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序章『神道・儒教・仏教』 森和也著 筑摩書房 [日本史]


神道・儒教・仏教 (ちくま新書)

神道・儒教・仏教 (ちくま新書)

  • 作者: 森 和也
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書



以下、『序章 近世の思想と宗教を見る視点』から抜粋。(司馬遼太郎曰く、江戸時代はバライエティーに富んでいた、という言葉を想起する)。

江戸時代の多様性
これから江戸時代の神道・儒教・仏教いわゆる三教と、この三教とともに江戸思想史を構成した蘭学(洋学)、キリスト教、民間信仰などについて、それらをひとつにまとめて、江戸時代の思想と宗教の全体像を述べてゆく。

江戸時代の思想と宗教の歴史的展開についてどういったイメージを持っているだろうか。目立つ項目を順に並べてみれば、キリスト教の禁教とキリシタンの弾圧、檀家制度によって幕藩体制に組み込まれた仏教、近世の思想界において主導的立場に立った儒教、国学の勃興と明治維新のイデオロギーとしての復古神道の登場、蘭学(洋学)の発展による西洋の科学思想の受容といったものが並び、さらには社寺参詣や流行神などの民間信仰の盛行も加えることができるだろう。

これら簡単に思いつく項目を挙げただけでも、江戸時代の思想と宗教をひとまとめに語ることの難しさに気づかされるだろう。範囲が広すぎるのである。いま挙げた大項目から枝分かれし、あるいは取り囲み、さらに中、小の項目が存在している。語るべきことは縦にも横にもますます広がってゆく。

神道、儒教、仏教、蘭学(洋学)、キリスト教、民間信仰などを単体で語ることは可能であり、むしろ単体で語ることが得てして思想史研究者として誠実な態度とされる。ところが、江戸時代の思想と宗教のありようを全体として語ろうとするとき、これらの諸思想・宗教は一対一どころか一対他で複雑に関係しあっていて、単体で語ることは、間違いではないが、正しくもないということになりかねない。精密な地を這う視線の一方で、上空から大づかみで全体を眺める視野も必要である。そうでなければ、江戸時代の思想と宗教の実像はわからない。

しかし、これは難事業である。本書ではこの難事業をあえて行う。したがって専門家からすれば気になる細かい疑問点は多くあると思うが、筆者があえて蛮勇をふるった意図を汲み、俯瞰的な歴史の《語り》に必要な飛躍であるか否かを見極めてほしい。

こうした江戸時代の思想と宗教を語ることの難しさは、それだけかえって江戸時代の思想と宗教の多様性をも表している。多様性は豊饒さと言い換えても良い。この豊饒な江戸時代の思想と宗教を考えてゆくなかで、単に江戸時代の思想と宗教の実像を明らかにするという実証的研究にはとどまらない、それを踏まえたうえでの二つの視点を得ることができるだろう。むしろ本書は、多くの読者にとって、そのためのきっかけになることを願っている。

一つは、明治維新の近代化はなんの脈絡もなく突然登場したものではなく、近代日本の前提となるものが江戸時代にすでに準備されていて、近代日本の問題を解く鍵がその中に秘められていること。もう一つは、明治の文明開化を通過し、日本人の意識は表面的には欧米化されたように見えるが、深層には江戸時代と地続きであり、今を生きる者としての我々の内面の問題を解く鍵もまた江戸時代には潜んでいること。

しかし、この鍵を解くためには、準備が必要である。

現代から近世を見る

その準備のため、この序章では、江戸時代の思想と宗教の範囲の広さのあまり散漫になる可能性のある本書の試みに一本の背骨を通してくれる近世仏教について、簡単にアウトラインを示しておこう。

(以下、省略)


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『神道・儒教・仏教(ちくま新書)』 森 和也著 筑摩書房 [日本史]


神道・儒教・仏教 (ちくま新書)

神道・儒教・仏教 (ちくま新書)

  • 作者: 森 和也
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書



以下に引用する本書の紹介から、近代のはじまりを「徳川時代」とした加藤秀俊さんの著作(メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」)を思い出した。

「現代日本人の意識の深層は江戸時代と地続きであることが明らかにされつつある。したがって江戸の思想を支配していた三教―神道・儒教・仏教―にこそ、我々の内面の問題を解く鍵がある。幕藩体制に組み込まれた仏教。近世の思想界において主導的立場に立った儒教。国学の勃興と明治維新のイデオロギーとして機能した復古神道。これらはいかに交錯し、豊かな思想の世界をかたちづくっていたか。我々の基盤になっている思想の原風景を探訪し、その再構成を試みる野心作。」

