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『渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実』 渡部昇一×高山正之 飛鳥新社 [世界史]


渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実

渡部昇一の世界史最終講義 朝日新聞が教えない歴史の真実

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



副題の「朝日新聞が教えない歴史の真実」からも分かるが(とはいうものの、書籍・表紙にも目次にも、副題の記載はない)、世界史講義というよりメディア史・メディア論の印象が強い。太平洋戦争後、アメリカの占領政策にしたがって朝日新聞、NHKといったメディア・組織が利用され、(また、「敗戦利得者」たちの影響力によって)、今日まで、日本国民が「洗脳」され(誤まった歴史認識をもたされ)てきたことが強調されている。世界史的には、「悪辣な」アメリカと、日本に植民地を奪われ(それら植民地が解放され独立し)た結果「貧乏」になったヨーロッパ諸国、そして、度し難い国としての中国、韓国と、戦前・戦後の日本との関係が対談される。

であるから、「洗脳」されてきた個人が読むなら、啓発とともにショックを受けるにちがいない内容である。しかし、評者のすくない知識(アメリカ合衆国の歴史など)から推しても、受けいられないものではない。アメリカ移民後、彼ら・アメリカ人たちが先住民に対し、後に黒人奴隷やアジア系移民に対して行った処遇から、首肯納得させられるものである。また、本書で取り上げられている多くの事例(たとえばフィリピンをスペインから奪取するやり方、またその後の扱いなどなど)からいくなら、「悪辣」と評するに値する。そのアメリカを高山氏は「白いシナ」と呼んで中国と同列に置く。渡部氏はその理由として「封建時代」を経験していないことをあげる。(ちなみに「中世のないソ連とアメリカが第二次世界大戦を宗教戦争のようにしてしまったからです。宗派が違う敵は悪魔という、三十年戦争の姿に戻ってしまいました」という記述もある)。

個人にも批判の矛先は向けられる。ピュリッツアー賞を受け岩波書店から邦訳された『敗北を抱きしめて』の著者:ジョン・ダワー、本多勝一、慶大教授 添谷芳秀、早大名誉教授 後藤乾一。さらには、以下のような方々への話もでる。

〈渡部:(前半省略)東京裁判史観に取り込まれ、マッカーサーを賛美する半藤一利(文春・元専務)や保坂正康といった人たちが歴史認識の基調を握っているのは危ない。彼らは一所懸命、東京裁判の対象になった人たちに話を聞いて回ったけれども、それでは日本側の動きしか分かりません。 / 個々の戦闘で、日本軍がどうやられたかという話を集成すれば、東京裁判をなぞる結論になってしまう。その前に連合国側が何をしていたか、日本がそういう限られた条件での戦争や戦闘に、そもそもなぜ追いつめられたのか、という情報はシャットアウトしているわけです。 高山:そう、国際性がないんです。日本と米国の動きを上から俯瞰して、それぞれがどうやって動いたのか、その結果として戦争を見ないといけない。(p169、170)〉

半藤氏のことを、立花隆氏が「昭和の戦争をこの方以上に知る人はいない」というようなことをどこかに書いていた。また、保坂氏も同様の方である。しかし、本対談のお二方に言わせるとそういうことになるらしい。その評価について異論はあろうが、国際的に、より高い見地から歴史を見るという点で、本書は読むに値する。


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/11/16
  • メディア: 新書



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〈教養としての「ローマ史」の読み方〉 本村 凌二著  PHP研究所 [世界史]


教養としての「ローマ史」の読み方

教養としての「ローマ史」の読み方

  • 作者: 本村 凌二
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』や塩野七海さんの『ローマ人の物語』を読みたいと思いつつ、まだ手を染めていない。なにしろローマ帝国の歴史と同じく、それらの物語もたいへん長い。

本書は、その長い歴史・物語を読み解く助けとなるにちがいない。「こうしたことをきちんと知っておくことが、ローマ史はもちろん、古代史を理解する上ではとても大切なことだとわたしは思います。」、「・・・ということが、ローマの特筆すべき特徴なのです」といった記述がある。本書のタイトルに「読み方」とあるとおりである。まさしく、長大なローマを読み解く「読み方」が示されていて、それを知ると知らないとでは、解けるものも解けなくなるにちがいない。

評者の関心は、イエス・キリストが生きた時代、その弟子たちの時代、ユダヤをその支配下においていたローマ帝国の気風とはいかなるものであったのか、ローマ人はどんな精神の持ち主であったのか、というところにある。そうした観点からいっても、ナルホドと思わせる情報が提供されている。

「佐藤優氏推薦!」はダテではないし、佐藤氏のみならず推薦に値する書籍であるように思う。


ローマ帝国衰亡史 全10巻セット (ちくま学芸文庫)

ローマ帝国衰亡史 全10巻セット (ちくま学芸文庫)

  • 作者: エドワード・ギボン
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 文庫



ローマ人の物語 全17冊セット (全15巻+「ローマ亡き後の地中海世界」上・下巻2冊)

ローマ人の物語 全17冊セット (全15巻+「ローマ亡き後の地中海世界」上・下巻2冊)

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • メディア: 単行本



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抜粋 「図説 呪われたアメリカの歴史」 原書房 [世界史]


