活動電位の発見)、エリック・カンデル(分子レベルで記憶の仕組みを解明) 」の39人である。そこには、「生年、生誕地、没年、重要な業績(上に列挙した名前の後、括弧でくくった部分)」が一行で示され、さらに補足的な情報が記され、4人分が1ページに配されている。(「索引」も用意されているが、できれば、各プロフィル欄に、本書中の掲載ページも併せて示して欲しいところ)。

2015年英文発行書籍である。すでに新たな発見がなされて改訂の必要なところもあるのかもしれない。そのように考えると、日本版発行そうそう古い本となってしまっていると言えなくもないが、脳の『謎』の理解の発展の歴史をビジュアルに示す本書の魅力は、理解されていることそのことよりも、脳の『謎』がまだまだあることを知ることができることの方であるように思う。それゆえ、仮に情報の更新が必要であるにしても、決して古びることはない。


脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)

  • 作者: 渡辺 正峰
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/11/18
  • メディア: 新書




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皮膚は「心」を持っていた!山口創著 青春出版 [医学・健康]


皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: 新書



たいへんオモシロイ本だ。皮膚は、体をぐるっと覆っているウスイ皮膜以上のものであることを知ることができる。

皮膚は、他者との境界をなしている。その境界の意識が無いとどうなるか。他者も自分も無くなって(同化して)しまう。人間は、他者との関係をハカリながら生きている。ある時はベッタリを良しとし、あるときは、距離を置くことを望む。

そうした、距離感を適切にハカルことのできない人は、人間関係における種々の問題を抱え込む。それが元でうつ病になったりもする。距離感をハカルことのできない原因のひとつとしては、成育時の母子関係等があるようだ。「心」の健全な成長と「皮膚」はたいへん密接なつながりがあるようである。

本書では、皮膚を単なる人体の外縁を成すものではなく、感情・心と密接なモノであることが示され、瞑想、マインドフルネスより即効性のあるものとしてのセルフマッサージも紹介されている。

スキンシップの大切さは、以前から言われて久しいが、(とりわけ異性や思春期の子どもに対しては難しいものがあるが)どのように行うことができるかも示されている。

本書執筆の意図として著者は、①優しく温かい絆で結ばれた社会にしたい。②心を整える方法として「触れる」行為を見直してほしい、の二つをあげている。

これまで、知らなかった皮膚について多くの啓発を受けた。学んだことを実践するよう促される書籍だ。


以下は「蛇足」。ざっと読んで、南方熊楠の研究対象であった「粘菌」を想起した。粘菌は、単細胞で生活するが、多数が集合して同化し、巨大なモノともなる。

「粘菌」とは? 不思議な生物。 粘菌の世界
https://matome.naver.jp/odai/2140870299412708501

また、三島由紀夫の(正確なタイトルを失念したが)「手で触れるニューヨーク」というエッセイを思い出した。現代人の孤独は、モノからも疎遠となり、突き放されてあるところからもくる。

以下、目次

第1章 皮膚は「第二の脳」だった!?(肌に触れることは、心に触れること)
怒りっぽいのは「性格」のせいではなかった!? / 皮膚という「露出した脳」 / 頭が先か、体が先か。頭・心・体の関係 / 皮膚はもっとも原始的な感覚器 / 皮膚は“音”を聞いている / 耳では聞こえない超音波や低周波もわかる / 光や色も感知している皮膚 / 赤色にユニフォームで勝率が上がる!? / 皮膚はこんなに頭がいい / 目はごまかせても、皮膚はごまかせない / 触覚としての指紋の役割 / 皮膚は記憶を宿している / 触れられることからはじまる親子関係 / 胎児や赤ちゃんが感じるストレス

第2章 感情は「皮膚」でつくられる(イライラ、不安の理由は「肌」にある)
判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚!? / 体が温まると、心も温かくなる / 清潔にすることで罪悪感が軽減する / やわらかいものに触れると、心もやわらかくなる / 世界中の子どもが持っている「ライナスの毛布」 / 硬い肌着でストレスホルモンが増加 / 赤ちゃんが求めているのは「食べ物」よりも「肌感覚」 / 虐待が子どもの肌感覚に与える影響 / 「痛いの痛いの飛んでいけ」で痛みが軽くなる理由 / 孤独は心だけでなく体にも影響する / 紙の本と電子書籍、記憶に残りやすいのは? / 触覚の根っこは「命に触れる」こと / 年を重ねても触覚は衰えない

第3章 皮膚で「心を整える」方法があった!(この「触れ方」でポジティブに変わる
「触れる」機会が減りつつある現代人 / 皮膚が心地よさを感知するメカニズム / 動物にもある魚にもある「C触覚繊維」 / 「心地いい触れ方」の5つのポイント / こんな触れ方はやってはいけない / 触れることで、言葉以上に思いが伝わる / 「オキシトシン」というもうひとつの癒し / ストレスを軽くするスキンシップの秘密 / セルフマッサージで心を整える / マッサージでポジティブな心に変わる(実例:うつで悩んでいたクライアントが回復、体の不調だけでなく心も前向きに変化する、マッサージで過去のトラウマにアプローチ、母と子のコミュニケーションとしてのマッサージ) / 「触れる」ことで関係性がつくられる / マッサージをしている側にも変化が起こる / 災害、医療、子育て、介護・・「触れる」ことの可能性