本書は、その江戸時代を、たいへん欲張った仕方で照らしだそうとしている。雲母の剥片は光の照射角度で多彩にきらめくが、見え方が変化しようが雲母であることはまちがいない。こうした欲張った高見からの見物が、より本質を明らかにするということもあるように思う。

実は、まだ「序章」と「あとがき」しか読んでいない。それでも、これは!と思うものがある。直観である。読めば、発見が新たな視点が得られるように思う。目次を見ればそれが、分かる。大風呂敷を広げたなの感、大である。

以下、目次から

序章 近世の思想と宗教を見る視点
江戸時代の多様性 / 現代から近世を見る / 明治国家というフィルター / 仏教全盛の時代 / 三つの《堕落》 / 自らの視点を自覚する / 本書の構成

Ⅰ 交錯する思想たち

第1章 幕藩体制と仏教
1 仏教による統治と統治される仏教
2 徳川将軍家の仏教的精神
3 近世仏教と職分論
4 近世思想における《聖徳太子》という存在

第2章 儒教という挑戦者
1 儒者の仏教批判
2 仏教優位から儒教優位への移行
3 儒教による近世的政教分離
4 近世仏教の《横》の広がり

第3章 国学と文学
1 三教一致思想を語る《場》としての近世小説
2 国学と仏教・儒教との弁証法的関係
3 排儒排仏と容儒容仏の共存

Ⅱ 復古から生まれた革新

第4章 天竺像の変容
1 《古伝》の探究と三国世界観の変容
2 天竺からインドへ
3 ヨーロッパ人が教えたインドの実像

第5章 ゴータマ・ブッダへの回帰
1 研究対象としての《仏教》
2 《戒律復興》という原点回帰の運動
3 《雅》という場における交歓
4 儒仏を架橋する《言葉》への関心

第6章 仏教の革新と復古
1 仏教の徳目としての《孝》
2 中央と地方・改革と反改革
3 鎖国の時代の日中交流

第7章 宇宙論の科学的批判
1 西洋が三教に与えた衝撃
2 宇宙論をめぐる葛藤
3 死者との交流

Ⅲ 《日本》というイデオロギー
第8章 キリスト教との対峙
1 還俗という名の《投企(プロジェクト)》①--儒者への道
2 還俗という名の《投企(プロジェクト)》②--志士への道
3 本地垂迹的思考法とキリスト教
4 キリスト教邪教観の形成と展開

第9章 《日本》における他者排除のシステム
1 寺請制度の再評価
2 幕末護法論の陥穽

第10章 歴史と宗教
1 《王権》の正当性
2 神話と歴史
3 《歴史》という名の桎梏

Ⅳ 近世的なるものと近代的なるもの
第11章 庶民の信仰
1 世俗とともにある神仏
2 妙好人と近世社会
3 仏教系新宗教の近世的位相

第12章 近代への傾斜
1 水戸学から見た神儒仏
2 国学の宗教性の顕在化と仏教
3 仏教における近世から近代への継承

さらに理解を深めるための参考文献
あとがき
事項索引
人名索引


メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

  • 作者: 加藤 秀俊
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 単行本



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『考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる』 柴田 純著 吉川弘文館 [日本史]


考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる

考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる

  • 作者: 柴田 純
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2018/03/26
  • メディア: 単行本



「考える」ことについて考えさせられる良書。

表紙イラストと副題(「自立する生き方をさぐる」)から、江戸時代における個々の生き方・生業などを事例をあげて紹介する本のように思ったが、そうではなかった。神仏中心の(自然や「運命」ともいうべきものに翻弄されることに甘んじる)在り方・生き方を脱して、自立した(「人を救うのは人だけだ」という)生き方を日本人が獲得していく過程が記されている。全般の記述からいけば、日本思想史に関する本であり、「考える」ことに重きが置かれている。

「まえがき」に相当する部分から、本書のテーマを示す部分を以下に抜粋してみると、以下のようになる。〈応仁・文明の乱以降、戦乱が打ちつづき治安が悪化するなかで、社会が混乱を増してくると、神仏の権威に懐疑心が生まれるようになっていく。やがて、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康が登場し、戦国の争乱が克服されて、一定の“平和”が実現されると、今までに比べて、人間的力への信頼が格段に高まってきた。16~17世紀とは、そうした大きな社会変動の時代であった。(p3)〉・・・〈本書の課題の一つは、この時期に人々の心の深部で何が起こりつつあったのかを明らかにすることである〉。