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



(以下、上記書籍の各章のタイトルとそのリード部分を抜粋した)。

はじめに
大陸規模におよぶ大きさの国アメリカ合衆国、こんにちも世界最強の国家でありつづけている。しかし、250年前は存在すらしていなかった。ただ、1776年の独立戦争で「生命・自由・幸福の追求」という理念を公言したはずが、国の成長にはつねに戦争、反乱、人種差別による紛争がつきまとっていた。

第1章 新世界
1492年から1760年代のあいだに、アメリカは孤立した大陸から、ヨーロッパの自由民にとって自由とチャンスを象徴する大陸へと姿を変えた。しかし、先住民、囚人、黒人奴隷にとって、それは悪弊、排除、隷属を意味した。新世界の誕生は血にまみれていた。

第2章 アメリカ独立戦争
1765年、イギリスと税金についてもめたことがふくれあがって戦争となり、やがて、アメリカ合衆国は独立国家として誕生した。しかし、揺籃期の共和社会は自由と平等の理想を掲げたにもかかわらず、その権利は奴隷や先住民にはとどかなかった。

第3章 西へ
戦争や土地購入をへて、アメリカの大きさは19世紀前半で2倍以上になった。しかし、土地が増えても先住民の扱いが改善されたわけではなく、奴隷制度をめぐって南北の亀裂は悪化していった。

第4章 南北戦争
奴隷制度については南北で長年にわたり意見の相違が続いていた。それを考えると、いつまでも暴動が避けられるはずもなく、戦争に発展したことは想像にかたくない。しかし、いざ勃発するときわめて残虐な戦争となり、死者数は2度の世界大戦を合計した数を上まわった。

第5章 自由と開拓前線の消滅
南部の奴隷は解放されたものの、自由は新しいバリアを張っていた。いっぽう、北部では買収や労働者の搾取により産業がにわか景気を迎え、そして、西部は野生の時代が終わりを告げようとしていた。

第6章 新たな時代
第1次世界大戦には参戦しないと決めていたアメリカだったが、1918年にはアメリカ軍がヨーロッパの塹壕で戦っていた。アメリカは産業のにわか景気によって優位な立場を手に入れ、禁酒法のおかげでギャングがはびこった。そして、1929年、バブルが弾けた。

第7章 第2次世界大戦
1939年、ヨーロッパで第2次世界大戦が勃発したときアメリカは中立を宣言していたが、わずか数年で、世界史上もっとも悲惨な戦いにまきこまれただけでなく、戦争に決着をつけなければならなかった。1945年、アメリカは日本に原子爆弾を投下し、核戦争の幕開けを予期させた。

第8章 冷戦初期
第2次世界大戦はヨーロッパを疲弊させ、戦時中に連合軍が育てた同盟関係はたちまち崩壊した。アメリカ軍は世界中の共産主義拡大に反対し、国内では共産主義者を本物にしろ容疑者にしろかまわず逮捕した。

第9章 公民権運動
南北戦争のあと、アフリカ系アメリカ人全員に完全な公民権があたえられたが、それに続く南部の州法は依然として黒人を二流市民として扱っていた。それからほぼ100年後、公民権運動が暴動や殺害事件を耐えぬき、ようやく隔離や差別が違法となった。

第10章 1960年代
1960年代。激動の10年だった。アメリカはキューバにロシアのミサイル基地があることを発見し、対ソ連戦が一触即発の状況となった。さらに、はかりしれない犠牲を出し、激しい反論をわきたたせ、世界ではじめてテレビ放映された共産主義との戦争にどっぷりとまきこまれていった。ベトナム戦争である。

第11章 不満と復興
1970年代。リチャード・ニクソンはついにアメリカをベトナムから切り離すことに成功したが、ニクソン政権がとった後ろ暗い方法は自身の失脚につながった。さらに、アメリカの諜報活動という邪悪な慣行が暴露された。

第12章 唯一の超大国
冷戦が終結し、ソ連が崩壊すると、アメリカは唯一の超大国となった。しかし、イスラム教テロリズムのターゲットとなり、中東の不安な情勢も重なって、戦争や血まみれの暴動が終わることはなかった。



Bloody History of America: Revolution, Race and War (Bloody Histories)

Bloody History of America: Revolution, Race and War (Bloody Histories)

  • 作者: Kieron Connolly
  • 出版社/メーカー: Amber
  • 発売日: 2017/04/17
  • メディア: ハードカバー



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『図説呪われたアメリカの歴史』 キーロン・コノリー著 原書房 [世界史]


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



フツウのアメリカの歴史の本・教科書といえるものを知らないし読んだこともないので、比較のしようもないが、それでも「呪われた」というほどのモノでもないように思う。だいたい、そもそも、人間の歴史を記述していくと、争い、流血、裏切り・・といったネガティブな内容になるように思う。以前、学習塾で中学生に日本の歴史を教えることになって、あらためて「テキスト」を通読した時の印象も、本書と同じく、人間とは度し難い、どうしようもないものだ・・という思いだった。