第4章 「触れる力」が心を育てる (脳内物質「オキシトシン」の効果)
夫婦の絆を強くする脳内物質 / 子育て中の妻のイライラはオキシトシンが原因!? / 親子の愛情が深まり、子どもの情緒が安定する / 1~2歳の子どもの脳はだっこで育つ / 「触れない育児」が引き起こす悪影響 / 自閉症の子は脳のオキシトシンが少ない / ADHDの子どもも変わるタッチケア / 触れられ方の好みは人それぞれ / 「境界の感覚」を育むことの重要性 / スキンシップが多い子どもは学力が高い / 思春期の子どもの「触れ方」にはコツがある

第5章 「皮膚感覚」を活かす人づきあいのヒント (「心」に触れるコミュニケーション)
触れていなくても、そばにいるだけで心が強くなる / 相手を自分の一部のように感じるスペース / 「距離が近すぎる」というストレス / 添い寝するだけで自律神経が同調する / 病気の人には「付き添う」だけでもプラスの効果が / 「直接会わない」コミュニケーションのデメリット / 触れるだけで、相手に感情が伝わる / 相手のために触れる「慈愛の心」




子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/04/17
  • メディア: 新書



人は皮膚から癒される

人は皮膚から癒される

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 単行本




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「毛細血管」は増やすが勝ち!  根来秀行著 集英社 [医学・健康]


ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!

ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



毛細血管に焦点をあてた本。たいへん斬新な印象がある。だいじな点は赤色で表記され、4時限・13レクチャーの授業形式で進められる。親しみぶかいイラストもおおく用意され、全体にわかりやすい。

1時限目 老化は毛細血管からやってくる (①毛細血管は人体最大の臓器②毛細血管は命の営みの最前線③毛細血管のスバラシイ5つの働き④毛細血管は年とともに減っていく⑤不調の陰に毛細血管の劣化あり)/ 2時限目 毛細血管が若返るアンチエイジング・ホルモン(⑥血管を修復・再生する「成長ホルモン」⑦血管のサビをとる「メラトニン」⑧メラトニンのスイッチは体内時計⑨まだまだある!血管を助けるアンチエイジング・ホルモン) / 3時限目 毛細血管は自律神経に支配されている(⑩自律神経は毛細血管の司令塔⑪副交感神経が上がると血がめぐる⑫自律神経は体内時計と連動する) / 4時限目 増える!若返る!毛細血管ケア(⑬毛細血管は増える!⑭毛細血管は何歳からでも自分で増やせる)

4時限目には、毛細血管をケアし、増やすための「実習」が備えられている。「睡眠実習」10/ 「運動実習」11/ 「食べもの実習」14 / 「お風呂実習」10/ 「抗ストレス実習」12。全体で57の情報・提案等が示され、実習を促すものとなっている。

心身の不調を感じる方は、いちど目を通すとよいように思う。


【図解】毛細血管が寿命をのばす

【図解】毛細血管が寿命をのばす

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ホルモンを活かせば、一生老化しない

ホルモンを活かせば、一生老化しない

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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「がんでも、なぜか長生きする人の『心』の共通点」 保坂隆著 朝日新聞出版 [医学・健康]


がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点

がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点

  • 作者: 保坂隆
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: 単行本



がんの告知を受けて気が動転していても、この本なら読めそうな気がする。読んでいるうちに、落ち着いて告知を受け入れていけそうな気もする。活字はおおきめ、行間もおおめに開けられ、話題ごとのページ数はすくない。そして、ですます調のやさしい言い回しだ。

目次を見れば、読まなくてもおおよそ内容はおしはかることができそうだが、本書の値打ちは、内容そのもの以上に、著者の経験に裏打ちされた包容力のようなものを、行間から得られることのように思う。それはやさしさと言ってもいい。がんと告知された心の動揺を、信頼できる人に話しても、その人がその種の経験に欠けるなら、ともに動揺し、沈黙するだけかもしれない。しかし、著者はちがう。みずから告知し、動揺し苦しみ、がんを受容するためのたたかいを患者と共に生きる経験を積み重ねてきている。そうした経験からうみだされる言葉は、やはり重い。やさしい言い回しではありながら、荒れ海に翻弄される小船が、投じられる錨によって安定をとりもどすように、著者の言葉は安心感をうみだすにちがいない。そう、感じる。(以下、『まえがき』から抜粋)

《がんは決して不治の病ではありません。上手に付き合うことで、他の病気も予防し、ときにあなたの人生を輝かせ、生きている意味に気づかせてくれるはずです。/ そして、この本を最後まで読んでくださった方は、もう一つの大切なメッセージに気づくでしょう。/ それは、がんであっても、がんでなくても、「心のありかた」が健康に大きくかかわっているということ。つまり、どんな人でも健康で長生きしたいのなら、まずは「心」を元気にするのが大切だということです》。
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