1(章)では「政治とは仏神の加護を期待するのではなく、人知によって克服すべき問題」という自覚をもった大名:井伊直孝(1590~1659)に注目する。

2(章)では、「治者(政治の担当者)」としての責任意識を自覚して藩政を領導する」その任務の自覚は、どのように獲得されたか。近世初頭の思想状況が検討される。

3(章)では、「問題が起こった場合、自分で考え、工夫して対策を見つけだし、行動していく主体的なあり方」が、大名など一部エリートだけでなく、一般武士や村の庄屋なども持つようになる。そうした人々がどのような問題意識を持っていたか、示される。

4(章)では、自立する生き方へと庶民を導くものとなった教育の機会(「寺子屋」)に焦点が当てられる。

『創意工夫する現代社会』は、全体のまとめ・総括部分となっていて、現代社会、AI も視野に入れた論議となっている。

以下「目次」(一部省略)

“人を救うのは人だけだ”

1 名君の条件
①井伊直孝の治者意識 ②直興の教諭と木俣氏の諫言

2 近世的思想とは
①中世の思想・文化状況(中世の本覚思想 / 真の知識人とは / 才覚の否定 / 本覚思想の崩壊)

②藤原惺窩と林羅山(天道思想 / 藤原惺窩 / 惺窩の問題意識 / 治者の任務とは / 「修己治人」の思想 / 林羅山 / 羅山の思想)

③那波活所の思想(活所の略歴 / 活所の天観 / 感通を本質とする人間的生 / 存誠とは / 出処進退 / 自然体に生きる / 一才一芸の肯定 / 動中静有り / 思を強調する立場 / 生意の強調)

④活所の中人思想(中人思想とは / 厳しい現状認識 / 中人の向上可能性 / 社会的中間層の登場)

⑤伊藤仁斎と荻生徂徠(伊藤仁斎 / 荻生徂徠)

3 中間管理職を生きる
①独立の精神(山本朝常 / 自立した民政官の登場)

②自立する武士の生き方( 沢辺北溟の略歴 / 儒学説 / 現状への批判 / 真の学者 / 常人たる北溟 / 常人の教化 / 志節を内に / 義理とは / 臣の道 / 士の道)

③工夫する庄屋の生き方(河内屋可生 / その上にまた工夫すべし / 西村次郎兵衛とは / 次郎兵衛の人間観 / 次郎兵衛の子育て観 / こころばせを誠にする / 堪忍の心得 / 意は我が身の主人 / 本心に仏あり / 道理をふまえて / 次郎兵衛の工夫 / 独りを慎む / 堪忍ならぬ気 / 次郎兵衛の回想 / 修己治人をめざす)

4 拡大する庶民の世界
①五個荘町域での寺子屋教育 ②寺子屋時習斎 ③時習斎門人姓名録の分析 ④幕末段階での就学率 ⑤五個荘町域外の入門者 ⑥五個荘商人の教養と商業倫理

創意工夫する現代社会
(江戸前期 / 江戸中期 / 江戸後期 / 身分型自立の社会 / 考える葦 / 思いやりと共感 / 「考える文化」の成立 / 智解ある人 / AI の限界 / AI と智解)

あとがき

藤原 惺窩
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E6%83%BA%E7%AA%A9

林 羅山
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%97%E7%BE%85%E5%B1%B1

那波活所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%A3%E6%B3%A2%E6%B4%BB%E6%89%80



メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

  • 作者: 加藤 秀俊
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 単行本


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「下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方」 繁田 信一著  新典社 [日本史]


下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方 (新典社選書 86)

下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方 (新典社選書 86)

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 新典社
  • 発売日: 2018/01/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



平安時代中期:王朝時代の“下級貴族”の生活をあぶりだした本。下級貴族とは正一位からはじめて少初位下(ショウソイゲ)まで30階層に分かれていた従五位下より下の身分。本文中には「十世紀半ばを過ぎた頃から、正六位上を除いて、下級の位階はほとんど消滅してしまい」「王朝時代の日本では、人々は、概ねのところ、正六位上を最下級とする位階を持つ人々(およびその家族)と、全く持たない人々とに、大きく二分されることにな」り、「その結果、正六位の位階を持つ人々は、実質的には、準貴族もしくは下級の貴族としての地位を獲得することになったのであった」とある。

その下級貴族が実質的に、さまざまな仕事を行って、その上の貴族の暮らしを支えていた。そのあり様が、本書の典拠となっている『新猿楽記』から検討される。藤原明衡による漢文作品『新猿楽記』(フィクション)の主人公:右衛門尉(ウエモンノジョウ)は下級貴族で、その娘とその婿たち(その多くは下級貴族)の暮らしぶりに焦点があてられる。その職業はさまざまで、博徒、武者、農業経営者、金属加工職人、学者、力士・・などである。