本書の「呪われた」と訳出している部分は、“Bloody”である。直訳するなら「血まみれの」「血なまぐさい」といったところだ。人間の歴史に真っ向から向かうなら、おのずと(ネガティブもへちまもなく)「呪われた」内容になる。だから、「血なまぐさい」部分に正面から向かおうとする姿勢その点を、本書において評価できるように思う。

本書では特に、ヨーロッパ人入植後の先住民との関係、また、その後アフリカから連れてきて奴隷とされた人々への処遇、また、銃規制の問題が目を引く。今日のアメリカの根っこにあるもの、そして、現在にも及ぶ影響の数々を知ることができる。「関係」「処遇」というと聞こえがいいが、人種問題の目立たない日本にいては到底理解できない類に思う。

もっとも、以下のような記述もある。日本に関する記述をすこし引用してみる。

「1942年、アメリカがミッドウェー海戦で勝利すると、アメリカ率いる連合軍は太平洋の島々を攻略する長期作戦を開始し、日本軍は激しく反撃した。アメリカ海兵隊は6か月かけてソロモン諸島を占拠したが、ミクロネシアのタラワ島では、1943年、かなりの損失を出した。 / 4500人の日本兵が防備態勢を強化してアメリカ軍の上陸に抵抗しており、76時間以内に1500人以上のアメリカ兵が殺害された。日本軍はほぼ全兵士が最後まで戦いぬき、タラワ島を勝ち取った。そして1200人の朝鮮人労働者を島へつれこみ、島の防衛施設を建設させた。朝鮮人で生き残ったのはわずか129人だった。(第7章「第2次世界大戦」太平洋戦争後半 p159)」



アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書

  • 作者: 村田 薫
  • 出版社/メーカー: ジャパンブック
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 単行本



11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

  • 作者: コリン・ウッダード
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/10/26
  • メディア: 単行本



アメリカ史の真実

アメリカ史の真実

  • 作者: チェスタトン
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/09/06
  • メディア: 単行本



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『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年』 ジョナサン・ハリス著 白水社 [世界史]


ビザンツ帝国 生存戦略の一千年

ビザンツ帝国 生存戦略の一千年

  • 作者: ジョナサン・ハリス
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 単行本



本書のタイトルに「生存戦略の1000年」とある。周囲から種々の攻撃を受けつつもにビザンツ帝国は1000年もちこたえた。キリスト教における希望として「千年王国(至福千年)」というものがある。復活したキリストが王また祭司として1000年間統治し、アダムとエバが人類にもたらした罪と死、その他もろもろの害悪を全世界から一掃するための期間である。しかし、いまだ、始まっていない。それを念頭に「千年」を宣言したのが、ヒトラーだ。だが、12年で終わりをむかえ、本人は自殺した。それゆえ実際に、「千年」つづいたビザンツ帝国は、たいしたものである。その続いた理由、「生存戦略」が本書に記されている。以下、引用してみる。

〈1930年代にドイツで権力を握った体制は、千年続くと宣言していたが、たった12年しか続かなかった。対照的にビザンツ帝国は千年の偉業を成し遂げた。それが可能だったのは、生まれつつあるビザンツの宗教や文化には確かに偏狭さがみられたものの、その一方で、住民の想像をかき立て、忠誠を生み出し、外部の者から畏敬や賛嘆を引き出すような別の要因ーーこのあとの苦難の時代にきわめて有効だと判明することになる要因ーーがあったからである。千年の偉業がどのようにして成し遂げられたのか明らかにするには、次の4点を指摘するだけでことたりる。第1に、キリスト教は、政治的な指導権と宗教的な指導権を併せ持って国家の頂点に立つ支配者、という概念をビザンツ帝国に持ち込み、これが政治的な安定をもたらした。第2に、キリスト教皇帝権は被支配者に対して、次々と現れる支配者を受容するよう促し、支配者との驚くほど直接的な関係を提供するものであった。第3に、キリスト教は、市民の生活必需品をまかなう公的な支援を提供し、市民の心情や精神を捉える霊的な雰囲気を創り上げた。最期に第4点として、非物質的なもの、精神的なものを目に見える形で表現しようとする、新しい様式の芸術や建築を発展させた。(「第1章 神々の黄昏」p37,8)〉。

本書の「骨」というべき部分は以上である。だが、本書の魅力は、それらを肉づけし「物語る」その方法にある。「訳者あとがき」で井上氏は、「人物を論じつつ時代を語る」点、「さまざまな逸話を楽しみながらビザンツ帝国の歴史がわかる」点を、その魅力としてあげている。

また、著者の「思い入れ」「個人的見解が随所で表明されている」ことも魅力であるにちがいない。〈たとえば、コンスタンティノス5世。聖像崇拝を禁止し、崇拝派を迫害したがゆえに、とことん嫌われて「糞」というあだ名まで頂戴した皇帝である。著者はこの皇帝に少なからぬ思い入れがあるようで、「もっとも偉大な皇帝」に対するビザンツ人の扱いに強い遺憾の意を表している〉。たんなる事実の羅列、陳述では読む元気も失せるというものであるが、〈概説書でありながら著者の肉声が聞こえるような叙述〉が、〈面白く、訳しながら大きく頷くことがたびたびあった〉とも井上氏は記している。