それは各章の表題ともなっている。「高名の博打(バクウチ)」「天下第一の武者」「大名の田堵(タト)」「覡女(カンナギ)」「鍛冶・鋳物師(イモジ)並びに銀(シロガネ)・金(コガネ)の細工」「紀伝・明法・明経・算道等の学生(ガクショウ)」「高名の相撲人(スマイニン)」「馬借(ウマカシ)・車借(クルマカシ)」「工の棟梁」「遊女(アソビメ)・夜発(ヤハツ)の長者」。そこで、他の文献も引き合いに出しながら展開される論議は、新鮮で啓発的だ。とりわけ、大名、武者、学生、相撲・・に関する知識は興味深い。

著者は「あとがき」に次のように記している。 〈世の王朝時代研究の多くは、「王朝時代研究」とは言いながらも、中級貴族層の大半をばっさり切り捨ててしまっており、さらには、下級貴族層や庶民層には全く注意を払っていませんでした。/ しかし、実に当たり前のこととして、庶民あっての貴族です。そして、庶民たちがいて、下級貴族たちがいて、そのうえでこそ、上級貴族たちが華やぐ王朝時代が成り立っていたはずなのです。/ このような考えから、私は、・・・〉。

そのような、観点、視点から見る王朝時代は、新鮮になって当然だ。他の著作にも目をとおして見たいと思わせる書籍であった。


繁田 信一の著書
https://www.amazon.co.jp/%E7%B9%81%E7%94%B0-%E4%BF%A1%E4%B8%80/e/B004LUL1K8/ref=dp_byline_cont_book_1


平安貴族と陰陽師―安倍晴明の歴史民俗学

平安貴族と陰陽師―安倍晴明の歴史民俗学

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2005/05/01
  • メディア: 単行本



紫式部の父親たち―中級貴族たちの王朝時代へ

紫式部の父親たち―中級貴族たちの王朝時代へ

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 笠間書院
  • 発売日: 2010/12/01
  • メディア: 単行本



殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語

殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 柏書房
  • 発売日: 2005/09/01
  • メディア: 単行本



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『池上彰の世界から見る平成史』 角川新書 [日本史]


池上彰の世界から見る平成史 (角川新書)

池上彰の世界から見る平成史 (角川新書)

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/17
  • メディア: 新書



前々から歴史年表、「今」と直結する平成のソレとその解説を入手したく思ってきた。遠い過去ではなく、いわば足元を知らなくてどうする?との思いからだ。だから、平成が終わろうとする「今」まさに願ってもない本が出たという感じでいる。

さすがに池上さんの解説はわかりやすい。「笑っちゃうくらい」と形容したいほどだ。では、それをスグ復唱して他の人に説明できるかというと、たいへん怪しいところだが、手元に置いておけば参照もできるだろうし、くりかえし読んで、備えおくこともできるだろう。

書かれている「平成」の項目を見ると、すべて自分の見聞きしてきたことなのである。しかし、分かってはいない。モヤモヤしている。そのモヤモヤを、池上さんは晴らしてくれる。項目ごとの解説はせいぜい2ページ(図版を入れて3ページ)といった簡略なものだが、「東西冷戦終結」を起点とした流れの中での、日本のあり様を解いてくれる。「プラザ合意」や「55年体制」などよく耳にする(つまり、大切な)ことを教えてもくれる。評者にとっては、たいへん有難い本だ。

(以下、「目次」を逆に記載)

主要参考文献
おわりに

イラク戦争などの有事に対応する法律を整えていった
日教組と文部省は何で対立していたのだろうか?
共産主義と社会主義 いったいどう違うのか?
COLUMN

51 新年号は2019年5月1日スタート
50 元号とは何か?
49 アメリカ合衆国大統領にトランプ
48 小池・東京都知事の誕生
47 オバマ大統領が初めて広島を訪問
46 日銀がマイナス金利導入
45 パリ同時多発テロ
44 中東に自称「イスラム国」樹立
43 クリミア住民投票
42 アベノミクスとは?
41 菅政権から野田政権へ
40 東日本大震災 観測史上日本最大の地震
39 尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件
38 深刻だったギリシャ危機
37 リーマン・ショック、日本への影響
36 アメリカ発 100年に一度の金融恐慌
35 メリットはあった? 郵政民営化
34 ブッシュの大罪
33 アフガニスタンの次はイラク戦争
32 拉致被害者帰国
31 アフガニスタンという国
30 凶悪テロの原点。アメリカ同時多発テロ事件
29 中央省庁再編
28 東海村JCO臨界事故
27 国旗国家法
26香港が中国に返還される
25 失われた10年の始まり
24 住専問題って何だったの?
23 阪神・淡路大震災の悲劇
22 オウム真理教による2度目のテロ事件
21 日本は「テロ先進国」!?
20 欧州ではEUが誕生
19 46年ぶりに社会党の党首が総理大臣に
18 細川内閣(非自民・非共産)が誕生
17 東京佐川急便事件とは
16 「湾岸トラウマ」でPKO協力法が成立
15 イラン・イラク戦争でイライラ
14 政府によるバブルつぶし
13 秀逸! 平野ノラのバブル芸
12 マルタ会談って何?
11 ハンガリーが壁に穴をあけた
10 劉暁波と天安門事件
09 消費税は平成の幕開けとともに
08 いまの選挙制度につながる事件
07 昭和天皇崩御の裏で・・・
世界から見る平成史

06 東西冷戦に決着!資本主義の勝利
05 中華人民共和国はソ連についた
04 冷戦への決定打「トルーマン・ドクトリン」
03 ベルリンの壁は、恥ずかしい壁?
02 すべてはスターリンの“裏切り”から始まった
01 「平成」じゃない平成がスタート
東西冷戦終結と平成の始まり
東西冷戦の歴史と世界の関係を理解しておこう~

平成以降の主な地震と火山活動
平成時代の日本の首相
平成年表 世界から見る平成の日本
世界と平成日本② 世界に広がる分断、対立。その裏で進む一強政治
世界と平成日本① 戦後、世界は東西陣営に分かれた。そして、冷戦は終結した
はじめに



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『世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』 茂木誠著 [日本史]


世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

  • 作者: 茂木誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本



著者自身、次のように述べている。「日本史マニアの読者層は厚」い。「日本史本の出版数は世界史本の比では」ない。「しかし、世界史の目線で日本史を俯瞰できるような著作は、ほとんど」ない。「これは日本史専攻で世界史を教えてきた茂木誠という突然変異体(ミュータント)だからできたことかもしれない」。

著者は、「歴史教科書には、一貫した歴史観すらない」ことを指摘する。そして、「これでは東アジアや世界のダイナミックな動きのなかで、ざっくり日本史を摑むことは困難」と述べる。(以上『はじめに』から)

そして巻末(『おわりに』)で、次のように述べる。「歴史観というものは人それぞれですので、こういうものの見方もあるのか、という部分を楽しんでいただければ、本書は役割を果たしたことになります。事実の間違いや誤解など、お気づきの場合はご教示願えれば幸いです」。

「歴史観というものは人それぞれ」とはいうものの、やはり、歴史上の事実を一つ一つの点とみなすならば、それらの点をうまくグループ分けしつなぎ合わせ、全体の流れを整合性のある仕方で語ることのできるものが、よりふさわしい歴史観ということになるだろう。新しい発見も含めてである。

本書は、その点、たいへんうまく語られ(まとめられ)ている。神話の時代も含め(因みに、著者の立場は「神話を事実と混同するのは論外ですが、神話を神話として理解し、そこに込められた民族意識を知ることは、無意味なことではないのです」p44)、そのストーリーは興味深く、首肯させられる。

仮に「事実の間違いや誤解など」ある程度見いだされたとしても、全体の流れは著者の語るスジから逸れないのではないかと“直観”する。「東アジアや世界のダイナミックな動きのなかで、ざっくり日本史を摑む」うえで、確かな骨格が提供されているように思う。
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目次 『世界史とつなげて学べ 超日本史』 茂木誠著 KADOKAWA [日本史]


世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

  • 作者: 茂木誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本



はじめに

第1章 そもそも日本人はどこから来たのか?
大陸から日本列島への民族移動は存在したか
大正~昭和時代に過熱した「日本人起源論争」
「Y染色体」と「ミトコンドリアDNA」
DNAが解き明かした日本人の起源とは
縄文人と平和的に共存していた弥生人

第2章 神話と遺跡が語る日本国家の成り立ち
「縄文の王様」は存在しなかったのか
「国譲り神話」が語る弥生への平和的移行
卑弥呼と同じ時代を生きた天皇は?
「神武東征」神話の謎を解き明かす
「三種の神器」の八咫鏡が見つかった!
放浪の皇子と草薙剣をめぐる伝説

第3章 巨大古墳の時代と「東アジア版民族大移動」
東の漢帝国、西のローマ帝国の崩壊
中華帝国崩壊後の朝鮮半島情勢
歴史教科書から消された「三韓征伐」とは
国際的なモニュメントだった巨大古墳群