評者にとって世界史のなかでも事象が錯綜しもっとも苦手とする部分だけに、本書は良い助っ人を得た気分である。


詳説世界史研究

詳説世界史研究

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本



時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

  • 作者: 相田 知史
  • 出版社/メーカー: 文英堂
  • 発売日: 2016/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




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『失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断(ビジュアル讀本)』日経ナショナルジオグラフィック社 [世界史]


失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 (ビジュアル讀本)

失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 (ビジュアル讀本)

  • 作者: ステファン・ウェイア
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2018/01/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「ナショナル・ジオグラフィック」は、優秀な写真家を多数擁する世界的な出版社と思っていたが、「協会」であって「世界有数の非営利の科学・教育団体」であることを本書をとおしはじめて知った。巻末・奥付のところに〈1888年に「地理知識の普及と振興」をめざして設立され」とある。

いかにも本書は、「協会」の出しそうな本である。「参考図書など」として先ず紹介されているのは、「熱心に歴史を学ぼうとする人々に最も役立つ書籍を1冊挙げるとすれば、優れた歴史地図帳ということになるだろう。ベストはおそらくThe Times Completely History of the World(2015年刊)で、これを備えておけば、まず間違いない」などとある。

「目次」を以下にすべて記すが、目次タイトルの次に年代が示され、人物(主役)、結果、失敗と3段に分かたれた部分には、簡潔に1行でまとめられている。たとえば、『アダムとイブ、禁断の木の実を口にする』では、「人物:アダムとイブ / 結果:原罪 / 失敗:軽率な行動により、人類の本質的愚行の嚆矢となる」と、ある。さらに、詳しい説明がつづき、「DNA解析によって、人類共通の祖先と目される2人の人間の存在が突き止められた。すべての女性は母親からミトコンドリアDNAを受け継ぐ・・」という科学的な記述もある。さらに、ギリシャ神話の「パンドラの壷」が「似た物語」として紹介され、そしてさらには、「エデンの園」の場所についての地理学的指摘がなされる。「トルコのアナトリアにあったと考えられている。」が、一つの説としてキャラウェイという人物の「人類発祥の地はフロリダを流れるアパラチコラ川の河岸」というのも紹介される。「4つに分かれる河系は世界中で」そこにしかないのだそうである。だいぶあやしい話しだが、お話しとしては面白い。

この本からはただ一つのことだけ学べば良いようである。ジョージ・サンタヤーナの名言が「序章」の最後に引用されている。「過去を学ばない者は、必ずや同じ過ちを繰り返す」だそうである。これだけ、賢いと思われる者たちの愚かな決定を読めば、少しは自分の歩みを慎もうという気になるのは確かである。(以下、「目次」)

アダムとイブ、禁断の木の実を口にする / パリスがメネラオスの美人妻をさらう / ハンニバル、軍勢を率いてアルプスを越える / クレオパトラ、アントニウスと手を結ぶ / 皇帝ネロとローマの大火 / バイキングの探検家、グリーンランドに入植 / 教皇シルウェステル2世と世界の終わり / アレクサンデル3世とプレスター・ジョンの探索 / ポジェブラト、欧州統合のアイデアを各国に売り込む / モンステマ2世、スペイン人侵略者と歓迎する / ヨハン・デ・ウィット、マンハッタン島を手放す / ノース卿、ボストン茶会事件で米国を失う / ナポレオン、モスクワを前に翻意する / 戦争省、ナイチンゲールの邪魔をする / インド陸軍、牛脂をめぐって反乱 / オースティン、オーストラリアにウサギを放つ / カスター将軍とリトルビッグホーンの惨劇 / ベルギー王レオポルドとアフリカの分割 / ニコライとアレクサンドラ、怪僧ラスプーチンを狂信 / タイタニック号に積まれたイズメイ社長の救命ボート / ガヴリロ・プリンツィプ、サンドイッチヲ買う / ウィンストン・チャーチルとガリポリでの完敗 / 英国司令官ヘイグ、ソンム川で作戦を変更せず / フランス軍、マジノ要塞 / チャーチルの描いた国境線、今日まで中東紛争の火種に / 20世紀最悪の暴君 スターリンと粛清 / 日本軍の奇襲攻撃とシンガポールの陥落 / 原因は旱ばつにあらず ベンガルの米飢饉 / 不毛の土地に種をまく 悲惨な落花生計画 / 人間をモルモットにしたマラリンガでの核実験 / 無能の宰相イーデンとスエズ動乱の大失敗 / グリューネンタール社、新薬サリドマイドを発売する / ワクチンとエイズと、コンゴのチンパンジー / マクナマラ国防長官がベトナムに撒いた枯葉剤 / マーフィーの法則と抜けていたハイフン / ナウルの鳥の糞と欲に目がくらんだ島民 / ユニオン・カーバイド社、ボパール工場の経費削減 / 出版王マクスウェル、年金基金を盗む / ソ連、チェルノブイリで軽率に試験を行う / CIA、ムジャヒディーンに武器を提供する / 宝石商ラトナー、うっかり商売の秘密を暴露 / バングラデシュの洪水と東インド会社の森林破壊 / ロッキード・マーティン社、数字の確認を2度も怠る / 起きなかった2000年問題、必要なかった備え / ムガベ大統領、ジンバブエの大地を接収 / ずる賢いエンロン社、数字をいじる / 津波観測センサ、インド洋に設置されず / 参考図書など / 索引