第4章 白村江の敗戦から「日本国」の独立へ
継体天皇の即位と朝鮮半島情勢との関連
新羅と北陸地方はつながっていた?
なぜ『日本書紀』は蘇我馬子を逆賊にするのか
「瀬戸際外交」を担った馬子・太子政権
蘇我氏を倒し、百済に援軍を送った中大兄皇子
壬申の乱は、唐と新羅の代理戦争だった

第5章 大唐帝国から見た「東方の大国」日本
日本の国号問題は、なぜうやむやになったのか
二百年間、日本に朝貢を続けた渤海の狙い
唐の宮廷で、新羅と席次を争った日本
幻に終わった奈良時代の「新羅遠征計画」

第6章 動乱の中国から離れて国風文化が開花した
平安時代の地方は「無政府状態」だった
「毒をもって毒を制す」に失敗した唐帝国
唐帝国崩壊後、再び動乱に陥った東アジア
遣唐使の廃止、そして国風文化の確立へ

第7章 日本史を東アジア史から分かつ「武士の登場」
「武士」とは武装した開拓農民である
なぜ名門出身の平将門は関東にいたのか
「ミイラとりがミイラ」になった藤原純友
博多に襲来した「刀伊」の正体とは
海賊衆に支えられて力をつけた伊勢平氏

第8章 シーパワー平氏政権 vs ランドパワー鎌倉幕府
「国家社会主義」から「市場経済体制」へ
グローバリスト清盛と南宋の平和外交
「次は日本を攻める、10万の兵を編成せよ」
わずか一日の戦闘で終わった文永の役
旧南宋軍を棄民にした日本遠征の結末

第9章 国際商業資本が支えた室町グローバリスト政権
鎌倉幕府は経済失敗によって滅んだ
沈没船が教えてくれる日元貿易の実態
民の洪武帝はなぜ「海禁令」を出したのか
最強のグローバリスト・足利義満の勝利
無国籍の海上勢力「倭寇」の台頭

第10章 ポルトガル産の硝石を求めた戦国大名たち
マルコ・ポーロ「ジパング」の情報源とは
石見銀山を押さえた大内氏の盛衰
驚くべき速さで伝わった鉄砲技術
火薬の原料=硝石輸入の窓口となった堺
ポルトガルの「勢力圏」とされていた日本
日本人奴隷貿易に加担したキリシタン大名たち

第11章 豊臣秀吉の伴天連追放令と朝鮮出兵
九州が「フィリピン化」した可能性
日本への軍事侵攻を働きかけたのは誰か
「日本征服は不可能」と結論づけたスペイン
サン・フェリペ号事件と二六聖人の殉教
秀吉以前にも明国征服計画は存在した
朝鮮出兵中、マニラにも服属を求めた秀吉

第12章  「鎖国」を成立させた幕府の圧倒的な軍事力
徳川幕府の誕生とオランダの台頭
大砲の進化が世界の歴史を変えた
日本史上初の大砲撃戦だった大坂の陣
海賊停止令と朱印船貿易の真実
日本人傭兵が東南アジア史を動かす
なぜ島原の乱にポルトガルは不介入だったのか
「鎖国」という重武装中立のシステム

終章 徳川の平和、そして明治維新を可能にしたもの
江戸の花火ーー大砲技術の平和利用
ロンドンの花火ー戦争の継続と技術革新
なぜ日本は独立した文明を維持できたのか

おわりに










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『伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史』 ミネルヴァ書房 [日本史]


伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史

伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2017/12/30
  • メディア: 単行本



「伝奏(テンソウ)」と称する人々の「橋渡し役」に興味を持った。何かのはざまに身をおくと、身を置いた両側にあるもの双方それぞれがいろいろ見えてくるものである。場合によっては身を引き裂かれる思いをして認知することもあるにちがいない。本書の場合、「公武交渉人」がテーマであるから、その両脇にある、公家と武家の双方が見えてくることになる。また、それに限らず、その視点・視座に注目するなら、個々の歴史事象の見え方もおおいにちがってくるであるように思ったのである。

本書の目的については、次のようにある。〈 天皇・朝廷は、時の政治権力である武家とどのような関係を持ち続け、「武家の時代」を生き抜いていったのか。本書は、朝廷と武家政権が交渉をおこなう際に、朝廷側の窓口となった役職の歴史を通覧するものである。(「序章 武家と公家をつないだ人々」)〉