風景を極める (ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方)

風景を極める (ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方)

  • 作者: ブレンダ・サープ
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2018/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




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目次 『ノーベル賞117年の記録』 山川出版 [世界史]


ノーベル賞117年の記録

ノーベル賞117年の記録

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本



(以下、上記書籍目次から)

第2章 世界を変えた業績

1901 謎の“光”X線の発見で医療の発展に絶大な貢献をしたレントゲン
1902 生物化学の父の研究は現代でも製造化学分野での基本になっている[ヘルマン・エミール・フィッシャー]
1903 ベクレルが放射線を発見し、キュリー夫妻によって解明が始まった
1904 神経の刺激だけで胃液や唾液が分泌される消化腺の仕組みを研究「パブロフ]
1905 結核菌だけではなく炭疽菌やコレラ菌を発見し、コッホの原則を提唱
1906 フッ素元素を単離し、電気炉を開発[アンリ・モアッサン]
1907 醗酵の仕組みを解明し、酵素学を開く「エドゥアルト・ブフナー]
1908 「原子物理学の父」ラザフォードの元素の崩壊などに関する研究「アーネスト・ラザフォード]
1909 「ニルスのふしぎな旅」などの著作を通じて崇高な理想主義を表現[セルマ・ラーゲルレーヴ]
1910 タンパク質や核酸の研究で遺伝子研究の礎を築く[アルブレヒト・コッセル]

1911 ラジウム、ポロニウムの発見などでマリ・キュリーが2度目の受賞
1912 有機化合物の未来を切り開いた2人の業績[F・グリニャール、P・サバティエ]
1913 アナフィラキシー・ショックの発見とその研究[シャルル・ロベール・リシェ]
1914 結晶によるX線の回析現象を発見し、X線が波動であることを証明[マックス・フォン・ラウエ]
1915 X線による結晶構造の解析。親子で受賞[ヘンリー・ブラッグ、ローレンス・ブラッグ]
1916 文学賞のみに賞が与えられた「ヴェルネル・フォン・ヘイデンスタム]
1917 第一次世界大戦のさなか赤十字が受賞
1918 古典力学では説明できない事象を解き明かす量子論を創始[マックス・プランク]
1919 カナル線におけるドップラー効果の発見とシュタルク効果の発見[ヨハネス・シュタルク]
1920 国際連盟の創設、初代総会議長を務める[レオン・ブルジョワ]

1921 相対性理論ではなく、光電子効果に関する研究で受賞したアインシュタイン
1922 「量子力学の父」ニールス・ボーアに物理学賞
1923 不治の病といわれた糖尿病に光明。インスリンの抽出に成功[フレデリック・バンティング]
1924 心臓に生じる電位の観察方法を考案。心電図の基礎を築いた「ウィレム・アイントホーフェン]
1925 コロイドの研究に一生を捧げる[リヒャルト・ジグモンディ]
1926 物質が原子からできていることを初めて実証した[ジャン・ベラン]
1927 自然への憧憬から発案された「霧箱」は原子物理学に大きな進歩をもたらした[チャールズ・ウィルソン]
1928 紫外線照射でステロイドの一種からビタミンDができることを発見[アドルフ・ヴィンダウス]
1929 ビタミンに関する2つの研究が同時受賞[エイクマンとホプキンズ]
1930 輸血治療に不可欠なABO式血液型の発見[カール・ラントシュタイナー]

1931 貧困者支援から国際平和で活動したソーシャルワーカーの先駆者[ジェーン・アダムズ]
1932 神経細胞の機能に関する幅広い研究で神経生理学を開拓[チャールズ・シェリントン、エドガー・エイドリアン]
1933 モデル生物にショウジョウバエを採用し、遺伝子の存在を証明[T・モーガン]
1934 水素の同位体を発見。単離に成功[ハロルド・ユーリー]
1935 発生の仕組み「形成体(オーガナイザー)」「誘導」を発見[ハンス・シュペーマン]
1936 神経伝達物質の研究で大きな礎を築く[ヘンリー・ハレット・デール]
1937 ビタミンCと壊血病の関係を明らかにした[アルベルト・セント=ジェルジ]
1938 中性子を元素にぶつけて多数の放射性同位体元素をつくる[エンリコ・フェルミ]
1939 性ホルモンの結晶を単離し化学構造を明らかにした[アーネスト・ローレンス]
1940~1942:該当者なし

1943 血液を凝固させるビタミンKが発見され、その構造が明らかに[カール・ピーター・ヘンリク・ダム]
1944 核磁気共鳴は原子爆弾、核磁気共鳴画像法(MRI)にも応用された[イジドール・イザーク・ラービ]
1945 感染症を防ぐペニシリンが発見される[アレクサンダー・フレミング]
1946 X線照射で突然変異が起こることを発見[ハーマン・J・マラー]
1947 電離層までの距離を測定し、電波通信技術の発展に貢献[エドワード・アップルトン]
1948 DDTは殺虫剤にも農薬にも使われたが環境ホルモン作用が判明[パウル・ヘルマン・ミューラー]
1949 湯川秀樹、「中間子理論」で日本人初のノーベル賞受賞者に
1950 人文科学分野での著作に脈打つ思想が評価される[バートランド・ラッセル]