その役職については、次のようにある。〈交渉人たる公家の役職名は、史料上では「関東申次」「武家執奏」「伝奏」「武家伝奏」と表記される。おおむね「関東申次」は、鎌倉時代の中期(寛元4年、1246)に成立したと見なされている。その後、南北朝期には「武家執奏」、室町時代に入って「伝奏」と表記されるようになり、江戸時代にいたると「武家伝奏」という表記も見られるようになる。このように史料上での表記は時代により異なるが、いずれも朝廷ー武家間の意思(意志)疎通をはかる交渉人、連絡係、仲介者という語義であることをあらかじめお断りしたい〉とある。

本書は、その目的にあるように「通覧」がおおきな特徴となっている。歴史区分ごとに扱うのではなく、区分を取り払って通時的に扱う。とりわけ、時代とともに、その名称が揺れうごいてきた「橋渡し役」「公武交渉人」について考察するにあたって、その取り扱いはたいへん有効であるにちがいない。

それにしても、鎌倉から江戸幕末維新期までの武家の時代にあって、「影の薄い存在と見なされていたきらいがある」「姿の見えにくい天皇・朝廷」のありようを探るうえでの良い視座を見いだしたものだと思う。(以下、「目次」章立て)

序章 武家と公家をつないだ人々 第Ⅰ部 鎌倉時代ー関東申次の誕生と活躍(第1章 関東申次成立前史 第2章 関東申次の成立 第3章 関東申次の展開と終焉) 第Ⅱ部 南北朝・室町時代~戦国・織豊期ー関東申次から武家伝奏へ (第4章 動乱期の公武関係を支えた公家たち -武家伝奏の誕生 第5章 足利将軍家に仕えた公家たち-戦国期の武家伝奏と昵近衆の活躍 第6章 織田・豊臣の武家伝奏) 第Ⅲ部 江戸時代ー近世武家伝奏の活躍とその終焉 (第7章 近世の武家伝奏の登場 第8章 近世中期の武家伝奏の活動と幕府役人観 第9章 近世朝廷の武家伝奏から維新政府の弁事・弁官へ おわりに あとがき 人名索引


幕末の天皇 (講談社学術文庫)

幕末の天皇 (講談社学術文庫)

  • 作者: 藤田 覚
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/13
  • メディア: 文庫




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『日本人として知っておきたい皇室の祈り』 伊勢 雅臣著 扶桑社 [日本史]


日本人として知っておきたい皇室の祈り

日本人として知っておきたい皇室の祈り

  • 作者: 伊勢 雅臣
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/01/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



天皇陛下の退位をめぐる政府の有識者会議で、保守系の専門家から「天皇は祈っているだけでよい」などの意見が出たことに、陛下が「強い不満」を漏らされたという報道がなされた。昨年のことである。それを読んで評者は驚いた。実際のところ「祈っているだけでよい」と評者も思っていたのである。「保守系」云々は別として、天皇の連綿とつづくその歴史を顧みるときに、その多くが御簾の陰から小声で時の為政者に語りかけ、政治の表舞台に立つことなく生きた。そして、その主たる務めは宗教的な祭祀であった。それゆえ、実際のところ「祈っているだけで」十分と思ったのである。同世代の多くが定年後を過ごし、資力のある方であれば、豪華客船による世界一周ツアーなどを楽しんでいるであろう中にあって、ご老体に鞭打って公務に励むまでもないと思ったのである。だからそれゆえにも、「祈っているだけでよい」の言葉に陛下ご自身が「強い不満」を漏らされたということに驚きを禁じえなかった。

しかし、本書をとおして、真摯に国民の安寧のために祈ってこられたご様子を、また、(世人から良い評価を得んがための単なるパフォーマンスなどでなく)、国民と共にありたいという深い願いからご公務を果たしてこられたことを知ることができた。そして、それをご夫婦で延々と続けてこられたのである。それが既に身についた生き方となっている天皇皇后両陛下にとって、「祈っているだけでよい」との言葉は、それがたとえ善意から出ているにしても、これまでのご自身の生き方(ある意味、全存在)を否定されるかのように感じられたとしても不思議ではない。

「皇室の祈り」が如何なるものであるかを、(天皇制を受容する・しないの如何を問わず)、知っておくことは良い。評者は、天皇制を社会制度の一つと見なすに過ぎないが、それでもやはり、今上天皇のご公務を果たされる姿をみると涙が出て来る。それは本書を読む以前からそうである。その祈りの深さに心を打たれるからであるように思う。清子(今上天皇第一皇女)様の天皇皇后両陛下への思いを綴ったもの(そこで、「共働き」をするご両親ゆえに寂しい思いをされた過去が記されている)や過去の天皇の事績などもたいへん興味深い。そして、それらの基盤にあるのも祈りであることを知ることができる。