1951 黄熱病の研究で野口英世の仮説を覆したウイルス学者[マックス・タイラー]
1952 アフリカでの医療活動に生涯を賭けた「密林の聖者」[アルベルト・シュヴァイツァー]
1953 戦争や政治の舞台裏を文学で遺したイギリスの宰相[ウィンストン・チャーチル]
1954 平和賞に込められた難民救済への称賛と期待[国連難民高等弁務官事務所]
1955 生理学・医学賞の選考機関(カロリンスカ研究所)が輩出した初の受賞者[ヒューゴ・テオレル]
1956 コンピュータの小型化はトランジスタの発明から始まった[ショックレー、バーディーン、ブラッテン]
1957 “20世紀最高の哲学者”をも唸らせた世界観、しかし・・・[アルベール・カミュ]
1958 タンパク質の分子構造の解明で医薬の発展に寄与[フレデリック・サンガー]
1959 実は“失敗”だったDNAとRNAの人工合成[セベロ・オチョア、アーサー・コーンバーグ]
1960 “放射線炭素の量”で年代を測る方法に潜んでいた罠[ウィラード・リビー]

1961 対話と紛争解決に奔走した若き国連事務総長[ダグ・ハマーショルド]
1962 “世紀の発見”は他人の未発表データが鍵だった[ワトソン、クリック、ウィルキンス]
1963 量子力学の功労者、ウィグナーの光と陰[ユージン・ウィグナー]
1964 人種差別に非暴力で対抗した”アフリカ系アメリカ人”[キング牧師]
1965 量子電磁力学の発展に朝永振一郎らが貢献[ファインマン、シュインガー]
1966 “がんの原因”の発見から55年後の栄冠[ペイトン・ラウス、チャールズ・ブレントン・ハギンズ]
1967 物を見ることのできる仕組みを解明[グラニト、ハートライン、ワルド]
1968 抒情的表現で日本文学の新境地を拓いた川端文学
1969 資本主義社会に労働者の権利を根づかせた国際機関[国際労働機関 =ILO]
1970 政治に翻弄された正統派ロシア文学の継承者[ソルジェニーツイン]

1971 1枚のフィルムから3次元像が浮かびあがるホログラフィーを発明[ガーボル・デーネシュ]
1972 超低温下における超伝導現象の理論化成功の裏に[バーディーン、クーパー、シュリーファー]
1973 日本企業の技術者が成し遂げた世紀の発見[江崎玲於奈]
1974 議論を呼んだ日本人初、佐藤栄作元首相の平和賞受賞
1975 “水爆の父”から“軍縮と人権の旗手”となった科学者「アンドレイ・サハロフ]
1976 “規制なき市場で経済成長”が招いた貧富の格差[ミルトン・フリードマン]
1977 ライバル心がもたらした内分泌学の革命的変化[ギルマン、シャリー、ヤロー]
1978 独創的な「化学浸透説」で世紀の難問を解いた孤高の人[ピーター・ミッチェル]
1979 一滴の水を大きな慈愛で大河に変えた修道女[マザー・テレサ]
1980 母国を離れ、母国を見つめ、母国語に執着した亡命作家[チェスワフ・ミウォシュ]

1981 「フロンティア軌道理論」の福井謙一が日本人初の化学賞を受賞
1982 “情報経済学”と“規制の経済学”の先駆け[ジョージ・スティグラー]
1983 トウモロコシに問いかけ続けて“動く遺伝子”を発見[バーバラ・マクリントック]
1984 人種隔離政策に非暴力で粘り強く立ち向かった大主教[デズモンド・ムビロ・ツツ]
1985 動脈硬化症につながるコレステロール代謝異常の仕組みを発見[マイケル・ブラウン、ゴールドスタイン]
1986 電子顕微鏡の開発、発展に貢献[エルンスト・ルスカ、ビーニッヒ、ローラー]
1987 北里が発見し、利根川が解明した「抗体」のミステリー
1988 止まない戦火、終わりなき紛争解決への道[国際平和維持軍=PKF]
1989 チベットの自治を求め、非暴力で闘い続けた政教の司[ダライ・ラマ14世]
1990 わずか6年で世界を変えた、東西冷戦終焉の象徴的人物「ミハイル・ゴルバチョフ]

1991 逆境の耐えて闘ったミャンマー民主化運動のヒロイン[アウンサンスーチー]
1992 世界中の研究者が使う素粒子検出器の発明者[ジョルジュ・シャルパク]
1993 呉越同舟でアパルトヘイトを乗り越えた2人の指導者「ネルソン・マンデラ、デクラーク]
1994 戦後日本人の生き方をグローバルな筆致で描き続けた大江健三郎
1995 環境問題に関するテーマで初めてのノーベル賞[パウル・クルッツエン、ローランド、モリーナ]
1996 ありえないと思われていた“炭素第三の同位体”の発見[カール、スモーリー、クロトー]
1997 金融工学の新たな数理モデル、その実践の果てに[ロバート・マートン、マイロン・ショールズ]
1998 世界の飢餓・貧困対策に貢献した“幸福追求の経済学”[アマルティア・セン]
1999 “医療と証言”をアイデンティティとする国際緊急医師団[国境無き医師団=MSF]
2000 「電気を通すプラスチック」誘導性ポリマーを白川英樹らが開発[マクダイアミッド、ヒーガー]

2001 「鏡像体」分子を作り分ける技術に貢献した野依良治[ノールズ、シャープレス]
2002 カミオカンデでニュートリノの検出に成功した小柴昌俊[レイモンド・デイビス、ジャコーニ]
2003 核磁気共鳴画像法(MRI)開発、実用化に貢献[ポール・ラウターバー、ピーター・マンスフィールド]
2004 ユビキチンシステムによる細胞内タンパク質の分解の仕組みを解明[ハーシュコ、チカノーバー、ローズ]
2005 原子力技術の軍事転用に目を光らせてきた“核の番人”[国際原子力機関、エルバラダイ]
2006 ビッグバンの名残「宇宙背景放射」の観測で宇宙の起源の解明へ[ジョージ・スムート、ジョン・マザー]
2007 “地球のために人類ができること”を問い続けた人々[ゴア元米国副大統領]「IPCC]
2008 日本の大学で学んだ南部陽一郎ら4人の科学者が2部門で同時受賞[益川、小林、下村]
2009 国家、民族、宗教の境界を越えた相互理解を提唱[オバマ米大統領]
2010 工業製品の製造に革命を起こした根岸英一らによる化学反応の発見[鈴木章、ヘック]

2011 神経細胞の機能に関する幅広い研究で神経生理学を開拓[ボイトラー、ホフマン]
2012 再生医療の可能性を切り開くiPS細胞を開発した山中伸弥[ジョン・ガードン]
2013 正反対の理論を発表した経済学者たちが同時に受賞[ラース・ハンセン/ ファーマ、シラー]
2014 「21世紀を照らす明かり」青色発光ダイオードを発明した赤崎勇ら[天野浩、中村修二゙]
2015 「ニュートリノ」が質量を持つことをきっちり証明した梶田隆章ら[アーサー・マクドナルド]
2016 「オートファジー」のメカニズムを発見した大隈良典
2017 世界に広がった連帯の力で「核兵器禁止条約」を実現[核兵器廃絶国際キャンペーン]


ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

  • 作者: E. Norrby
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: -




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『ノーベル賞117年の記録』 山川出版 [世界史]


ノーベル賞117年の記録

ノーベル賞117年の記録

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本



「ノーベル賞の基礎」と題して、「ノーベルの遺言と賞創設」、「ノーベル財団と基金運用」、「受賞者はこうして決まる」という解説ののちに、1901(明示34)年の第1回から2017年までが取り扱われ、日本人が受賞した年は2ページ、それ以外は1ページを用いている。年度ごとに各賞の受賞者名が列挙され、その年の出来事が簡単に示される。各賞受賞者のうち特定の人物・賞については解説が加えられる。それは目次のタイトルに明らかにされている。たとえば、〈1970年 文学賞 政治に翻弄された正統派ロシア文学の継承者[ソルジェニーツィン]〉と目次にあり、そのページには、ソルジェニーツィンが写真入りで紹介され解説が加えられている。多色刷りで写真・図版も多い。人類の歴史に大きく貢献したとされる人々とその仕事を見渡すことのできる書籍である。


ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)

ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/11/08
  • メディア: 新書



ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

  • 作者: E. Norrby
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: -




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『ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成』 吾孫子 豊著 八坂書房 [世界史]


ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成

ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成

  • 作者: 吾孫子 豊
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2017/01
  • メディア: 単行本



ライン河の源流地域から河口まで、川をくだりながら各地域、都市にまつわる伝説を紹介する本。昭和40年に刊行された本の復刊。著者による「序」は、1964年10月1日付け、となっている。

原著はウィルヘルム・ルーラントが集めた伝説集。1923年のドイツ旅行時、著者の父(大審院判事:我孫子勝)が、買ってきた文学書の中の一冊。「両三年前ふとした機会からこれを読み始めたところ、おもしろくてたまらず、知らず知らずの間に三百数十頁を読み通してしまった。そしてこの伝説集を読んでいる間に、いろいろな思い出や空想によってその楽しさはますます深さを加えるのであった。目まぐるしく、時には息苦しくさえある現実世界の生活に疲れた人々に、しばらくの間でもこのような清純な浪漫的な物語によって、少年時代の夢をもう一度思い起こしていただけたらと思ったので、それらの物語の翻訳を中心に、わかりにくいかと思われる点にはある程度説明を加えてまとめたものを、国鉄のレクリエーション機関紙に連続読物として掲載させていただいたところ、意外の高評で、有志の皆さんがこれを出版できるように運んで下さった」と、翻訳・出版のいきさつが記されている。

著者はいう。「一つ一つの話の中には面白いものもあれば、つまらないものもある。またドイツの中世以前の歴史的背景を良く知っていなければ理解しにくいようなものもある。しかし、ともかくも河の流れに沿って下って行くように配列された昔の物語を一つ一つ、いろいろと想像をたくましくしながら読んでいくことは、少なくともわたしにとってはたいへん楽しいことであった」。