天皇の年頭所感を見て・・
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-01-01


山口昌男 人類学的思考の沃野

山口昌男 人類学的思考の沃野

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京外国語大学出版会
  • 発売日: 2014/10/20
  • メディア: 単行本



天皇制の文化人類学 (岩波現代文庫―学術)

天皇制の文化人類学 (岩波現代文庫―学術)

  • 作者: 山口 昌男
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/14
  • メディア: 文庫




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まえがき:《「世界史」で読み解けば日本史がわかる》神野 正史著 [日本史]


「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本



以下、上記書籍の「まえがき」部分の引用

**********
20世紀初頭、ベルギーを代表する史家H・ピレンヌが『ヨーロッパ世界の誕生ーーマホメットとシャルルマーニュ』を発表し、史学会を論争の渦に巻き込んだことがありました。

所謂「ピレンヌ命題(テーゼ)」問題です。

それまで、ヨーロッパ社会が古代から中世へと移行する歴史的背景は「古代ローマ帝国の滅亡」を以て説明されていました。

この説にはいくつかの不合理性が指摘されていたものの、当時の「ヨーロッパ」という固定観念に縛られていた史家には他に対策も思いつかず、ジレンマに陥っていました。

そうした出口の見えない迷路に迷い込んでいた史学会に一石を投じたのが、冒頭のH・ピレンヌです。

彼はこうした「ヨーロッパ」という“枠”を取っ払い、隣接するイスラーム文化圏の動きと連動してこれを説明しようとしたのです。

すなわち、中東世界においてイスラームが成立したことが、巡り巡ってヨーロッパ社会・経済・政治・宗教・文化に激動をもたらしたのであって、ヨーロッパの中だけを見ているから真実が見えてこなかったのだ、と。

それまでの歴史は「ヨーロッパ史とその他の地域史」という歴史観からしか語られていきませんでした。

たとえ「世界史」を述べているようでも、蓋を開ければ「地域史のツギハギ」にすぎず、たとえば“歴史学の泰斗”と二つ名で呼ばれる、あの有名なL・ランケですら、彼の大著『世界史』を紐解くと、中身はほぼ「ヨーロッパ史」。

それにイスラームが少し、東アジアはほぼまったく登場しません。

彼らの認識が「ヨーロッパ=世界」だったことが読み取れます。

この「ピレンヌ命題」には「風が吹けば桶屋が儲かる(バタフライ効果)」的な側面もあって非難も受けましたが、その正誤より、それまでの狭小な歴史観を乗り越え、広く、“世界史的観点”から解き明かそうとした功績は大きなものでした。

ピラミッドのようなシンプルな形ですら、これを平面的に捉えようとした途端、真横から見れば三角形、視点を斜め上に移せば駒形(五角形)、斜め横から見れば凧形(四角形)、真上からなら正方形・・・に見えてしまいますが、そのどれもが誤り、真の姿はあくまで「四角錘」です。

仏典にも、象を触った盲人たちがそれぞれ、腹を触った盲人が「天井のような生き物」と評したのを皮切りに、鼻を触って「縄のよう」、頭を触って「岩」、足を触って「臼」、尾を触って「蛇」とそれぞれ評する・・・という寓話(故事「象を評す群盲」)がありますが、これもそうした「木を見て森を見ず」の一例と言えましょう。

ましてや「歴史」などは、ピラミッドや象など比較にならないほど、多面的・立体的・構造的・体系的で客体的な存在ですから、これを側面的・平面的・短絡的、そして恣意的に捉えるならば、たちまち“真の姿”からかけ離れた別の姿を現わします。

日本人として生まれたならば、自国の歴史「日本史」を学ぶのは当然の責務といえますが、しかし、それダケを学んでも「ピレンヌ以前の歴史観」「二次元で捉えようとするピラミッド」「群盲が評する象」同様、歴史は真の姿を現しません。

本書も、H・ピレンヌ同様「バタフライ効果」との謗りを受けることも覚悟のうえで、日本史のさまざまな場面を思いきった世界史的観点から見ていくことで、今まで日本の中から見てきた日本史の別の側面や意外性を発見していくことを試みたものです。

本書読了後、「ああ、おもしろかった」で終わるのでもなく、「“風桶”もいいところじゃないか!」と揚げ足を取るのでもなく、本書を通じて「物事を見るときはつねに多面的に考究することが大切」だということを実感してもらえたなら、本書が世に出た意義が果たされたことになり、筆者としてこんなに嬉しいことはありません。

平成29年8月 神野 正史(自署)

神野 正史(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%87%8E%E6%AD%A3%E5%8F%B2

爆笑せきらら日記 - 奧さんの目から見た神野の観察4コマ日記
https://ameblo.jp/4komablog/

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