本書をとおしてライン川をめぐる諸都市の歴史の真相(深層)を理解できるように思った。また、ワーグナーの歌劇などを理解するうえでも役立つように思った。実際、本書中には、ゲルマンの最高神:ウォータンやニーベルンゲン伝説のジークフリート、ブリュンヒルデ姫など登場し、期待をそこなうものではなかった。挿絵・写真も多数(巻頭には色刷り8ページ)用意され、索引もある。ドイツ・旅行に関心をお持ちの方は、出かける前に通読しておくと、旅行の味わいを深くすることができるにちがいない。

目次

第Ⅰ部 ラインの源流 (サン・ゴタールからボーデン湖まで)
第Ⅱ部 上部ライン地域 (バーゼルからハイデルベルクまで)
第Ⅲ部 ラインの中流、伝説の山河 (ウォルムスからケルンまで)
第Ⅳ部 周辺の渓谷および丘陵地帯 (タウヌス連山からベルク地方まで)
第Ⅴ部 ライン下流地域 (クサンテンからザイデル海まで)



ライン河―ヨーロッパ史の動脈 (岩波新書)

ライン河―ヨーロッパ史の動脈 (岩波新書)

  • 作者: 加藤 雅彦
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1999/10/20
  • メディア: 新書



ライン河の文化史―ドイツの父なる河 (講談社学術文庫)

ライン河の文化史―ドイツの父なる河 (講談社学術文庫)

  • 作者: 小塩 節
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/08
  • メディア: 文庫



ライン河―流域の文学と文化

ライン河―流域の文学と文化

  • 作者: 丹下 和彦
  • 出版社/メーカー: 晃洋書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本



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『国際法で読み解く世界史の真実』 倉山 満著 PHP新書 [世界史]


国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/11/16
  • メディア: 新書



『国際法で読み解く世界史の真実』という本のタイトルを、当初たいへん胡散臭く感じた。「・・・の真実」というたぐいの本は、その実、たいへん不・真実であったりする。それに、バーっとページをめくって見たところ、国際連盟の立役者ウッドロー・ウィルソンを国際法を破壊した人物のように扱ってもいる。それで、常識人(当方のこと)としては、いよいよ胡散臭く思ったのである。国際法の権威と称する方々が、この本をどのように評価しているのか、つまりアカデミックな見地からいってマトモな本なのか確認したい衝動を覚えるほどだった。

それが、読みはじめると、めっぽうオモシロイ。それが「真実」かどうかは知らないが、少なくとも、本書のなかで記述されている内容は、本書のなかで整合性があるように思われる。要するに、信頼していいように思う。《「ウェストファリア条約」の紹介から始めない(国際法の)教科書はまがい物と思ってください》とあるが、その通り、「ウェストファリア条約」から始めてもいる。つまるところ本書は、国際法のめっぽうオモシロイ教科書といっていいのだろう。

今日の諸国家のふるまいが、国際法の理解の仕方を反映していることが示される。国際法の生い立ち、展開、その歴史的側面も示される。ヨーロッパ法とも呼ばれる国際法を盾に、列強がアジアの非文明国に進出し、支配下に置いてきたこと。そうした中、幕末日本が締結した不平等条約を撤廃するため、明治新政府が欧米列強と「対等」な立場を獲得し、文明国として扱われるため、「国際法」を盾にどのような闘いをしたのか。片や、国際法を理解しなかった朝鮮、清国はどう対応したか。そのチガイを比較しつつ示される記述は興味深い。そして、なによりも、現代・現在の日本の外交のありようが、マトモかどうかの判断もできる。その判断がマトモかどうかは、本書の記述が「真実」かどうかにかかっているが、どうも評者には「真実」のように思える。

日露戦争でバルチック艦隊を相手に勝利した東郷平八郎元帥のことを、海軍の面々は「東郷ハガネ」という商標をもじって「東郷バカね」と言っていたと阿川裕之著『井上成美』に出ていたと思う。さらに井上が、江田島の海軍兵学校長時代、東郷の事績を調べさせて報告させ、たいした人物ではない・・と悟らせたというような話も読んだ。が、対露戦争以前、日清戦争に向う時期、清国艦船と行動している英国商船を、国際法を遵守しつつも(清の武器運搬に協力したことを理由に)撃沈し、乗っていた英国人は保護したことで、英国の国際法の権威から賞賛されていたなどの情報も本書で知った。外に、陸奥宗光、小村寿太郎などへの記述もある。それらを読むと、誇らしい気分にならないでもない。

国家として見做される要件、主権の意味、国際法は強制法ではなく合意法であり、世界政府が存在しない以上、国際社会は、仁義で動くヤクザの世界に等しい・・など、目からウロコが落ちるような話にこと欠かない。本書が、国際法の教科書として、アカデミックな見地からどう評価されているかは知らない。それでも、読んでオモシロイ本であることは保証できる。


井上成美 (新潮文庫)

井上成美 (新潮文庫)

  • 作者: 阿川 弘之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/07/29
  • メディア: 文庫



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